判決に怒りの声―支援者の傍聴・判決文の感想
以下は、判決後、支援会と浅野教授に寄せられた傍聴者と支援者のメッセージです。〔 先生が絶対に勝って、教授に復帰すると思っていたので、信じられない。判決に腹が立っている。一緒に傍聴した夫は判決の日、誕生日だったが、ずっと判決に怒りを感じていて、ケーキを口にしなかった。 〕(氏本デリアさん)
〔 この問題の発生段階から見てきました。京都地裁で不当に裁かれたこの問題は、二審の大阪高裁では必ず逆転できると信じています。 〕(鹿砦社・福本高大さん)
〔 今回の判決文では、学校法人同志社側の主張が全面的に認められ、浅野先生の主張は一切聞き入れてもらえませんでした。怪文書、指導中の学生がいたことについての言及もなく、プラス面とマイナス面がきちんと考慮されたというような書き方になっていません。こんな判決では、本当にきちんと審議がされたのか疑問です。
この事件は、「定年延長の審議」をかさに着た不当解雇事件です。大学院教授以外の教職員が65歳で定年になるという制度を悪用して、浅野先生が65歳になった時期を見て、追放したのです。もし、65歳以前に解雇すると、さすがに裁判で負けるので、そのタイミングを狙ったのです。裁判所はそれを見抜くことができなかったのでしょうか。非常に残念です。判決は手続きの問題しか取り上げていませんが、専攻・学科の先生たちの私怨に基づく行動を問題にしていません。
同志社側は定年延長について「本法人が必要と認めたものに限り」認めると主張しました。一度雇用したということは、一度は、浅野先生が同志社に必要だと認め、20年間雇用したということです。同志社はいつのまに浅野先生に対する見方を変えてしまったのでしょうか。浅野先生のような人を追い出しては、どんどん小粒の大学になっていき、やがては日本全体が委縮していくでしょう。
同志社のホームページには、いまも新島襄の遺言である「同志社に於ては倜儻不羈なる書生を圧束せず務めて其の本性に従い之を順導す可き事」という言葉が掲げられています。同志社は、この言葉を嘘にだけはしてほしくないと切に願います。 ](寺西心さん)
〔 裁判の結果には、落胆して、ことばもありません。これからも、微力ながら、先生の教壇復帰の支援のお手伝いをさせていただければとおもいます。 〕(大内健史さん=17年4月同大大学院哲学専攻入学予定)
〔 あの判決文はないですね。不当そのものです。大学との裁判は10パーセントの非があれば負けると言われているそうですが、それが出てしまいました。作戦ミスもあったのでしょうが、判決文を読む限り裁判長に問題があったと思います。おそらく最初から敗訴前提でいないと書けない内容です。逆に緻密な判決文ではないので、控訴理由書は書きやすいと思います。高裁では私も協力します。](早野慎吾・都留文科大学教授)
〔 定年延長を認めないことに対する慰謝料請求をすべきだった。判決は、大学院教授の定年延長は法的権利とは言えないという法理論で書いている。渡辺教授と似た研究教育分野なので両方認める必要はないと判断したと考えた可能性もある。 〕(森野俊彦弁護士=元福岡高裁部長判事)
〔 原告の請求の趣旨にどうして慰謝料を追加しなかったのでしょうか。そもそもそのような議論があったのでしょうか。慰謝料請求をしていれば浅野教授を嫌って追放しようとしたことが 争点になっており、裁判所も判断せざるを得ないところです。判決の争点にならなかったのは、争点設定しなかったからではないかと思います。一審は、形式的な法律論争になってしまっている。だから合意がないとか慣習がないとの形式論で敗訴している。浅野先生を嫌悪し大学から追放しようという意図の有無が争点となっていない。控訴審ではこのあたりを争点にすべきではないかと思います。 〕(高田良爾弁護士=京都弁護士会)
〔判決は確かにひどい内容ですね。私も、訴状で当然にしていると思った慰謝料請求していないのが不思議でした。いずれにしても判決を早急に検討して、今から約2ヶ月弱で、控訴理由書を作成する必要があるので、一審の審理を振り返り、新たな理論を構築したい。 〕(山下幸夫弁護士)
