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第32回人権と報道を考えるシンポジウム参加のみなさんへ雇用闘争でアピール

2016年12月3日 浅野健一・同志社大学大学院教授(京都地裁民事6部で地位確認係争中)

この内容は、同日に開かれた「人権と報道を考えるシンポジウム」(人権と報道・連絡会主催)で浅野教授が配布したものです。

☆同志社相手の裁判は17年3月にも判決

私は、学校法人同志社(水谷誠理事長=神学部教授)による定年延長拒否という形での“だまし討ち”“暗黒裁判”での不当解雇に抗い、2014年2月、京都地方裁判所民事6部に地位確認訴訟を起こしました。また、15年3月には、京都地方裁判所民事3部に、私を解雇に追い込んだ同僚の渡辺武達教授(2015年3月70歳で退職、名誉教授)グループの5人を相手取り名誉毀損損害賠償請求訴訟を起こしています。5人は渡辺氏と、私を「不良教授」と決め付ける怪文書を13年10月30日の大学院社会学研究科委員会(院教授会)で配付し、定年延長反対の演説を行った小黒純・竹内長武・佐伯順子・池田謙一各教授です。さらに、5人と共謀して研究科委員会で規定にない「可決要件3分の2の無記名投票」(新任採用教員採用の際の要件)で私の定年延長を拒否する議決を強行した冨田安信・前社会学研究科長(産業関係学専攻教授)を被告とする損害賠償請求訴訟を神戸地裁民事4部に起こしています。

私の裁判については、浅野支援会HPを読んでください。http://www.support-asano.net/index.html

地位裁判は最も重要な証人尋問が9月27日に行われました。12月20日(火)午後1時10分から京都地裁208号法廷で地位裁判の第15回口頭弁論があり、この日に結審の予定です。判決は17年2~3月の予定。

来年1月12日(木)午後1時半から5時まで、京都地裁203号法廷で、5人裁判の証人尋問があります。私、小黒准教授・渡辺名誉教授の3人が京都地裁第3民事部で証人になります。私を解雇に追い込んだ主犯の2人を、私の代理人の弘中惇一郎・山縣敦彦両弁護士が尋問します。また、期日はまだ決まっていませんが、冨田氏と未定ですが、若干名が証人となります。原告側が出した優先順位では、池田教授、佐伯教授の順で、客観的立場にある沖田行司・教育文化学専攻教授も申請しています。冨田氏は確定で、あとはこの3人の中から証人が決まります。証人調べは2回に分けて行われます。最近では珍しいことです。特に、怪文書とは「無関係」と主張している渡辺氏が喚問されたのは画期的。裁判所が、彼を黒幕と疑っているからでしょう。

12月20日午後6時半から、私を支援する学生が企画している自主ゼミ「浅野健一ジャーナリズム講座」を同大・良心館で開きます。私が講師で、安倍とメディアの現在について報告。教室は追って連絡します。

☆インドネシア国費留学生の再入学

私が同大から追放された当時、博士後期課程3年生だったナジ・イムティハニさん(14年6月の研究科委員会で、私に相談なく14年3月末に遡って「退学」と決定)が11月29日、大学へ「再入学願」を出しました。ナジさんは同大の提携校であるインドネシア国立ガジャ・マダ大学文学部日本学科の専任講師で、インドネシア政府奨学金を受けて同大へ留学していました。同大はナジさんを強制的に「退学」させた後、誰も博論の指導をしていません。同大の代理人の小國弁護士らは私に対し、13年度まで指導していた学生への連絡・接触を禁止しており、私は非公式にしか博論指導ができません。

同大がナジさんに対する態度を変えたのは、在日本・インドネシア大使館のアリンダF.M.ザイン教育文化部長が10月下旬、同大へ出向き、社会学研究科の担当者を含め大学の関係者数人と面談して、ナジさんが課程博士号を取れるように指導してほしいと要望したからです。アリンダ部長と面談した社会学研究科の松隈佳之事務長は、ナジさんの博士学位取得の可能性について、 ①ナジさんは同大にあと2年間、在学することは可能、②ナジさん次第で ハードルは高いが、博士学位を取得する可能性はある―と述べました。アリンダ部長はナジさんに、大学と相談するよう指示。これを受け、ナジさんは研究科事務室へ博論を完成させたいと連絡しました。松隈事務長は11月9日、ナジさんにメールで、「同志社大学にはあと2年間、在学することが可能です。(社会学研究科での審議の結果、)再入学が認められた場合、再入学後にまず、課程博士の予備審査の合格を目指していただくことが現実的な方法」と伝え、再入学願のファイルを送りました。ナジさんは11月29日、「再入学願」を事務室に送付し、博論を完成させたいと表明しました。

