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■文春裁判速報・進捗
速 報 SUBJECT 掲載日
判決報告 2008年3月25日

 京都地裁で審理されてきた裁判の判決が2008年2月27日に言い渡されました。浅野支援会HP上で判決詳報が遅れましたことを支援者の方々へお詫び申し上げます。また、本HPにおいて「関連資料・報道」に、支援会事務局長でジャーナリストの山口正紀さんが「救援」「週刊金曜日」に発表した関連記事を転載しております。こちらも合わせてお読みいただければ、判決についてより深く理解できると思います。
 裁判は原告・被告の双方が控訴したことにより、大阪高裁で控訴審審理が開かれることになりました。今後とも支援・傍聴をよろしくお願いします。



浅野教授の文春裁判 第1審勝利
―渡辺教授の「敵意」情報に信用性なし 京都地裁が“学内セクハラ”を完全否定―

浅野教授の文春裁判を支援する会

 「週刊文春」2005年11月24日号が《「人権擁護派」浅野健一同志社大教授 「学内セクハラ」を被害者が告発!》との見出しで、《浅野教授の学内セクハラを、大学当局が認定した》と断定する記事を掲載し、浅野教授が「事実無根の捏造記事」として、文春編集者らに損害賠償などを求めた名誉毀損訴訟で、京都地裁(中村哲裁判長)は2月27日、浅野教授の訴えを大筋で認め、被告である文春側に275万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
 判決は、浅野教授の同僚である渡辺武達・社会学部メディア学科兼大学院社会学研究科教授が浅野教授に対して「敵意に近い感情」を抱き、自分が指導する院生2人(男女)を事実上操作して「セクハラ」「アカハラ」をでっちあげた構造を暴露した。判決はまた、渡辺教授が海外で「セクハラ被害」を受けたとする元院生から届いたと供述するメールの添付ファイルについて、渡辺教授による改ざんの可能性・痕跡を明確に認めた。

*被告側は無人、三井・中谷両氏は傍聴

 中村裁判長は208号法廷で開廷後、次のように述べた。「主文。被告らは、原告に対し、各自275万円及びこれに対する平成17年11月17日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。原告のその余の請求をいずれも棄却する。訴訟費用はこれを40分しその1を被告らのその余を原告の各負担とする。この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。また事実及び理由の関係ですけれども、ちょっと微妙な部分もあるので、その、一部認めて、一部認めてない部分もありますので、その辺は判決文を読んでいただいたらと思います。それでは、判決の言い渡しを終わります」。
 文春側の喜田村洋一代理人らは姿を見せず、被告席は無人だった。浅野教授の支援者が十数名傍聴した。被告の名村記者、被告側に立って証言した三井愛子氏(同志社大学大学院文学研究科メディア学専攻博士後期課程満期退学。同志社大学で04年4月から外国書講読を担当する嘱託講師)、中谷聡氏(同志社大学大学院文学研究科メディア学専攻博士後期課程満期退学・浅野ゼミ3期生、同志社大学嘱託講師を経て、現在関西の私大講師)が傍聴した。3人は閉廷後も一緒に行動していた。
 判決は「学内セクハラを大学当局が認定」という問題記事の中核部分について浅野教授の主張を全面的に認定し、同僚の渡辺教授がC子さんから送られてきたメールに添付されていたと供述する文書の改ざんを推認、「一旦記載された文章に事後において手が加えられた」と認定した。
 認定の一部に矛盾があるが、全体的には評価できる判決だった。原告である浅野教授の主張の主要部分を認めており、全面的勝訴である。ただ、275万円の賠償を命令したのに、謝罪・訂正命令が出なかった点は控訴審の争点となるだろう。
 文春側は直ちに控訴の方針をメディアに明らかにし、2月29日に控訴した。浅野教授も新聞広告と文春での訂正謝罪広告などを求めて3月7日に控訴した。文春側は賠償命令に対して執行停止を申し立てていないもようだ。

*渡辺教授の証拠改ざんを認定

 文春記事の中で、最もインパクトが強かったのが、三井氏(記事ではA子さん)と海外でセクハラを受けたとされるC子さんのケースだった。浅野教授の同僚である渡辺教授はC子さんの「被害」を問題にするため、地裁に提出した陳述書の添付資料に自らがC子さんから受信したという添付ファイルを付けた。文春側はなぜか、このファイルを証拠として出していなかった。判決は、《渡辺教授がC子より受信したと供述する添付ファイル(乙30添付資料)であるが、同ファイル自体も事後に改ざんできる可能性もあるし、仮にC子がその全文を作成していたとしても、セクハラ委員会への提出を踏まえて内容を誇張した可能性も捨てきれない。なお、同ファイルの文中には「○○」や「◎◎」があり、一旦記載された文章に事後において手が加えられたことを裏付けている。》と認定した。
 文春記事の「学内セクハラを大学当局が認定」としたリード部分の記述も、「大学当局が原告のセクハラのみならずアカハラを含むキャンパス・ハラスメントを認定したと認めることはできない」と否定した。判決は繰り返し「本件記事とともに本件ホームページ及び本件広告中に記載された本件見出し」が浅野教授の社会的評価を低下させたと強調している。インターネットの文春HPと新聞広告の見出しについても名誉棄損を認めているのは評価できる。
 判決は、渡辺教授が浅野教授に対して直接、TA問題での言動などで指摘したことはないと指摘し、新聞学専攻教員とともにセクハラ委員会に申し立てたことに言及して、「原告によるセクハラ及びアカハラを改善する手段として同委員会への申立て前に事前に原告と何ら話合いをすることなく渡辺教授主導の下、原告を除いた本件新聞学専攻教員と話し合った上で、本件新聞学専攻として行動している」「平成18年12月には、八田学長らに対して原告のことを教員としてはあるまじき『偽情報』を提供した」と表現していると認定した。つまり、判決は、渡辺教授が浅野教授には直接何も言わず、問い質すこともせずに、浅野教授を除く専攻教員を巻き込んで行動したことを問題にしたのだ。
 判決は、「セクハラ」など人格評価に重大な影響が予想される記事では、その影響、被害の重大性、被害回復の困難性などから、慎重で確実な取材、慎重な検証を踏まえた適正な判断をすべき、と指摘。情報源の渡辺教授は「原告に敵意に近い感情を抱いていた」と指摘し、渡辺教授とその紹介による三井、中谷両氏(指導教授は渡辺氏)から入手した情報の信用性は「慎重に検討する必要があった」と述べた。
 渡辺氏の指導を受けていた三井、中谷両氏の言い分を鵜呑みにして、裏付けをとらず記事にした文春を厳しく批判した。この判決は同志社における「セクハラ」はなかったと明確に認定したものだ。
 この裁判では、記事の中で「大学院新聞学専攻教務主任・B教授」「同志社関係者」「教員」「ある教授」として4役をこなした渡辺教授が「記事の真実性・真実と信じた相当な理由」を立証しようとした文春の依頼を受けて、法廷に立ち、守秘義務に違反して学内資料などを自分が提供したことを明らかにした。判決は、「本件記事の作成には渡辺教授が深く関与し、同教授の情報提供がなくては成り立たない状況であったと推認される」と指摘。渡辺教授が文春の取材開始前の05年9月から旧知の石井謙一郎デスクに本件記事の情報を垂れこんでいたことも認定した。

