浅野健一教授が03年9月以降、同志社大学の委員会で約7年の長きに渡って“被申立人”として放置されている件について
浅野支援会事務局から、浅野健一教授が03年9月以降、同志社大学の委員会で約7年の長きに渡って“被申立人”として放置されている件について、10年6月以降、いくつか重要な動きがありましたので、ご報告いたします。
1.浅野ゼミOBGと現役ゼミ学生が同志社大学長ら三者へ要望書
浅野教授が「同志社大学キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会」(石川健次郎委員長、以下CH委)において、03年9月末(文春裁判一審の渡辺武達教授の法廷証言)から“被申立人”とされている事案について、浅野教授を支援する浅野ゼミOBGと現役学生の有志24名が、6月23日、八田英二同志社大学学長・CH委員長・沖田行司社会学部長の3名へ、浅野教授の人権を守り早急に結論を出すことを求める要望書を提出しました。有志代表が、6月23日午後2時半に同志社大学庶務課を通じて、八田学長へ要望書を届けました。
浅野ゼミOBGと現役学生は、要望書で (1) 浅野健一教授が、03年9月末、CH委で“被申立人”とされている事案について、正常な形の委員会審議を経て、早急に結論(申し立ての却下=調査の打ち切りを含む)を出すこと (2) 結論を出すときに、“申立人”とされる中谷聡氏が、あたかも浅野教授がアカデミック・ハラスメントを行ったかのように申立てている件について、絶対に認定しないようにすること (3) 浅野教授が“被申立人”になっていること、多数の委員会事案関係文書の現物・コピーを主要報道機関へ漏洩・提供した渡辺武達教授グループ(申立人=中谷聡氏、三井愛子の2人を含む)に関し、厳正な調査を行い、適切な指導を行うようにすること、の三点を要請しました。
その後、7月2日付で、CH委の石川委員長名義で、「6月23日付要望書について」という回答が有志代表に来ました。回答には「標記につきまして、拝受しました。浅野ゼミ関係者の皆様方のご意見として、承ります。なお、浅野先生からも同様のご要望をお聞きしていますので、浅野先生に対し回答させていただきたく存じます。ご理解いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。以上」とありました。
これまで、浅野教授を支援する浅野ゼミOBGと現役学生は、①2009年3月17日付「要望書」②2009年3月26日付「3月17日に提出した『要望書』における追加の署名について」③2009年6月4日付「申入書」と、計3回要望書を出しており、今回が4回目ですが、初めて内容のある文書での返答でした。
ただ、8月22日現在、CH委は今も「静観」を続けており、まだまだ予断を許さない状況が続いています。本件で委員会が開かれたかどうかも分かりません。透明性が全く欠落し、説明責任も果たしていません。
文春裁判勝訴に続いて、CH委でも完全“シロ”を勝ち取るために、支援者皆様のご支援が必要です。どうぞよろしくお願いいたします。
2.ニューヨーク市立大学経営大学院・霍見芳浩教授が八田英二同志社大学長らへ再び要請
支援会のメンバーである霍見芳浩(つるみ・よしひろ)ニューヨーク市立大学経営大学院教授が7月8日夜、公開講演会のために同志社大学を訪れました。霍見教授は、公開講演会開始前の8日午後4時半ごろ、八田英二大学長に「浅野教授が7年近くもCH委の‘被申立人’として放置されている現状に対して、大学として早く公正な結論を出すように」という申入書を提出してくれました。学長、柳井望庶務課長、矢田直人係長らは会議のため不在で、受付の職員が受け取ったということです。
要望書は八田学長と、「キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会」宛になっており、石川委員長にも申入書を提出しました。
霍見教授は09年7月にも、同志社大学今出川校地・有終館一階の同志社大学倫理審査室で、同室の田中憲次主事と面会し、浅野健一・社会学部教授がCH委の被申立人として6年近くも放置されている現状に対して、「大学として早く公正な結論を出すべきだ」という要望書を提出し、また口頭でも同様の要請をしています。霍見教授は八田英二大学長、石川健次郎CH委員長担当の事務職員にも会って要望書を手渡しました。09年7月の詳細は、本ホームページに掲載されていますので、ご参考ください。
霍見教授が今回提出した申入書の全文は次のとおりです。
2010年7月8日
同志社大学
八田英二学長殿
キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会(以下CH委)
委員長 石川健次郎教授殿
申入書
拝啓