私が裁判に負けたら、ナジさんの博士号取得がほぼ不可能になります。そんなことになれば、外交問題に発展しかねません。国際主義、キリスト教主義を掲げる同志社にとって取り返しのつかない汚点となります。ナジさんの博論について、9月27日の地位裁判の証言で「何も知らない」と言い放った冨田氏のいい加減さも明らかになってきました。

ナジさんの再入学で、同大はどうするのでしょうか。

☆在学生が復職の要望書を松岡学長へ提出

9月23日には、同大の学生有志が私の教壇復帰を求める署名つきの要望書を、同大へ提出しました。メディア学科の学生が4人署名しています。幹事の学生は「2014年度7月から数えて5回ほど提出してきた要望書ですが、今回、松岡敬学長(16年4月就任、前任者は村田晃嗣氏)になって初めての要望書です。13年度の1回生浅野ゼミから数人と、そのほかにも、多くの現役学部生が署名をしてくれました。多くの卒業生も署名に加わってくれました。この事実は、冨田教授の述べている「同志社大学には、浅野教授の教壇復帰を望む学生はいない」という内容の発言と一致しません。同志社大学はこのことを重く受け止め、なんらかの手段で、浅野先生を教壇に復帰させてくれるはずであると、わたしたちは望んでいます」と言っています。

私は裁判に勝って同志社へ戻ります。私を追放した教員たち、「研究科の自治には介入できない」とか、私に関するネガティブ情報を垂れ流した教員たち(世間では左翼リベラル派とみなされている)を糾弾します。

2013年末から、私の裁判を支援しないと公言してきた同志社大学教職員組合(私は1996年の委員長)を提訴します。私に敵対している佐藤純一書記は今年3月、65歳で定年退職しましたが、4月から嘱託の書記として再雇用されています。私の解雇については、「研究科・学部自治に組合は介入できない」という理由で支援をしないと公言した人間が、自分は66歳以降も働いているのです。佐藤書記は、私の組合員資格についても「脱退はしていない」という意味不明の説明を繰り返し、組合ニュース(定年延長問題での大学当局との交渉報告の情宣を含む)の提供も拒んでいます。組合員の解雇に抗う闘いを支援しない「組合」はあり得るのでしょうか。

☆66~70歳の元教職員に闇年金

同大には「永年勤続者への退職後の特別補給金」というのがあります。組合も共犯の闇手当て、不労所得です。25年以上勤続の定年退職者(全教職員対象)に対し、退職後、満70歳まで毎月、特別補給金として「退職時本俸×0.6-諸年金受給額」を支給するというものです。大学・女子大の大学院教授70歳定年制に対応するものとして、つまり65歳定年組に対する経済的慰撫策として導入されたと聞いています。かなりの金額で、ある人の場合だと65歳で退職するとして年金の他に毎月13万前後大学から受給されます。結構おいしい制度です。これがなければ、大学院教授の70歳定年制など持ちません。大学院教授の70歳を定年とする労使慣行が事実たる慣習として確立しており、労働契約の内容となっていることからこそ、そして法人同志社がそのことを認識していたからこそ、こういう特別補給金の制度が作られたといえます。同志社の経営陣が、70歳定年は労働契約の内容になっていると認識しなければ、特別補給金の制度などできるはずありません。同大の闇年金は、学生の授業料、国庫補助金を財源とする一般予算から出費されています。

大学院教授の定年延長(65歳から70歳まで)の年間平均賃金は1700万円前後。院教授対象の「定年延長」しない教職員には、闇年金を毎月10数万円を支給しているのです。65歳から69歳の人口が多く、同大職員でも他の年代に比べてかなり多くなっていますから、同大の財政を悪化させています。同大はかなりの赤字のようです。大学に取材してほしいのですが、誰も動いてくれません。面白いネタだと思いますが。ジャーナリストの皆さん、ぜひ報道してください。

また、私は2015年11月、同大総務部人事企画課の渡辺係長に、定年退職後の教職員で65歳退職になった者に、70歳までの5年間、特別の上乗せ年金(「最後の基本給x0.6-私学共済年金受給額」が毎月支給されているという情報について、事実確認を求めましたが、回答を拒否しました。15年12月、同志社大学学長・村田晃嗣氏(現在法学部教授)、広報課長・植村巧氏(当時)らへ質問書を送ったが回答を拒否しました。 

☆名誉回復と同志社新聞学の再生

私の労働裁判、名誉棄損裁判のすべてに勝利するまで闘います。これは私と浅野ゼミ・浅野研究室の名誉回復の闘争であり、同志社新聞学の再興のためでもあります。私を追放した教員たちには同志社を辞めてもらいます。