*「思い切った認定」と徳田靖之弁護士がコメント

 文春には2001年、「大分聖嶽遺跡捏造疑惑」報道で大学名誉教授を自殺に追い込んだ「前歴」がある。遺族の賀川真さん(同志社大学OB)が起こした名誉毀損訴訟の確定判決は、「私怨を持つ人の情報」による「疑惑報道」を強く非難し、賠償・謝罪広告を命じた。この判決で指摘された同じ過ちを、文春は懲りずに繰り返している。
 この「大分聖嶽遺跡捏造疑惑」報道訴訟を完全勝利に導いた大分の徳田靖之弁護士は判決文を読んで、支援会に次のような感想を寄せた。
 「すばらしい判決を勝ち取ったと思う。認められなかった二点は、いい加減な判断で非常におかしいが、主要な争点で、主たる情報源の渡辺教授が原告に敵意を持っていたと認定したうえ、ポイントになったC子さんに関する重要な証拠とされた添付ファイルについて、渡辺教授による改竄の可能性と、事後の書き加えの断定をしたのは高く評価できる。よくそこまで踏み込んで認定したと思う」
 大学で「マス・コミュニケーション論」「メディア・リテラシー」を講義する渡辺教授のメディア悪用が司法の場で厳しく糾弾された。「判決でここまで批判された渡辺教授は同志社で教授を続けることができるのか」と新聞記者たちは言っている。
 また、渡辺教授とともに行動したメディア学専攻教員の責任も重大だ。彼や彼女たちの行為が、結果的に学内の個人情報を含む多数の文書が、学外のメディア・文春にまで渡ることになってしまったことについて、倫理違反が問われることになるだろう。

*同様の情報源なのになぜ否定

 判決は全面的に評価できる一方で、極めて残念な部分もある。文春記事中のE子さん、中谷氏に関する記述の部分である。一審の審理ではほとんど争点にはならず、仮に事実であったとしても、それだけでは絶対に記事にはできないようなレベルの問題である中谷氏(文春記事中の「D」氏)と立命館大学学生のE子さんに対する「電話などでのハラスメント」について、判決は他の部分と矛盾した認定を行った。
 中谷氏に関しては、彼が渡辺教授、三井氏とともに、「浅野教授に対しTAをつけないなどの様々な嫌がらせ、渡辺教授を通じてのセクハラ委員会への訴え、メディアへの宣伝工作」などを行ったことが、問題の根源にある。これらの行動に対して、指導教授であった浅野教授は、中谷氏に「そのような行動はやめるように」厳しく注意した。中谷氏が「脅迫電話・メール」と言いふらしているのは、中谷氏が05年3月渡辺教授の手紙を入れてC子さんへ郵送したことが明らかになった後の、05年6月のことである。
 E子さんの件は、渡辺教授と親しいと思われる津田正夫・立命館大学産業社会学部教授(元NHKディレター)が、文春記事で問題にされた「電話」の約1年後にE子さんから聞いたとして、立命館大学セクハラ相談室(室長・生田勝義法学部教授)に持ち込んだ。しかし立命館大学内では、門前払いになっている。文春記事を「裏付ける」のは、渡辺教授の影響下にある三井氏と津田教授の話だけだ。であれば、判決はC子さんに関する認定と同様、「敵意ある情報源からの情報」として、信用性を否定すべきだった。
 中谷氏に対する「アカハラ」などと書かれている部分について、名誉棄損を認めなかった点も、判決の他の論理構造と食い違っており、控訴審において争点となるだろう。E子さん、中谷氏に関する記述も、三井氏・C子さんに関する記事と同じ情報源によっているのに、判決は矛盾した判断を示し、それも一つの根拠として、原告が強く求めていた謝罪広告の必要性を認めなかった。
 E子さんに関する文春記事に協力した津田教授は、浅野教授が「週刊新潮」に渡辺教授に関する「AV上映情報」を垂れ込んだと誤解・誤認していると思われる。(渡辺教授が、「週刊新潮」05年7月14日号記事「同志社大『創価学会シンパ』教授の教材は『AVビデオ』」で名誉を毀損されたとして、株式会社新潮社と早川清・新潮編集長、Q記者の計3者を相手取り、損害賠償請求を起こした裁判が大阪高裁で行われており、3月27日午後1時10分からに判決が言い渡される。)
 この裁判では、文春はE子さんに取材をしようともしていないことが石垣記者の証人尋問で分かった。文春は、C子さんに対しては実家へ手紙や電話で取材を強行したが、取材拒否されたことも裁判で明らかにされた。
 文春は、判決を受けて「セクハラ行為の一部が認定されたことは評価するが、被害者の証言が認定されなかった判決は到底承服できない」と強がったコメントをしているが、これは判決の悪用である。
 この裁判はハラスメントがあったかどうかの事実審理をしているのではない。セクハラの有無はしかるべき委員会やその件の裁判で裁定されるものだ。本裁判は、文春が書いた「セクハラ記事」が浅野教授に対する名誉棄損に当たるかどうかを審理したのであり、その範囲における「真実」「真実相当性」を証拠に基づいて認定しただけである。E子さんの件に関して、裁判では証人尋問もなかった。週刊新潮にまで働きかけたことのある津田教授が持ち込んだ「事件」である。
 浅野教授に「敵意」を持つ共同通信など一部マスコミも、一部のセクハラは真実であると認定されたと強調して報道しているが、この裁判はE子さんが浅野教授を訴えた裁判ではない。共同通信などのこうした報道は浅野教授にとって二次報道被害であり、新たな名誉毀損に相当すると考えられる。文春が渡辺教授を信用して記事を書いたことを裁判所は厳しく批判した。メディアとして必要なのは、渡辺教授の行為の違法性、不当性、倫理違反についての調査報道ではないか。

*文春裁判一審判決から抜粋

 判決文は34ページからが「裁判所の判断」であった。重要な部分を抜粋する。(注:下線は支援会が引いた。判決のポイントというべき部分)