〔 敗訴大変残念です。判決を読みましたが、ひどいですね。文春裁判から続く構造的な問題にまったく触れず、被告の主張する手続き論だけで判決を出しているように思いました。控訴審は浅野先生が逆転勝訴されることを祈っております。 〕(森類臣・元院生=立命館大学コリア研究センター専任研究員)
〔 判決文も読みましたが、酷い判決ですね。この裁判長は、事実認識のやり方に根本的な問題があるか、それとも証拠を正確に論ずるのが面倒くさいので権威主義に従い楽をしたかどちらかではないかと疑います。傍聴席の支援者が「税金泥棒」とおっしゃっていましたが同感です。〕(人権と報道・連絡会メンバー)
〔判決を読みました。大変悔しい結果でした。
定年延長を拒否されたために困る学生がいるかいないかについては、判決文中に言及がありませんでした。ナジ・イムティハニさんへの指導復活について斟酌されないとは思いもよりませんでした。
法廷戦略が根本から間違っていました。(依頼人の主張に耳を傾けなかった)武村・小原・橋本各弁護士は弁護過誤で訴えられても反論できないです。
〈2 前提事実 (5)本件退職扱いに至る経緯 ア イ〉を読むと、研究科委員会へ議案の提案ができるのは、専攻教務主任である浅野健一教授だけだということすら、堀内裁判長には伝わっていなかったようです。イで「小黒教授が議長となり」と言及されていたのは本当に残念でした。
この箇所については、堀内裁判長の責任であって、地位確認裁判弁護団の責任ではないと思いました。証人尋問で冨田さんのウソに気づいていなければおかしかったです。小黒さんの証人尋問が無かったのも痛いです。
喧嘩過ぎての棒千切りになってしまうのですが、定年延長された者の比率93.1パーセントや74.9パーセントのデータを調べるために時間をかけたのは(時間が限られている)原告側には損だった気がいたしました。
時間が限られていることが重要です。せめて昨年の今頃に判決が出ていればと思わずにはいられませんでした。
汗水たらして定年を迎えた院教授の追跡調査をしても、定年延長の慣習が確立しているということを立証できなければ、徒労です。
定年延長対象者の次年度の3年ゼミ募集に関し、64歳の時に3年ゼミの募集をしていて、かつ定年延長を拒否された事例の有無を明白にすべきでした。
慰謝料の請求をしなかったことに疑問を呈する法律家がいるのは当然でしょう。イヤガラセをされたから慰謝料を請求します。イヤガラセの有無が争点になれば、①渡辺さんが浅野先生との裁判に過去に負けた腹いせに定年延長を拒否して、浅野先生にガツンと一発お見舞いするというイヤガラセ②3年ゼミの募集をしているのに定年延長を拒否されたら困る学生が出るというイヤガラセ③全く落ち度が無いナジさんが博士号を取得できずにインドネシアに帰国せざるを得なくするイヤガラセ④学振の「DC2」特別研究員に内定している矢内さんに指導できる教授をいなくさせるイヤガラセ⑤研究科委員会で怪文書を配布したイヤガラセ―というように争点をいくらでも広げることが出来ました。戦いやすかったように思えます。
お元気で。](神奈川県在住の会社員)
〔 Chin Up, Asano-san. Horiuchi "Hirame" Judge is a total disgrace. Yoshi Tsurumi. 〕(霍見芳浩・NY州立大学名誉教授)=「浅野さん、気を落とさず頑張ってください。堀内“ヒラメ裁判官”はまったく恥ずべき存在です」=(浅野訳、ヒラメ裁判官とは、人事面で冷遇されることを恐れ、最高裁総務局の意向をうかがいながら権力者に都合のよい判決ばかりを書く「心の卑しい」裁判官のことです)
〔 すぐ報告が来なかったのでこれはダメかと思っていましたが、残念ですね。3年半も苦労したのにと思いますが、現在の司法制度はこんなもので、大きな進歩は期待するべくもありません。浅野君は誤った判決に苦しむ人たちと日頃接触しているから、この状況は覚悟の上と思います。 今後は、この判決を少しでも改めさせるために戦い続けるか、あるいは健康その他を配慮して別の局面で社会の進歩に貢献するか、慎重に考えて下さい。