これからもみなさん、どうぞよろしくお願いします。  

資料 9・27地位裁判証人尋問の報告(構成・浅野先生を守る会)

◎偽証を連発し浅野教授追放を正当化―冨田安信・前同大社会学研究科長

☆30人以上の支援者が傍聴、次回12月20日に結審へ

浅野教授が学校法人同志社(水谷誠理事長)を相手に起こした地位確認訴訟のハイライトである証人尋問が9月27日(火)午後27日午後1時半から4時まで京都地裁(堀内照美裁判長、208号法廷)で開かれ、冨田安信・前同志社大学(以下、同大)社会学研究科長(現在、社会学研究科産業関係学専攻教授、労働経済論)と浅野教授が証言台に立ちました。

この日の口頭弁論では、同大今出川キャンパスで裁判終了後に講演した作家の中山千夏さん、庄司俊作・同志社大学人文科学研究所教授、藤井幸之助・同大嘱託講師、山下幸夫弁護士、同志社大学社会学部メディア学科4年生、片桐元・元新潟日報記者、元同志社大学生の鶴見太郎さん、人権と報道・連絡会会員の添田早俊さん、元ゼミ生の氏本ロナルド智之さんの両親、京都大学学生2人、京都弁護士会所属の弁護士、市民ら約30人が傍聴しました。被告側の傍聴者は松隈佳之同大社会学研究科・社会学部事務長一人でした。松隈氏はこの裁判を毎回傍聴しています。

被告側が申請した唯一人の証人である冨田氏と浅野教授は「偽りを述べない」と宣誓。浅野教授が同大の同僚4人によって“だまし討ち”的に同大から完全追放された経緯を証言。その後、冨田氏が証言しましたが、その内容は偽証のオンパレードでした。傍聴した作家の中山千夏さんは「富田さんは浅野さんが嫌いだから追い出したということを話した。これはいじめだ。このケースは、100%大学側が悪い。大学教授のレベルはこんなものか」と感想を話していました。ある支援者は「偽証罪と名誉棄損罪で告訴、告発すべきだ」と述べました。

9月27日夜、同大今出川キャンパスで裁判報告とシンポジウムが開かれました。シンポの概要は「紙の爆弾」11月号に載っています。ネットのIWJのアーカイブズで動画を有料で見ることができます。

☆冨田氏、浅野教授“不良教授”論の陳述書を維持

この裁判では、①小黒純教授ら4人による密室の会議で浅野教授の定年延長を決めたことが「メディア学専攻会議(議長は専攻教務主任の浅野教授)の決定」という被告側の主張の真偽②冨田氏が「専攻会議で浅野の定年延長なしが決まった」と勝手に判断して、2013年10月30日の社会学研究科委員会(議長・富田氏)で「専攻では拒否されたが、浅野先生が希望しているので私の提案で定年延長を提案する」として、浅野教授の件だけ、単独で審議し、新人教員採用の際の「3分の2」の可決要件を独断で科して、無記名投票で定年延長拒否を議決したことが適正手続きに則っているか―が最大の争点。

被告側は、浅野教授と4回目の定年延長対象者だった渡辺武達氏の2人を除く4人による作業グループによる会合を、「臨時専攻会議」と称し、小黒純教授がその議長を務めたという全くの捏造を行っています。当時、村田晃嗣学長の任命でメディア学専攻の教務主任だった浅野教授は、10月16日の専攻会議で次年度の大学院の担当科目(浅野教授は博士課程前期・後期で6科目担当)を決めた後、4人に定年延長についての意見を求めました。あくまで、定年延長についての議決は、教務主任が招集し議長を務める専攻会議でしかできません。

冨田氏は多田真央・小國隆輔両弁護士の主尋問で、自身が15年5月に地裁へ提出した陳述書について、被告代理人の小國隆輔弁護士(同大法科大学院嘱託講師)に「その内容に何か訂正等はありますか」と聞かれたのに対し、「ありません」と回答しました。冨田氏は悪意を持って浅野教授を大学という組織にふさわしくない“不良教授”と決め付けたウソだらけの陳述書を訂正しなかったのです。「浅野教授がいなくなって困っている学生はいない」「メディア学科に浅野解雇について抗議する学生は一人もいない」という陳述内容が事実に反することは、計20人近い現役学生(メディア学科の現役学生6人=現3・4年生4人を含む)が大学と法人へ、浅野教授の教壇復帰を求める要望書を何度も出していることで分かっています。学生たちは9月23日にも松岡敬学長と水谷理事長に要望書を提出しています。