 第3 当裁判所の判断
 1 本件記事の掲載並びに本件見出しの本件ホームページ及び本件広告への掲載が原告の名誉を毀損したかについて
 ⑴ 名誉を毀損するとは人の社会的評価を傷つけることに外ならないが、ある記事の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは、当該記事について、一般読者の普通の注意と読み方とを基準として判断するのが相当である(参照・最高裁昭和31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁)。
 ⑵ 本件見出しは、上記前提事実⑶ア記載のとおり原告を人権擁護派と持ち上げた上、被害者が原告の学内セクハラを告発した旨、大学当局が認定したと断言するものであり、本文以外の見出し部分も「他大学の女子学生も“被害”に」「A教授の猛省を強く求める」と記載され、それらに上記前提事実⑶
イ以下の本件記事1ないし6及びその他の記載部分をあわせて一般読者が読むとすると、人権擁護派の本件大学の教授である原告が同大学内外でセクハラを行い、その被害者が同被害を告発し、また、他大学の女子学生も被害にあった旨、そして、本件大学当局、同大学のセクハラ委員会が学内セクハラを設定し、それらに対して原告がどうして弁明をしないのか疑問を呈する内容として受け止められるものである。
 本件記事とともに本件ホームページ及び本件広告中に記載された本件見出しは本文などの記載とあわせるといずれもその内容からして原告の社会的評価を低下させるものである。
 ⑶ そうすると、原告は、本件記事とともに本件ホームページ及び本件広告により名誉が毀損されたものといわざるを得ない。

 原告が、三井が愛人にして欲しいと言ってきて困る旨の話を吹聴していると認めることはできず、その他、それを認めるに足りる証拠はない。

 同記事に関する資料のうちほとんどは渡辺教授の紹介によるものであること、中谷及び野原についても渡辺教授からの紹介もしくは三井からの紹介であることが窺われ、本件記事1をはじめ本件記事の作成には渡辺教授が深く関与し、同教授の情報提供がなくては成り立たない状況であったことが推認される。

 渡辺教授は、原告に対して直接原告のTA問題での言動やセクハラ問題について指摘するなどしていないが、上記⑴カ(ア)、キ及びクで認定したとおり本件新聞学専攻教員から原告に宛てて「浅野先生へのお願い」と題する書面を送付した際には同教員らに手持ちの資料に基づいて説明したり、同書面を起案するなど積極的な行動をし、さらに、三井及び中谷らに対する原告のセクハラ及びアカハラについて本件新聞学専攻教員と共にセクハラ委員会に申し立て、同委員会に活動の進捗状況や報告を求める行動を積極的に行っていること、原告によるセクハラ及びアカハラを改善する手段として同委員会への申立て前に事前に原告と何ら話合いをすることなく渡辺教授主導の下、原告を除いた本件新聞学専攻教員と話し合った上で、本件新聞学専攻として行動していること、また、平成18年12月には、八田学長らに対して原告のことを教員としてはあるまじき「偽情報」を提供したと表現している。
 渡辺教授の本件記事において果した役割(資料を含む情報の提供、三井らの人の紹介など)の他、同委員会への申し立てへの関与態様、原告に対する言動等、以上の事実を踏まえると、渡辺教授が本件記事の取材時に原告に対して敵意に近い感情を抱いていたことを窺わせ、原告と渡辺教授及びその周辺から取材をした被告らは認識できたことが推測できる。

 本件記事の取材開始決定前に本件記事に関し、渡辺教授と何らかの接触があり、同年9月下旬から10月初旬ころ、渡辺教授が被告文藝春秋に積極的に情報を提供したことが取材の端緒となったことが窺われ、かかる経緯からすれば、渡辺教授自身及び同教授から紹介を受けた人物(なお、三井、中谷はいずれも同取材当時渡辺教授の指導下にあった。)から入手した情報の信用性について、被告らは、慎重に検討することが必要であったといえる。

 三井に対する原告のセクハラ行為を直接基礎づける証拠はなかったうえ、同⑶で説示したとおり原告が各所で吹聴していたのであれば、渡辺教授及び三井ら以外の本件新聞学専攻教員などの関係者に取材をすれば、その真偽を容易に裏付けることができたものであり、かかる裏付けをしていないことを踏まえると、本件記事1に関する取材は被告らに上記アで要請された程度には達していないものであって、したがって、被告らが本件記事1に関する事実を真実と信じたとしても相当な理由があったとはいえず、その他、それを認めるに足りる証拠はない。

 C子は、自己に対するマルタでのセクハラについてセクハラ委員会に本件新聞学専攻を通じて申立てをしているが、自らの意思で同申立てを取り下げている。

 C子は、同取り下げをした後、指導教授であった渡辺教授とも連絡を絶ち、研究者としての途も絶ったことが窺われるところ、渡辺教授に対してそのような対応までとることはそれなりの理由があると思われるが、同委員会への申立て自体がその原因の一端であることが窺われる。以上のことを踏まえると、C子が原告から本件記事2の事実のような強姦まがいの行為をされたとまで認めることはできない。
 ところで、渡辺教授がC子より受信したと供述する添付ファイル(乙30添付資料)であるが、同ファイル自体も事後に改ざんできる可能性もあるし、仮にC子がその全文を作成していたとしても、セクハラ委員会への提出を踏まえて内容を誇張した可能性も捨てきれない。

 なお、同ファイルの文中には「○○」や「◎◎」があり、一旦記載された文章に事後において手が加えられたことを裏付けている。

 その使途については、上記⑴セで認定したとおりマスコミ学会が本件大学で開催された平成13年6月以前は、同学会の経費として1か月2万円の割合で、合計12万円が使用され、同使用事実は渡辺教授を含む本件新聞学専攻教員も認識するところであったところ、少なくとも、同学会以前については原告が浅野教授的に費消したと認めることはできない。

 RA報酬の半額をピンハネしたとの記載は真実であるとは認められない。

 本件記事掲載後すでに2年以上期間が経過していること、本件記事のうち真実であると認められる部分もあること、被告らに対し250万円の慰謝料の支払いを命じることにより原告の名誉回復は相当な程度可能であると考えられること、その他本件に現れた諸般の事情を考慮すれば、原告の名誉を回復するために謝罪広告を必要とするとまで認めることはできない。