以前同志社でお話しした時、
1. 日本の少子高齢化、労働力不足、年金不安などを考えた時、定年制は不適当で
労働能力と意欲のある人の労働継続を認めないと日本経済は立ち行かないと申しました。高齢者の雇用継続裁判では、政府の呼びかけもあって次第に労働者に有利 な判決が出るようです。研究者の場合頭脳労働ですから、元気で優秀な研究者には70歳まで働いてもらう例が多くなっています。
2. 良い研究をするためには、大幅な自由と安定が必要です。何十年も大学院教 授として勤務した研究者を実質少数者の判断によって馘首してよいものでしょうか。
よくわかりませんが、もしこれがレッドパージの一種なら、大学として大問題。他の大学にも影響が及びます。
3. 以前に、浅野君は多大な業績があるのだから、著書、編書、訳書などの詳しいリスト、それらに対する学界、マスコミ界などからの書評、影響、国際的な学者としての活躍、その他を丁寧にまとめて冊子を作り、それを大学、学生、図書館、マスコミ、卒業生たちに配布してはどうか、と言いました。そうすれば同志社に浅野ありという認識が次第に広がるでしょう。裁判で負けても、アカデミックな評価で勝てば、学問の都市京都では価値があるでしょう。
先日はたくさんの資料をありがとう。健康は心配ですが、筆力回復で安心しました。明治学院大学の盗聴事件など初耳です。どこでも問題が多いので、情報は有難い。
近年福沢諭吉は批判されているが、慶応義塾の目的は「日本国中における気品の泉源、智徳の模範たらん」という彼の言を忘れぬように。ではいずれまた。 ](白井厚慶應義塾大学名誉教授、浅野教授のゼミ指導教授)
[ 3.1.反動不当判決について
「原告の請求をいずれも棄却する」
裁判長堀内が蚊の鳴くような声で呟いた瞬間、これは夢だと思った。正常な論理的判断力と倫理観を備えているであろう判事が下すはずのない決定であるから。しかし直ぐにそれが現実なのだという認識を受け入れざるを得なかった。そしてはらわたが煮えくりかえり、満腔の怒りが込み上げてきた。気づいたら私は傍聴に駆けつけた同志達と、反動不当判決を糾弾していた。デタラメな判決を述べた堀内は逃げ隠れてしまい、「最後まで理由を読み上げろ!」という我々の抗議を無視し続けた。最終的に事務官たちは我々を暴力的な方法で排除しようとしていた。
報告集会で配布された判決言渡原稿を読み、尚一層怒りが湧き上がってきた。証人調べの発言内容も原告側の提出文書も何1つ考慮も反映もしていないものであり、被告側(弁護士も教職員も誰1人来ていなかった)のウソとデマを鵜呑みにしたものであった。最初から結果ありきで作ったとしか思えない代物で、こんなふざけたもののために費やされた原告の時間と労力、そして将来を握り潰された学部生、院生、留学生たちの悲痛な思いを考えると非常に悔しい思いで一杯だった。
堀内自身が理を解さぬトンデモ判事だったのか、政治的な意向を汲んでの事か或いは両者か知る由もない。しかし二審大阪高裁では必ず、逆転勝訴を勝ち取る事をそれ以外はありえないと私は信じている。その為にも多くの人に同志社の悪辣卑劣な蛮行を知らせ、裁判の支援体制を拡大し、より広範な運動にしていかなければならないと、決意をあらたにした。 ](鶴見太郎さん)
〔 今回の判決は、非常に悲しい結果となってしまいました。誰がどう見ても不当な解雇であり、悪意に満ちた単純な追放劇でしかないのに、どうしてこのような非人間的な判決が書けるのか、不思議でなりません。裁判官たちは、公正に事実を見る気がなく、最初から浅野さんのことを偏見で見ていたのだろうと私も疑っています。
一方で、今回の京都地裁の判決に、大勢の支援者が全国から集まっていたことは素晴らしいと思いました。若い世代も浅野さんの支援のために夜行バスなどを利用して京都に来ており、非常に頼もしく、嬉しく感じました。裁判所に入ってきた裁判長が、空席のほとんどない傍聴人席を見渡して言葉をなくし、とても驚いた表情でいたのが忘れられないです。私も、京都に近い場所に住んでいたなら、これまでの裁判にもっと頻繁に傍聴に訪れることができたのにと後悔しました。控訴審では、できる限り傍聴に訪れ、裁判の行方や裁判官の様子を間近で見守りたいです。
