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■文春裁判速報・進捗
速 報 SUBJECT 掲載日
文春裁判・第5回期日報告 2006年12月2日

 第五回期日は、十月二十五日午後四時半から、京都地裁三一三号室(ラウンド法廷、中村哲裁判長)で開かれました。

 今回は、原告・被告双方が誰を証人として呼ぶのかなどの協議であり、陳述書の提出についても話し合われました。通常の法廷とは違って、裁判官と両代理人、原告らがラウンドテーブルを囲んで膝を突き合わせて話をする形となりました。

 被告代理人・喜田村洋一弁護士が、東海道新幹線静岡駅で起きた人身事故による遅延で、京都に来られないということで欠席したため、裁判所が東京のミネルバ法律事務所に電話を入れて、電話会議形式で行われました。しかし新幹線が止まったのは午前中だけで、東京を午後一時半過ぎに出れば、十分に間に合ったはずです。新幹線利用をやめて伊丹または関西空港まで飛行機でも来られるはずです。バスの利用も考えられます。しかも今回の期日については、喜田村弁護士の都合に合わせて決まっており、原告の浅野教授は大学院の講義があるのにもかかわらず、代講の講師を手配して日程を合わせました。喜田村弁護士は本裁判をなめているとしか思えません。ずる休みだと断言されても仕方がありません。

 そこで浅野教授は協議の冒頭、「喜田村弁護士がここにいないのは納得できない。膝を突き合わせて協議するのがラウンド法廷ではないのか」と発言して抗議の意を示しました。
中村裁判長は、喜田村・文春代理人による十月二十五日付の準備書面を受理し、陳述したと扱うと述べました。

 喜田村弁護士はこの書面で、原告がセクハラ加害者であると断定して、非難しています。一般的な「セクハラ被害者保護論」に依拠し、渡辺教授・津田教授を信用したと主張しています。原告側の主張を歪曲・曲解しての“反論”が目に余ります。

 また、原告側が文春側の虚偽報道を証明するために大学のセクハラ委員会責任者から聞いたことを先の書面で書いていることを、守秘義務違反の主張とのダブルスタンダードとまで書き、さらに「セクハラ」事案の特殊性で、被害者に取材は避けたなどと述べています。セクハラに関しての原告の認識が時代錯誤だという侮辱的な表現も見られます。

 それに加えて原告が属する大学の専攻教員「連名」文書について、その文書を原告のセクハラ行為が実在して周囲にも認知されていた根拠であるかのように主張していながら、肝心の当該文書の作成経過に関する原告側の求釈明には何ら回答していない有様でした。

 そして今回、原告の求釈明について、被告側は週刊文春の発行部数ただ1点を除き全く答えませんでした。そこで原告代理人の堀和幸弁護士が「何も答えていない。改めて釈明を求める」と抗議。中村裁判長も問いただすと、喜田村弁護士は「原告からの求釈の内容については、基本的に証人申請した人たちの陳述書の中で明らかになるだろう。書面では特に答えない」と答えました。しかし裁判長はその返答だけでは納得せず「確かに抜けているところがある。原告の求釈明に答えない場合、裁判所がお聞きすることもあると認識してほしい。その場合は答えてほしい」と要請。喜田村弁護士は、弱々しい声で、「わかりました」と述べました。

 次に裁判長が、被告準備書面で誰を被告側として証人申請するのかが一応明らかにされたのを受けて、「原告側の証人についても、誰を申請するか、大体の予定でいいので言ってほしい」と問うと、原告側は「基本的には、被告側が申請した証人と重なる。もちろん、原告本人は申請する。ただ、被告側がどういう人を申請するかに応じてこちらも人数・人選を考えなければならない。また表現の自由論やセクハラ問題についての鑑定的な証人など、損害論的な側面からも証人・陳述書は申請する予定である」と答えました。

 また、「被告側は、十八日までに準備書面を送って来なければならなかったが、実際に送られて来たのは金曜日の二十日夜であった。週末であり、実際にわれわれが見ることができたのは、週明けの二三日(月)で、十分な時間がなかった。また、被告側は、われわれの質問について、書面で何も答えていない」と指摘しました。

 浅野教授は「私は間違いなく証人になる。喜田村大先生の今回の書面には荒唐無稽な主張、目に余る曲解、中傷表現がある。5人の証人の陳述書などを読んで、こちら側の証人を考える」と述べました。

 そして原告側から被告側へ「今回の被告準備書面によると、文春の石垣・名村両記者が実際に取材したという、記事中Gこと野原仁・岐阜大助教授が証人申請予定に入っていない。また、文春関係者は石垣記者だけしか証人申請予定ではないが、名村記者も申請しないのは理解できない。さらに書面では石井デスクが統括責任者として書かれていた。それなのになぜ編集責任者を出そうとしないのか」と質したところ、「本件記事を取材し、記事を書いたのは石垣記者なので、他の文春関係者は他には特に必要ないと思っている」と喜田村弁護士は答えました。

 裁判長はすかさず「文春関係者については、少なくとも、裁判所からも聞くことがあると思いますが、よろしくお願いします」と述べました。喜田村弁護士は「わかりました」と答えました。さらに「一二月八日までに原告が書面をだすので、それについて回答してほしい」と要請すると、喜田村弁護士は「できる範囲で答えます」と答えました。

 次回期日(第六回)は一二月一九日(火)の午後四時から、同じくラウンド法廷で行われます。

 浅野教授は「今回の被告書面は、渡辺武達教授と綿密に打ち合わせて書いているに間違いない。現に表現や文体が渡辺教授のものに近い。喜田村弁護士の弁護士倫理も疑う。NHK・講談社裁判でも、私のことを『マスコミ界では誰も相手にしない』という趣旨の表現で私を中傷したことがある。裁判とは別に弁護士倫理の問題として社会的に批判をしていく。文春関係者以外の渡辺教授ら四人が証人になることがはっきりした。四人に証人として出廷するという最終的な了解を得ているかどうか、不明だが、少なくとも渡辺氏とはOKがとれているのであろう。渡辺氏が本件法廷で証言すれば、先の新潮裁判との報道倫理論の比較ができる。メディア学の学習にもなる裁判になってきた。傍聴席を満席にしたい」と語りました。

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