*浅野教授が判決後、記者会見

 原告の浅野教授と堀和幸弁護士は、2月27日午後5時半から京都地裁1階にある司法記者会で記者会見した。約20人の報道陣がいた。テレビカメラが5台あった。
 浅野教授は「判決の一部に納得できない部分があるので、控訴する」との方針を明らかにした。また、「大学の委員会で調査中の事案を、同僚教授がメディアに垂れ込み、裁判でも文春の側に立って私を攻撃したのは、大学人としてあるまじき行為である」と指摘し、裁判所が同僚教授の行為を厳しく批判した点を評価すると述べた。
 京都司法記者会における原告の浅野教授の記者会見の内容は以下のとおり。
《同志社大学の浅野健一です。今日の判決は、全体的には評価できるのではと思います。文春記事で、「浅野健一・同志社大学教授の学内セクハラを被害者が告発する」と4ページに渡って書いた記事の主要部分、中核部分については、私の主張を認めています。特に、私の同僚の教授が私に敵意に近い感情を持って、知り合いのデスクのいる文春に情報と多数の学内資料を提供して、文春は彼が私に敵意をもっていることを知りながら、十分な裏づけもなしに、記事を書いたということ明確認定していただいた、と思います。
 また、大学当局がセクハラ、アカハラを認定したという記述も事実ではないと認定されました。一部に不満な箇所がありますが、それについては、今後控訴致します。
 この記事の前に、そもそも2003年秋ごろから、日本の主要な報道機関に、文春の記事に出ているような内容の情報を、多量に資料を付けて情報提供した人がいまして、それによってほとんどの報道機関の方が知っていました。「浅野が同志社大学のセクハラ委員会の審理にかかっている」という情報で、実際に、取材した社もあるようです。複数のメディアが、これは事実確認がとれない、ということで、記事にしなかったと聞いています。それから時間がずっと過ぎていて、文春が突然書いたということです。
 その人が、今日の判決で最も重要な情報源で、A子さん(女性)とDさん(男性)を文春記者に紹介した「原告に敵意を持つ教授」です。つまり、同僚教授のことで、自分が指導する院生ともう一人の院生を使って記事を書かせようとしたことが明らかにされました。
 私が大学の委員会で調査対象になっていることについて、ここで言及するのも、本来は守秘義務違反になるのですが、文春で活字になってしまったことで、裁判になり、今日判決が出ましたので、限定的に言います。私が04年1月から、「同志社大学セクシュアル・ハラスメント防止に関する委員会」の被申立人になっているのは事実です。普通は、学生が被害を、相談員を通じて訴えるのですが、私のケースでは、同僚教員が03年9月に被害のことを院生たちから聞いたということで、セクハラ委員会の委員長の教授に持ち込んで、04年1月に委員会の調査委員たちがA子さんとDさんから聴取して始まっています。異例のことで、これは本裁判の審理で明らかになりました。2人は04年4月から同志社大学で嘱託講師になりました。
 セクハラ委員会は06年11月に名称を「キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会」に変更していますが、大学のこの委員会で、私に関する審議は今も続いている、大学の中で、ハラスメントがあったかどうかというということを、調査に基づいて審議している最中です。同僚教授らは、それを承知で、教員としての守秘義務に違反して、申し立ての内容、委員会にかかっているという事実があるということを文春に持ち込んだ。それが4ページの記事になったもので、私は大学の中で、あるいは一般企業どこでもそうですけれども、そういうハラスメントがあったかどうかということを審議する、そういう手続きというものを完全に無視されました。
 委員会の審理は文春の記事になり、裁判で係争中ということで、審議が完全にストップしたままです。私にとってずっとその委員会の調査対象になったままになっているということです。つまり大学の委員会は、裁判の結果が出るまでは「静観する」という姿勢になっているわけでして、そのことが、私は非常に残念です。つまりそういう疑惑をかけられた教員が、はっきりした結論が出ないまま、今日に至っているということを、私はこの裁判を通して、その不当性を言うしかなかった。
 委員会の本来の目的は、大学の中でハラスメントが起きない環境をつくり出していくということです。それがそもそも委員会の目的であった。ところが、委員会に持ち込み、それをマスコミに報道させて、自分が嫌っている特定の教員を社会的に葬り去ろうとしたわけです。委員会の申し立て件の濫用です。
 委員会は、この裁判の途中で名前を変え、申立人とか、調査に携わった人、調査を受けた人など関係者すべてに守秘義務を課すという厳しい規定が新たに設けられました。これはこの裁判と無関係ではないのではないかと、私は思っています。私の事案の他には、委員会で審理されていたことを外部に持ち出したことは全くない。私の事案のように、申立人や、調査に関係した教員が、委員会にかかわる情報をメディアにリークして、メディアを使って制裁させるようなことがあっては、委員会は成り立たない、という意味での規約改正だと思います。
 控訴審では、謝罪広告の掲載命令を勝ち取りたい。朝日新聞と読売新聞の東京本社版の文春広告の見出しに、文春記事の見出しと同じ文章が載っていたので、それを読んだ人が多い。実際の記事は読まなくても、この見出しに私の実名、役職が出ていますから、影響は大きい。子どもの友人たちも見ています。一審でも、同じ新聞の広告欄で、謝罪訂正の文言を載せるように要請してきたのですが、裁判所は、全体的に主要な部分が真実ではないと認定しがら、ここを回避されたというのは残念な気がします。「記事が出てから2年たっているから」という理由で謝罪広告の命令を出さなかったのは納得がいきません。
 憲法上、「表現の自由」「報道の自由」が絶対的権利として保障されているので、どこに記事を載せろとかの命令を出すことに、裁判所は消極的であるというのは理解できますが、こういう悪質な虚偽報道の場合は、例外的に認めてほしい。そうでないと雑誌側は反省しない。新聞に大きく載り、目に飛び込んでくる週刊誌の多くの見出しが、読者に与える影響は相当大きい、そういう今のその状況を改正するために、「新聞広告欄に訂正謝罪文を」という画期的な判決を大阪高裁で勝ち取りたい》
 また、堀和幸弁護士も記者会見で次のように話した。
 《全体的な評価は今原告の浅野先生が言われた通りで、弁護団としても同じ感想です。特にA子さん、C子さん、これは本当にコア、核心となるところだったので、この部分の信用性を判決は明確に否定された。特に同僚の教授について、敵意に近い感情が感じられるというところまで突っ込んで書いてもらったり、あるいはC子さんのメールについていたという添付ファイルについても改ざんの可能性・痕跡があると、かなり踏み込んだ認定をされた、という点では大いに評価できるというふうに思います。
 ただ、今原告が言われたように、C子さんを否定しながらなぜE子さんについては、資料の真実性を認めたのか、あるいはDさんについては、もう少しやはり全体的な流れの中で原告との関係からとか、そういうことから、「木を見て森を見ない」という不満は残らざるを得ない。それから、謝罪広告、お金を払わせればそれで名誉は回復できるのではないか、というのはやはり我々としては不満が残るので、当然文春が雑誌に載せるのはもちろんのこと、新聞広告に謝罪広告を出させるように、また闘っていきたい、ということです》

記者会見では引き続いて、次のような質疑があった。

記者:浅野先生、不満がある認定の部分で、謝罪広告の点はわかりました。認定で具体的に不満がある点というのは?

浅野:二点あります。Dさんについては、全体を見ていない。E子さんのケースは、同僚教授に非常に近い同志社のライバル大学の教授陳述書と、信用性が否定されたA子さんの情報しかなく、証人も呼ばれず、全く審議していない。その大学のセクハラ相談室でも審議されていない、それなのに名誉棄損と認めないという矛盾した判断をしています。名誉棄損裁判なのに、裁判所がアカハラとかセクハラについて真実だという判断を証拠調べもせずに示したのはおかしい。それは大学の委員会の仕事ではないでしょうか。

堀弁護士: ハラスメントがあったというふうに認定しているのは行き過ぎだ。

記者: 事実3と4ですか。

弁護団: そうです。それについてはちょっと不満がある。それはもう当然ですね。それと謝罪広告。全然理論的な検討もしないで、理由もなく、不要としています。これは当然我々としては納得できない。金が目的で裁判をしているわけではないけれど、損害賠償額が非常に低く、浅野先生の名誉、地位を非常に軽く見ていることも問題だ。