冨田氏は、メディア学専攻の小黒、竹内長武、佐伯順子、池田謙一各教授が書いたとされる「浅野教授の定年延長 検討事項」と題したA4判・2枚の文書(作成者名、作成日時なしの怪文書)の内容を、すべて事実と認めて、証言しました。冨田氏は法廷に出した陳述書でも、怪文書の全文を事実という前提で、怪文書よりもっと悪質な浅野教授攻撃を行っています。

☆「臨時専攻会議」は専攻会議で設置と偽証

冨田氏は浅野教授の代理人の平方かおる弁護士の反対尋問に対し、「臨時専攻会議」という会議体、機関が同大には存在しないことを認めた上で、メディア学専攻で特別に作ったと聞いていると証言しました。平方弁護士の追及に、「メディア学専攻の先生方が浅野先生と渡辺先生の定年延長を審議するときに、その4人の先生に審議していただく場合に臨時専攻会議というのを作ってそこで審議をするということを、メディア学専攻の先生方が合意されたと聞いてます」と答えました。「それは誰に確認しましたか」との質問に、「メディア学の先生に確認しております」と返答。平方弁護士が名前尋ねると、かなり躊躇した後に、「小國先生から聞いた」と回答。傍聴席がざわついた。浅野教授が原告席から「小黒教授の間違いでは」と言うと、あわてて「小黒先生です」と訂正しました。「いつ聞いたか」という問いには、「覚えていない」としか答えられませんでした。小黒教授がもし、「専攻会議で『臨時専攻会議』という機関を設置した」と冨田氏に伝えているとすれば、小黒氏が捏造していることになります。小黒教授に証言してもらうしかないでしょう。メディア学専攻会議で、臨時専攻会議を設けたというのは架空の話です。どうしてこういう作り話する必要があったのでしょうか。

☆浅野教授指導の「院生は3人」はウソ

冨田氏は浅野教授が13年度に指導していた院生を「3人」と証言しました。これは虚偽です。浅野教授は博士後期課程3年のナジ・イムティハニさん(インドネシア政府の国費留学生、インドネシア国立ガジャマダ大学文学部日本学科助教)と同2年の矢内真理子さん、博士前期課程2年の荻野友美さんのほか、前期課程の特別学生4人を指導していました。

☆博士後期院生の研究テーマを「知らない」と言う無責任

冨田氏は13年度に浅野教授の指導を受けていた博士後期課程の院生だった矢内氏について平方弁護に聞かれたのに対し、「竹内先生です」と答えました。「竹内先生の専門分野は何か分かりますか」と聞くと、「メディア学専攻の先生であるということと、漫画に関しては第一人者ということは聞いております」と返答しました。「漫画などのサブカルチャーが御専門なんでしょう」と聞いたのに対し、「そうだと思います」と答えた。冨田氏はまた、「後期課程の日本人の学生(矢内さん)に関しましては、学術振興会の特別研究員として現在も研究活動を努めております」と答えました。平方弁護士が、矢内氏の研究テーマを聞いたところ、「専攻は違いますので、具体的な研究テーマまでは私は把握しておりません」と平然と答えました。冨田氏は、矢内氏が14年4月2日に「受入研究者の変更届」(浅野教授から竹内教授に変更、浅野教授と協議なし)を学振に出した際、「浅野教授が変更届への署名、押印を拒否している」という虚偽文書を添付文書として提出しています。矢内氏の研究テーマも知らずに、矢内氏の違法な変更届に協力したことになります。
☆裁判官が「専攻」決定に疑義
冨田氏は左陪席の築山裁判官が冨田氏に「(10月29日の小黒氏からの文書は)宛名が教務主任と浅野先生というふうになっているんですけども、証人の御理解としては、これはどちらに提出された文書というふうな御理解なんでしょうか」と聞かれたのに対し、「メインは浅野先生に提出されて、恐らくコピーを事務室に提出されたんじゃないかというふうに思います」と答えました。裁判官はさらに「事務室に提出されたものが証人のお手元に届いたと、そういう経過ですか」と聞きました。冨田氏は「はい」とだけ答えました。小黒氏が4人を代表して浅野教授の郵便受けに入れた文書を、「専攻決定の研究科長への通知」としている被告側の主張が崩壊した瞬間でした。「専攻」で浅野教授の定年延長は否決されたというのはウソであることが明白になりました。
後は、研究科委員会での「3分の2」を可決要件とする無記名投票による議決など適正手続きに反する決定が違法、不当で無効であることを証明すれば、浅野教授側は完全勝訴できるでしょう。
浅野教授は証言の最後に、「いまほどジャーナリズムの役割が重要な時はない。伝統ある同志社の新聞学専攻で、一日も早く学生と共に、ジャーナリズムの再生のための教育研究活動に戻りたい」と訴えました。                         (了)