突然にお便り致します非礼を御寛恕下さい。私はニューヨーク市立大学教授で、今回、貴大学社会学部メディア学科の浅野健一教授のお招きにより、09年7月3日に引き続き、講演会のため貴大学に来校いたしました。
また、御賢察かと存じますが、浅野教授が被申立人として、約6年間もの長きに渡って、貴大学「キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会」(以下、CH委)にかかっている件について、09年7月に引き続き申し入れをいたします。
本年3月16日の最高裁の判断により、浅野教授の文春裁判勝訴が確定いたしました。にもかかわらず、CH委はまだ結論を出していないと伺っています。これは、なぜでしょうか。この為に、CH委は、浅野教授が裁判で完全勝訴しているにもかかわらず、引き続き「浅野疑惑」のクロを世間に印象づけるのに不当に加担していると見なされています。同志社大学の為にも、日本の為にも非常に不幸な事です。
同志社大学のCH委は、大学の為にも、浅野教授の名誉回復の結論を出し、世間に同志社大学の品格を示すべきです。一日も早く、同志社大学としてCH委の結論をお出しいただき、大学の自治と学問の自由の厳正な証しをお示しいただけませんでしょうか。私の大学も含めて、米国の大学でも似た様な事が生じる場合がありますが、学外の司法判定のプロセスとは別に学内のCH委が迅速に独自の調査で申立人と被申立人の間のクロシロの判定を下します。まして、今回の同志社大のように、申立人がCH委に無断で「浅野教授が学内CH委の被申立人になっている」という本来守秘さるべき事実を脚色して学外にリークし、この「事実」を浅野教授のクロの証しとして世間に喧伝した場合は、学外の司法の判定とは無関係に、大学は申立人が大学教師としての公正と品格を欠くとして、最低でも譴責処分にします。しかし、同志社大が申立人を不問にしている事実が既に同志社大の名誉を傷つけています。同志社大を尊敬し、弁護をしている者の一人としてお伝え致します。
敬白
ニューヨーク市立大学教授
霍見 芳浩 ㊞
(つるみ よしひろ)
3.同志社教職員組合がCH委へ申し入れ
同志社大学教職員組合(林克樹委員長)の三役が、浅野教授がおよそ7年もの間CH委に“被申立人”として不当に放置されている件で、8月2日夕方、大学との折衝でCH委が適切に対応するように申し入れました。
組合の書記が8月3日、浅野教授に電子メールで報告したことによると、組合三役は、大学への提言・要求申し入れ説明会の後の総務部長会見で、吉岡総務部長らに対して「社会学部の浅野教授が、CH委員会の被申立人として、非常に長期間そのままにされている。ご本人もご家族も大変な心労を重ねられていると聞く。これまで大学が理由にしてきた文春裁判が最高裁で確定したにもかかわらず、放置したままというのは許されない。大学(CH委員会)として、早急に適切な対応をお願いしたい」 などと要請しました。吉岡総務部長は「組合がおっしゃることはわかりました」と答えということです。総務部長会見の大学側の出席者は、吉岡総務部長の他に、高田京田辺校地総務部長、谷本人事企画課長と事務局、組合側の出席者は三役と書記局員だったということです。
組合が総務部長らとの「会見」(団交)で、浅野教授の事案について取り上げるのは久しぶりです。これまで、組合は、浅野教授の事案について、浅野教授に対する大学当局の人権侵害があるとして、大学との折衝の中で3回取り上げていましたが、その後、事実上CH委は浅野教授の事案について放置していました。浅野教授は元組合員長で、現在は社会学部支部所属の組合員であり、組合は浅野教授の人権侵害について、より多くのコミットをすることが必要です。
組合が、浅野教授の尊厳を守るべく、より積極的に最後まで大学当局に働きかけるべきではないでしょうか。
4.冤罪被害者10名が同志社大学学長ら3者へ要望書を提出
前述した通り、浅野教授が同志社大学学内のCH委に“被申立人”として不当に放置されてから7年が過ぎます。これは、ハラスメントの嫌疑をかけられて被疑者のような立場に7年間放置されているのと同じような状態です。
これまで、浅野教授本人はもちろんのこと、浅野ゼミのOBGおよび現役学生たち、霍見芳浩ニューヨーク市立大学経営大学院教授、河野義行さん(松本サリン事件冤罪被害者)らが再三に渡ってCH委に「結論を適切かつ迅速に出すこと=調査打ち切り」を要望してきたのにもかかわらず、委員会は沈黙・静観を決め込んできました。この状況を重く見た、冤罪被害者の有志(「布川事件」冤罪被害者の杉山卓男さん・桜井昌司さん、「免田事件」冤罪被害者の免田栄さん、「甲山事件」冤罪被害者の山田悦子さんら)が、浅野教授支援のために立ち上がり、浅野先生に不利益な結論を絶対に出さないように八田学長・CH委たちへ要請しました。
冤罪被害者有志が8月10日付でCH委へ提出した要望者は以下のとおりです。
2010年8月10日