記者: 報道による名誉毀損の関係の裁判、いくつもあると思うんですけど、その中でも特段低いというふうに見ているわけですか。

浅野:そういうことはない。今の大学院の教授の名誉とはその程度に見られているのかと思う。日本の裁判の普通の判断だと思う。額としてはそんなに不満ではない。私としては、それよりも、謝罪広告、特に新聞広告に四分の一のスペースで、訂正文を載せろという判決がほしかったということです。
 繰り返しますけれども、新聞社の人にも深刻に考えてもらいたいのですが、週刊誌を買わなくても、新聞に載るあの見出しで、いろんな人に知れ渡ってしまう。私の場合も、それを見てたくさんの人が心配してくれました。新聞社は、自分の社のことが不正確に書かれたと判断すると、そこだけ白く消す時もありますけど。
 電車の中吊り広告には載らなかった。朝日と読売も東京本社以外の文春広告には、この記事の見出しは全く載っていない。関西の新聞社には、文春と新潮の広告がセットで下の方に載ります。スペースを半分ずつで、東京本社の広告の半分です。関西で雑誌を売ろうとするなら、私は同志社大学教授ですから、普通は広告の目次に入れるのではないでしょうか。ネットの広告にはかなり上の方に今も載っています。これはどういうことなのかなと不思議に思います。記事に自信がなかったのではとも思いました。
 しかし、それよりも、大学の委員会に同僚教授を通じて被害を訴えたDさん。Dさんは男なんですけれども、A子さんがセクハラで訴えたのですが、二人の院生がセクハラ委員会に訴えたというので、Dさんを女性と思っていた人が多い。それからC子さんですか、C子さんは大学の委員会には訴えていません。
 同僚教授は報道機関に、私に対して敵意に近い感情を抱いて、情報をばらまいたのですが、メディアを騙しています。判決では、文春はその点について認識不足であると言っています。敵対関係にある人の情報に基づいて、十分な取材をせずに報じたという認定です。大学の委員会のことでも、八田学長から委員会の最初の報告について、差し戻し命令があって、調査が続行していた。それも知っていて、「大学が認定」と書いた。それからセクシャルハラスメントと、いわゆるパワハラという言葉を混同させて、大学がセクハラを認定したとごまかした。そういうところは、判決は厳しく指弾した。それは嬉しかった。
 私自身、報道被害のことを勉強し、各地で調査してきました。昨日まで志布志事件を鹿児島で調査しました。新聞社やテレビ局の人たちの協力を得て、やってきました。実際にメディアに書かれる、活字になる、という怖さを、この間体験しました。そういう意味で、報道被害を研究してきた者として、本人が報道被害者になって、裁判まで起こしたのは感慨深いものがあります。
メディアの人たちは「何か間違いがあったら裁判を起こしたら良いじゃないか」とよく言いますが、裁判を実際にやるのはいかに大変かということを痛感しました。ですから、言論に関わる問題を解決する報道評議会などのメディア責任制度が不可欠です。
放送界にはBPOがちゃんとありますけど、活字界も、今のうちにつくっておかないといけない。迅速にです。ところが雑誌協会は、そういうものはいらないと言っています。新聞協会は協議して指針を発表し、民間放送連盟も取り組んでいます。裁判員制度の前に、メディア責任制度が必要です。そういう意味ではこの裁判を闘いながら、報道被害をどうなくすかを提起していきたい。
 セクハラをしたかどうかという、もし真実なら大変なことですから、軽々に扱ってほしくない。私は、私にセクハラを受けたというなら、民事裁判を起こしてやってもらいたいと思う。大学の委員会で審理しているということを、メディアを研究している学者が、メディアに持ち込んで、報道させて社会的に葬り去るという恐ろしいことが起きます。
 セクハラ、アカハラを訴える人に中には、ウソをつく人もいるし、ある人間に敵意や憎悪の念を抱いている人が、利用することもあります。
そういうところの委員会の仕組みの弱さや、手続きの民主化も必要です。他の企業でも同じだと思います。今後は大学でシロの認定を勝ち取り、二審でも勝って名誉を回復していきたい。

*判決報告集会

 判決のあった2月27日午後6時から京都弁護士会館で報告集会があった。山田悦子さん、松岡利康さん、山際永三さん、山口正紀さん、松本弘也さん、佐々木道博さんらが参加した。参加者たちは、控訴審(大阪高裁)の闘い方について、それぞれの経験からアドバイスした。
 浅野教授は集会で次のようにあいさつした。
 《この裁判が始まってしばらくして、同志社大学のセクハラ委員会が名前を変え、キャンパスハラスメント防止に関する委員会(通称・キャンパラ委員会)になりました。アカハラで訴えられても、「セクハラ委員会にかかっている」ということになるのはおかしいということでの名称変更です。
 もう一つは、ハラスメントを訴える申立人にも厳しい守秘義務が課せられました。キャンパラ委員会の中に、個別の事案で調査委員会ができるのですが、私の場合は3人の調査委員がいました、調査に関わった人すべてに守秘義務があるという規定になりました。2月の教授会で社会学部長が「これは当然のことだけれども、改めて、大学として、こういう委員会に関係した教職員に守秘義務があることを強く認識してもらうための改定です」とわざわざ通達しました。
<同志社大学倫理審査室によると、キャンパラ委員会の内規が08年3月1日に改定され、第9条(秘密保持)に「キャンパス・ハラスメントに関する相談、調査等に関わったすべての者は、関係者の名誉及びプライバシーその他の人権を尊重し、知り得た秘密を他に漏らしてはならない」との条文が入った。もともとの内規は第6条(相談・苦情への対応)の「4」に「相談員は、相談内容などについて個人のプライバシーの保護に特に留意し、知り得た秘密を厳守しなければならない」としていた。内規に「秘密保持」の項目が単独で入り、秘密厳守の規定の対象が広がり、厳しくなった。>
 渡辺教授らが私の事案を、委員会の審理中に、メディアに持ち込んだことで、こうした改定につながったと私は見ています。
 他の学内委員会でも、申立人にも守秘義務が課せられています。つまり学生が、例えば教授にセクハラされたと申し立てた場合も、その学生にも守秘義務が課せられる。これは最初、若松先生がそれを繰り返しおっしゃっていたのです。若松先生は、どこの会社や団体でも同じだが、「セクハラをされた」とウソの訴えをした人に、何のペナルティもないのはおかしい、つまり私のケースでは、被害をでっちあげて私を非難した三井愛子さんと、委員会へ持ち込み文春までリークした渡辺教授には何のペナルティもないのはおかしい、と言っていました。刑事事件で虚偽の告発をすれば、虚偽告訴(誣告)罪に問われる。三井さんはウソをついてセクハラ委員会に申し立て、その上で、渡辺教授、中谷氏と共謀して、メディアに「浅野健一がセクハラ委員会にかかっている」と宣伝している。
 文春記事は後半を読むと、セクハラ委員会にセクハラとアカハラで訴えられているが、アカハラ発言が一旦認定されたと書いてあります。セクハラではない。しかし、セクハラ委員会で認定があったという記事の作り方になっています。
 そうすると、多くの人はセクハラで訴えられて審理されていると思う。だから私たちの仲間の中にも、記事のDさんが女性だと思っていた人がたくさんいました。つまりセクハラを受けた被害者の院生2人というわけだから、Dも女性だと思ったのです。実際は、中谷氏は男性。裁判の中でもそれがなかなかわからなかった。
 記者会見でも強調したのですが、朝日と読売の新聞広告欄に訂正記事を載せさせたい。私の家族の友人も文春の新聞広告の中にあった見出しの文を読んでいた。私の大学の友人やテニス仲間、高校大学の友だちなどは、文春記事は読んでいないのですが、新聞広告を見ている。その影響はすごく大きいのでこれは二審で勝ち取りたい。そこだけは譲れない。
 今日の判決ですごくいいと思うのは、文春記事のことだけでなく、新聞広告に載った記事と同じ内容の見出し、インターネットのHPにある見出しの三つが名誉棄損になっていると繰り返し書いていることです。文春は直ちにホームページの見出しを削除すべきです。
 文春絡みの民事事件は文春が負けた事件は全部最高裁までいきます。そういう形でやっている会社ですから。最初から前提として、人権侵害記事を載せて裁判になることを分かっていて、ひどい記事を載せるという会社です。こっちが控訴をやめても向こうがやってくるわけだから、こちらも当然控訴する。
 今回、渡辺教授が私に敵意をもっていろいろなメディアを使ってやっていたということを、今回の判決が認定しているのは、地元の記者が出してくれた陳述書で、渡辺教授がメディアの幹部との人脈を利用して、三井・中谷両氏を多くの新聞・放送記者に会わせてきた経緯を明らかにしてくれたことが効果を発揮したと思います。
 渡辺教授らは共同通信と京都新聞、NHK、毎日放送などに力をいれてやっていました。自分の親しいところと、私に敵対的なところを選んでいたのです。》