判決後の報告集会では、控訴審に向けて意義あるお話を参加者の皆様から伺うことができましたし、浅野さんご自身の固い決意にも感銘を受け、正義のために私も支援し続けたいと改めて思いました。ただ、今現在、インドネシアの国立ガジャマダ大学文学部日本学科で助教(専任講師)をしているインドネシア人留学生(インドネシア政府奨学生、社会学研究科メディア学専攻博士後期課程)ナジ・イムティハニさんですが、同志社大学から14年6月に、一方的に「14年3月に遡って退学」とされて以降3年近く、指導放棄の状態にあり、失意の底にいます。今回の判決で、ナジさんはさらに打ちのめされたことでしょう。ナジさんは予定の博士号を取得できなかったため、インドネシア教育文化省の命令で、2月からの新学期ではガジャマダ大学の授業を担当できなくなっていると聞きました。
私も浅野さんもナジさんを励まし続けていますが、本人は「自分や浅野先生をこのような目に遭わせた同志社大学を許せない。もう関わりたくない」という気持ちも強いようです。それでも、彼が日本の大学で博士号を取得する可能性は、同志社大学でしか残されていないのですから、なんとか、ナジさんには控訴審でも陳述書を提出して一緒に闘ってほしいと願っています。
ナジさんは昨年11月末に同志社大学へ再入学の申請を行い、今年1月25日付で松岡敬学長から再入学許可の通知を受けています。浅野先生が復帰すれば、博士論文を書き上げられる可能性が大きく広がっています。
報告集会では皆様からナジさんへの伝言を預かりましたので、それはすでにメールで伝えてあります。ありがとうございました。もし、皆様のなかにナジさんに直接コンタクトが取れる方がいたら、ぜひとも彼に励ましのメールなどを送ってほしいです。浅野さんには純粋な気持ちの支援者が大勢いること、ナジさんの境遇に共感する仲間が日本にいることをもっと伝えてほしいです。同志社大学に「見捨て」られた状態で、インドネシアで孤独に過ごすナジさんを思うと、私も悲しみと申し訳なさでいっぱいです。2009年に大きな夢を抱いて日本に留学しただろうに、このような結果になり、恥ずかしいです。
私自身、インドネシアの大学院に留学していた時に、ゴルフ場建設の反対運動をする村を訪問したことで地元警察から呼び出され、事情聴取を受け、一時、身柄を拘束されました。その時にはインドネシアの大勢の友人・知人が警察とかけあってくれ、留学先の大学も私のことを全力で守ってくれましたので、その後は無事に修士課程を修了するまで滞在することが出来ました。インドネシアでのそうした過去を思うと、今の同志社大学や京都地裁の対応は、あまりにもナジさんの現状を無視し、踏みにじっています。
控訴審では、絶対に負けられません。大阪高裁での闘いでは、一人でも多くの方の傍聴を呼びかけていきたいです。浅野さんの完全勝利を信じ、これからも支援したいです。 ](大石薫さん)
〔 学内の反浅野グループが仕組んだ追放劇だったのに、その忌まわしい実態には目をつぶり、定年延長の原則はなかった、定年延長の慣習はなかったなどと、
表面的な理由で判決文を巧みにカムフラージュし、原告の請求を退けた不当な判決だ。定年延長対象の大学院教授のうち、90%以上が延長を認められている実態を無視し、その実態を単なる結果の数字に過ぎないと判示するなど、被告側の立場を一方的に斟酌しており、到底納得が行かない。これでは公平、公正な判断とはいえない。今回の確認訴訟の本質は、浅野氏の業績を無視し、追放劇を画策した者達の動きに対する正義の告発であった。そこを裁判所が素通りしたのは、なんとなく意図が感じられ、容認しがたい。 〕(戸田邦信・元共同通信バンコク支局長、米国在住)
〔 不当な判決に抗議し、先生の控訴審でのご奮闘をお願いします。 〕(山内正紀「進歩と改革」編集長)