同志社大学長
八田英二先生
同志社大学キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会委員長
石川健次郎先生
同志社大学社会学部長
沖田行司先生
要望書
冠省
突然に本要望書を、お送り致します非礼をどうかお許しください。
私たちは、2003年9月に貴大学「キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会」(以下、CH委)に “ハラスメント疑惑”を申立てられた貴大学大学院社会学研究科メディア学専攻の浅野健一教授を支援している冤罪被害者のグループです。
浅野教授が約7年間もの長きに渡って、被申立人としてCH委の“調査対象”とされている件について、一刻も早く適切な結論を出し、浅野教授の名誉を回復していただくように心よりお願いいたします。
貴委員会がいたずらに結論を引き延ばすことは、浅野教授に対する人権侵害を続けることに他なりません。特に、本年3月16日の最高裁判所の決定により、浅野教授のメディア訴訟(対「週刊文春」裁判)勝訴が確定いたしました。司法の場で、浅野教授の“ハラスメント疑惑”は全くの虚偽であることが認定され、この疑惑は浅野教授の同僚教授のグループ(文春裁判の確定判決は04年発足と指摘)による捏造であることが認定されたのです。
貴大学CH委員会は浅野教授が原告として起こした文春裁判の審理を理由に委員会審理を4年以上も中断しながら、同裁判が浅野教授の全面勝利で確定した後も、結論を出していません。文春裁判を理由に「静観する」として審理を止めた貴委員会は、司法によるこの正当な結論を重く受け止め、直ちに結論を出すべきではないでしょうか。
報道被害を受けた浅野教授の文春裁判は、“ハラスメント”加害者にでっち上げられた自らを防御し、名誉回復をはかるための正当な闘いでした。
どんなに強権的な捜査当局でも、告訴・告発から7年間もの長きにわたって事案を放置することは絶対にありえないのではないでしょうか。また、虚偽の“事実”を告訴した者には誣告(虚偽申告)罪が適用されます。
貴委員会におかれましては、日本有数の高等教育機関としての貴大学の自治の精神に即して、適正手続きに基づいた適切な結論を出すようにお願い申し上げます。
私たちはこの事案は、文春裁判の確定判決が認定していますように、貴委員会を利用して、浅野教授を社会的に“抹殺”しようとする同僚教授らによる意図が背景にある “捏罪”事件だと見ています。浅野教授に、絶対に不利益が及ばない結論を出すようにお願いいたします。同時に“嫌疑”をでっち上げ、メディアを利用して浅野教授を社会的に“抹殺”しようとした当事者の責任も追及されなければなりません。
なお、既にご存知のこととは思いますが、5月13日に、貴大学今出川校地寒梅館7階のレストランで「浅野教授の文春裁判勝訴確定を祝う会」が開かれました。学内外45人が出席し、その中に、われわれ有志の何人かも含まれています。参加者らの中には、著名人も大勢います。詳しくは「浅野教授を支援する会」HP(http://www.support-asano.net)をご覧ください。
われわれはもちろんのこと、浅野教授を知る多くの人々は浅野教授の勝訴確定を祝い、支持しております。「祝う会」の参加者からは、「浅野先生は正義と人権のために長く闘っている」「ハラスメントなど決してする人ではない」というメッセージが多数ありました。浅野先生は、心ある市民から信頼され、支持されているのです。
浅野教授は、われわれのように、でっち上げ事件で不当な長期裁判を強いられてきた者たちの味方になり、冤罪被害者に寄り添ってくれる清く正しい人物です。正義感が強く、決してハラスメントなどする人物ではないことは、われわれが一番よく知っています。
貴大学CH委員会が、公正な結論を出すように強く要望いたします。
草々
免田栄(免田事件冤罪被害者)
菅家利和(足利事件冤罪被害者)
柳原浩(富山氷見事件冤罪被害者)
杉山卓男(布川事件冤罪被害者)
桜井昌司(布川事件冤罪被害者)
山田悦子(甲山事件冤罪被害者)
河野義行(松本サリン事件冤罪被害者)
川畑幸夫(志布志事件冤罪被害者)
佃治彦(名古屋事件冤罪被害者)
輿掛良一(みどり荘事件冤罪被害者)
今回、社会的に波紋の大きい冤罪事件の被害者の方々が結束して、浅野教授の支援に動いたことは、非常に意味の大きいことと言えます。
CH委は、要望書の内容をよく吟味し、浅野教授の事案について結論を適切かつ迅速に出すことで浅野教授の名誉回復をすべきでしょう。
また、大学当局は、無数の虚偽の申立をして、悪徳メディアに捏造情報をばらまき浅野教授を社会的に抹殺しようとした“申立人”と同僚教授グループに対し、適切な措置をとるべきでしょう。
以上、CH委をめぐる最近の動きについて、支援会事務局から報告でした。(了)