*メディアの判決報道

 関西の新聞は、原告の勝訴をはっきり書いている。記事の主要部分が虚偽で、学内セクハラはなかったということを明快に伝えた(注1)。
 NHKは午後8時45分からの近畿ローカルの2番目のニュースで詳しく報じた。文春の記事が真実に反していることをはっきり伝えた。ただし、同志社の正門の映像を流して、「女子学生3人にセクハラをしたと書かれた」と伝えたのは不正確だ。
 共同通信だけが今も浅野教授に「敵意に近い感情」を抱いているようで、認定されなかった部分について、あたかもハラスメントがあったことを真実として認定したかのように報じた。この裁判は記事に名誉棄損があったかどうかを審理したのであって、ハラスメントの有無を決めたのではない。共同通信の配信記事を掲載した東京新聞の記事(見出しは《「セクハラ」記事 文春に賠償命令 地裁、一部は事実認定》)を読んだ人たちからは、ハラスメント認定のことを心配するメールがあった。見出しに「一部は認定」と入れたのは共同通信配信記事だけである。
 浅野教授は共同に抗議文を送ったが、共同は「謝罪訂正は不要」と答えた。

*勝訴で多くの方々から激励

 新聞を読んだ人たちから、おめでとうというメールが、浅野教授や支援会に多数届いている。学生からも多くのメッセージが寄せられた。
 《今朝の新聞読みました。先生の主張の核心が司法の場においてしっかり認定され、原則勝訴されたとのこと、先ずはお喜び申上げます。また、今後も継続される裁判を通して、終局的に勝利されることを願っております。》
 《裁判がなかなか良い結果で安心しました。おめでとうございます。そして先生、ひとまずお疲れ様でした。謝罪が載るまでもうひと頑張りですね。応援しています。》
《一部争いどころはあるものの、実質的な勝訴判決で本当に安心しました。まだ控訴審が続きますが、この調子でがんばってください!》
 《ピンハネ疑惑の完全排除、三井とC子情報を捏造した渡辺教授について厳しく言及しているのは評価できると思います。高裁に向けて、できることはしたいと思います。》
 《まずは勝訴おめでとうございます。渡辺教授らの不当な策略が裁かれて良かったと思います。とくに三井氏の主張と「C子さんメール」も退けたことは大きいと思います。一方で、ほとんど争点にはならなかったのにこちらの主張が認められなかった2つの事実については、一部メディアの報道も含めて残念です。これからは控訴審ということで、あくまでも正攻法でこちらの主張を続ければよいのではと思っています。》
 《文春が、早速、「セクハラ行為の一部が認められたことは評価する」といっているので、こちら側としても、主要な部分が認められたことを全面的にアピールしていくことが大切なような気がしています。これからも長い戦いになりそうですが、頑張って下さいというと、あんな破廉恥なのを相手にするわけですから、気長にノンビリやってもらったほうがいいのではないでしょうか。微力ながら、応援しています。》
 《完全に満足できる内容ではないものの、勝訴という結果は本当に良かったと思います。
長い期間に渡る戦いでした。本当にお疲れ様でした。しかし、戦いは終わったわけではなく、これからも大変かと思います。心から応援しています》
 《勝訴おめでとうございます。しかし謝罪訂正命令が出ていないとのこと。なんとなく腰が引けた判決のような気がします。こうなったら高裁で全面勝訴と行きたいものです。まだまだ、きびしい闘いが続きそうですが、お体にお気をつけがんばってください》
 《先生の裁判の勝訴、おめでとうございます。勝つと思いましたよ(笑)》
 《勝訴判決が出て―もともと、当たり前だという側面があったのでしょうが―やっぱり、おめでたいこと、嬉しいことに違いありません。お慶び申し上げます。控訴して、「完全勝利」を勝ち取るという、次なる目標達成に邁進なさってください。簡便ですが、とりあえずのお祝いのため…》
 《判決、いい判決であったということで、良かったです。控訴審、大阪高裁へは行きます、よろしくお願いいたします》
 《本当によかった。浅野さんの支援者やご家族にとって晴天の霹靂でしたね。神様が浅野さんを選んで試練を与えたとしか思えない出来事です。こちらでは、裁判や判決についての報道が見えませんでした。いい判決ですが、しかし、謝罪広告を認めないということは重大な問題です。加害マスコミが謝罪広告をするということは、被害者の人権の侵害が回復されるという最低限の手段ですが、それを私たちからもぎ取り、金で片づくようになる社会を助長することに、なってしまいました。控訴審が、謝罪広告を認めるように祈念します。》
 《裁判ひとまずは勝利とのこと、お喜び申し上げます。》
 《骨格となる渡辺教授からの証拠が否定された以上、全面勝訴でいいはずだと思いますが。あるいは裁判所は、控訴審に行くように考えて判決を書いたのでしょうか。賠償額がそれにしても安いですね。精神的苦痛、弁護士費用を考えたら、大幅赤字でしょう。人権に関する価値が、低いのは、なぜでしょうか。報道する側にいた人間としては、現役のころ、何を書いても、かなり安い賠償額で済むというのは、ありがたいことだと、在職中は思っていましたが。勝手な感想でした!》
 《まずはご苦労様でした。裁判のしんどさは、やったものでしか分かりません。浅野先生には、この2年半ほど、大変だったものと察するにあまりあります。本日の判決で、果たして浅野先生の名誉が完全に回復されたかどうかわかりませんが、その内容の精査は別として、これから控訴されるということですので、最後まで頑張っていただきたいと思います。この判決の法的な面とは別に、この判決を見たら、伝統のある同志社大学の新聞学専攻の中で、渡辺教授と浅野先生との異常な関係が生まれています。新聞学専攻は、かつて和田洋一、城戸又一、鶴見俊輔氏らを擁し、卒業生にも藤本敏雄氏らがいます。その新聞学、いまはメディア学科、メディア学専攻となっていますが、そこで、こういうことが起きているのは皆さん驚くのではないかと思いますね。》

*控訴とこれからの展望、支援者の皆様へのお礼

 京都地裁判決は、全体的には良い判決でした。ただ、浅野教授の主張の主要部分を認めており、全面的勝訴といってよいでしょう。ただ、275万円の賠償を命令したのに、謝罪・訂正命令が出なかったのは、支援会としても理解できない。控訴審の重要な争点になると思われます。
 現在までのところ、文春側は275万円の仮執行停止申立をしていません。普通、賠償金額を払う意思がなく、控訴して徹底的に争うつもりならば、「賠償金は払うつもりはない」という仮執行停止申立をすぐにするのですが、今回は文春側はそれをしていないようです。
 原告側は、4月中旬までに控訴趣意書を大阪高裁に提出する予定です。支援者の皆様、控訴審の支援もよろしくお願いします。
 控訴審では名誉棄損とされなかった二つの事項を名誉棄損と認めさせ、謝罪広告の掲載命令をとる必要がある、と支援会は考えています。見出し部分の記載について、判決は100%不当と認めたわけだから、新聞広告と文春本紙に謝罪広告を掲載させるのは当然のことで、謝罪広告を載せさせるために、努力したいと思っています。
 第1審では、2年1カ月にわたる裁判となりましたが、基本的な主張で勝訴となりました。
 長期にわたる支援会員の皆様の温かいご支援に心より感謝いたします。


(注1)以下はメディアの報道

NHK
2007年2月27日20時45分の「京都ニュース845」 

 小山正人アナウンサー:週刊誌にウソの記事を掲載され、名誉を傷つけられたとして、同志社大学の男性教授が、出版社の文藝春秋などを相手取り、1億1千万円の損害賠償などを求めていた裁判で、京都地方裁判所は今日、訴えの一部を認め、文藝春秋などに275万円を支払うよう命じる判決を言い渡しました。
(同志社大学今出川校地の正門の映像が映る)
 この裁判は、同志社大学の浅野健一教授が、文藝春秋が3年前に発行した週刊誌『週刊文春』に掲載された、浅野教授が3人の女子学生にセクハラ行為を行い、大学側も行為を認めたなどとする記事をめぐり、事実に反する内容で、名誉を傷つけられたとして、文藝春秋などを相手取り、1億1千万円の損害賠償と、謝罪記事の掲載などを求めていたものです。今日の判決で京都地方裁判所の中村哲裁判長は、同志社大学の大学院生2人へのセクハラについては、セクハラ行為を直接裏付ける証拠はなく、大学の調査も最終の結論は出ていない。慎重で確実な取材と検証がなされておらず、記事の内容が真実と認められないと指摘しました。
 一方で、別の大学の女子学生へのセクハラ行為など、一部真実と認められる部分もあるとして、訴えの一部を認め、慰謝料など275万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

 浅野: 今日の判決は全体的には評価できる。一部不満な箇所がありますが、それについては今後控訴を検討しています。その事実認定の誤りについて、控訴審の大阪高等裁判所で、正しい判断にしていきたい。

 アナウンサー: 一方、文藝春秋は「セクハラ行為の一部が真実と認められたことは評価するが、被害者の法廷での証言が認められておらず、今日の判決は到底納得できない。直ちに控訴をする」とコメントしています。
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以下は新聞記事(HPなどより)

*朝日新聞
セクハラ報道で週刊文春側に275万円の賠償命令
2008年02月27日

 「週刊文春の記事で名誉を傷つけられた」として、同志社大学社会学部の浅野健一教授(59)が、発行元の文芸春秋(東京)や編集人らに1億1千万円の損害賠償や謝罪広告の掲載を求めた訴訟の判決が27日、京都地裁であった。中村哲裁判長は、学生に対するセクハラ疑惑を報じた記事の一部について「真実でない」と認め、同社側に275万円の支払いを命じた。浅野教授と同社側は双方とも控訴する方針。
 判決は、05年11月24日号の週刊文春の記事について、浅野教授が同志社大大学院生2人に対してセクハラ発言をしたとする記述は、「慎重で確実な取材や検証を踏まえた掲載ではなく、真実と認められない」と認定。一方、別の大学生へのセクハラ発言などを報じた部分については「一部真実であると認められる」とした。
 浅野教授は「記事の中核部分に対する主張がほとんど認められ評価できるが、一部について不満があり、控訴したい」と話した。一方、同社側は「セクハラ行為の一部が真実であると認定されたことは評価するが、被害者の証言が認定されなかった今回の判決は、到底承服できない」としている。
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*読売新聞
セクハラ記事で名誉毀損、文芸春秋に275万円の賠償命令
2月27日20時24分配信 読売新聞

 週刊文春の記事で名誉を傷つけられたとして、浅野健一・同志社大教授(59)が、発行元の文芸春秋と編集者に1億1000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が27日、京都地裁であった。
 中村哲裁判長は「記事の一部は真実ではなく、原告の社会的評価を低下させた」として、被告側に275万円の支払いを命じた。
 判決によると、週刊文春2005年11月24日号は、「『学内セクハラ』を被害者が告発」との見出しとともに「浅野教授のセクハラを大学当局が認定」とする記事を掲載した。中村裁判長は「記事の一部は真実と認める証拠がない」などと指摘する一方、別の大学の女子学生にセクハラに当たる発言をしたなどの記載については事実と認定した。
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*毎日新聞

<教授セクハラ報道>文芸春秋に賠償命令 京都地裁
2月27日20時52分配信 毎日新聞

 週刊文春の記事で名誉を傷つけられたとして、浅野健一・同志社大社会学部教授(メディア学)が発行元の文芸春秋(東京都)と編集責任者ら3人に慰謝料など1億1000万円を求めた訴訟で、京都地裁は27日、275万円の支払いを命じた。中村哲裁判長は、5件の嫌がらせがあったとする記事の真実性について、3件を否定し、2件を認定した。謝罪広告掲載の請求は棄却した。
同誌は05年11月24日号で「『学内セクハラ』を被害者が告発」の見出しで、記事を掲載。判決は、浅野教授が指導する大学院生らに「信頼関係は0に近い」とメールしたことなどをアカデミック・ハラスメントと認め、他大学の女子学生に対する電話でセクハラも推認されるとした。
-------------------------------------------------
*日経新聞

名誉棄損を認め文春に賠償命令、同大教授記事巡り地裁。2008/02/28, 日本経済新聞 朝刊, 43ページ, , 257文字

 「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、同志社大社会学部の浅野健一教授(59)が発行元の文芸春秋などに一億一千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は二十七日、二百七十五万円を支払うよう命じた。
 中村哲裁判長は判決理由で、教授が大学院生の女性にセクハラに当たる発言をしたなどとする記事は「真実と認めるに足りる証拠がない」と述べた。別の大学の女子学生にセクハラをしたとする部分は真実だと認定した。判決によると、週刊文春は二〇〇五年十一月、「『学内セクハラ』を被害者が告発!」との見出しで記事を掲載した。
-------------------------------------------------
*産経新聞

同志社大教授の教え子セクハラ訴訟、文春に275万円支払い命令
2月27日21時14分配信 産経新聞

 週刊文春の記事で名誉を傷つけられたとして、同志社大学社会学部の浅野健一教授(59)が、発行元の文芸春秋などに、慰謝料など1億1000万円の支払いと謝罪広告の掲載を求めた訴訟の判決が27日、京都地裁であった。中村哲裁判長は「一部事実ではない」として文春側に275万円を支払うよう命じた。謝罪広告は認めなかった。
 判決によると、週刊文春は平成17年11月、浅野教授が教え子の大学院生にセクハラをし、大学の調査委員会が認定したなどと報じた。
 判決は「調査委の報告書は最終結論ではなく、セクハラを認定したと評価できない」とし、セクハラの事実はないと指摘。他大学の学生に「一緒に海外出張に行こう」と電話したなどとする内容は事実と認定した。
 文芸春秋の話 「セクハラ行為の一部が認定されたことは評価するが、被害者の証言が認定されなかった判決は到底承服できない」
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*京都新聞

京都地裁が週刊文春に賠償命令 浅野・同大教授のセクハラ記事は「事実無根」
2月27日22時29分配信 京都新聞

 事実無根の記事で名誉を傷つけられたとして、同志社大社会学部の浅野健一教授(メディア学)が、記事を掲載した「週刊文春」の発行元の文藝春秋(東京都)や週刊文春の編集長らに1億1000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が27日、京都地裁であった。中村哲裁判長は記事の一部について「真実ではなく名誉棄損に当たる」と認め、275万円の支払いを命じた。
 判決によると、2005年11月の週刊文春は「『学内セクハラ』を被害者が告発」の見出しで、同志社大の元女子学生らが浅野教授からセクハラ発言をされ、大学当局がその一部を認定した、との記事を掲載した。
 中村裁判長は、女子学生2人へのセクハラについて「真実と認める証拠がなく、十分な裏付け取材をしていない」と指摘した。「大学当局が認定」との記載も「再調査中であり、公式な結論とは言えない」と判断し、見出し部分についても違法性を認定した。
 一方、浅野教授が複数の大学院生に博士論文の主査であることを強調したメールを送ったことは「アカデミックハラスメントに当たり、記事は真実」とした。別の大学の女子学生1人へのセクハラ発言も事実と認めた。
 判決を受け、浅野教授は「主張の中核部分は認められたが、謝罪広告の掲載を命じなかった点などは不満が残り、控訴したい」と話した。文藝春秋社長室は「一部が真実と認定されたことは評価するが、勇を奮って証人に立った被害者の証言が認定されなかった判決は到底承服できない」とコメントした。

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*時事通信

文芸春秋に275万円賠償命令=浅野教授「セクハラ」記事-京都地裁
2月27日20時1分配信 時事通信

 女子学生にセクハラをしたなどとする週刊文春の記事で名誉を傷つけられたとして、同志社大社会学部教授の浅野健一氏(59)が、発行元の文芸春秋などを相手に1億1000万円の損害賠償と謝罪広告などを求めた訴訟の判決で、京都地裁(中村哲裁判長)は27日、記事の一部に名誉棄損を認め、275万円の支払いを命じた。
 中村裁判長は、記事にあった2人の女子大学院生に対するセクハラ行為などについて「真実と認めることができない」などと指摘。一方、別の女子大学生へのセクハラや大学院生へのアカハラ行為については真実と認定した。謝罪広告は認めなかった。 

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*中国新聞より(共同通信配信記事)

名誉棄損で文春に賠償命令 浅野教授の記事、一部真実 '08/2/27

 「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、同志社大社会学部の浅野健一教授(59)が発行元の文芸春秋などに一億一千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は二十七日、二百七十五万円を支払うよう命じた。謝罪広告の掲載は認めなかった。
 中村哲裁判長は判決理由で「人格評価に多大な影響を与える記事の場合、慎重で確実な取材と検証が要請される」とし、教授が大学院生の女性にセクハラに当たる発言をしたなどとする記事は「真実と認めるに足りる証拠がない」と述べた。
 一方、別の大学の女子学生に「一緒に海外出張に行こうよ」などと話し、セクハラをしたとする部分は真実だと認定。同志社大の院生に「自分は博士論文を審査する資格のある教授だ」などと伝え、アカデミック・ハラスメントをしたとする部分も真実とした。
 判決によると、週刊文春は二○○五年十一月、「『学内セクハラ』を被害者が告発!」との見出しで記事を掲載した。

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*共同通信配信記事

2008年02月27日 18:56:53

 名誉棄損で文春に賠償命令 
 浅野教授の記事、一部真実 
 「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、同志社大社会学部の浅野健一(あさの・けんいち)教授(59)が発行元の文芸春秋などに一億一千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は二十七日、二百七十五万円を支払うよう命じた。謝罪広告の掲載は認めなかった。
 原告、被告とも控訴する方針。
 中村哲(なかむら・さとし)裁判長は判決理由で「人格評価に多大な影響を与える記事の場合、慎重で確実な取材と検証が要請される」とし、教授が大学院生の女性にセクハラに当たる発言をしたなどとする記事は「真実と認めるに足りる証拠がない」と述べた。
 一方、別の大学の女子学生に「一緒に海外出張に行こうよ」などと話し、セクハラをしたとする部分は真実だと認定。同志社大の院生に「自分は博士論文を審査する資格のある教授だ」などと伝え、アカデミック・ハラスメントをしたとする部分も真実とした。
 判決によると、週刊文春は二〇〇五年十一月、「『学内セクハラ』を被害者が告発!」との見出しで記事を掲載した。

2008年02月27日 18:47:28

 主張の中核認められた 
 浅野健一(あさの・けんいち)教授の話 判決は、わたしの主張の中核的部分を認めており全体的に評価できる。謝罪広告など一部認められなかった点には不満があり、控訴する。
2008年02月27日 19:05:54
到底承服できない
 文芸春秋社長室の話 セクハラ行為の一部が真実と認められたことは評価する。一方で、勇を奮って証人となった被害者の証言が認定されなかった今回の判決は、到底承服できない。直ちに控訴の手続きに入る。


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