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「原告の訴状の主張への答弁になっていない」京都地裁裁判長が被告5人代理人に“喝”

 浅野健一・同志社大学大学院社会学研究科メディア学専攻博士後期課程教授が3月13日、定年延長を妨害する怪文書を作成配布した同僚5人を相手取り、1100万円の損害賠償を求めて起こした名誉毀損訴訟の第1回弁論準備手続(電話会議)が9月15日午前10時半から京都地方裁判所第3民事部(神山隆一裁判長)準備室で開かれました。被告側の「移送申立」によって裁判が遅れ、提訴から半年後の第一回期日となりました。

 原告の浅野教授と代理人の弘中惇一郎、山縣敦彦両弁護士は東京千代田区麹町の法律事務所ヒロナカで電話会議(非公開)に参加しました。裁判長は被告側が出した答弁書について、「内容ある答弁になっていない」などと叱責に近い口調で追及し、事実上、「中身のある答弁書」を再提出するよう命じました。被告代理人弁護士は、「本件はマスメディア訴訟ではないので名誉棄損訴訟の三要件は該当しない」などと無知な発言をして、原告側は驚きました。

  支援会から電話会議の模様を報告します。

 準備手続きには神山隆一裁判長、阿波野右起左陪席(受命裁判官)が出廷、被告側代理人の小國隆輔・多田真央両弁護士(俵法律事務所=大阪)が出頭しました。

 被告の5人は社会学研究科メディア学専攻の小黒純(ニュース論、前龍谷大学教授・共同通信記者)、竹内長武(児童文学、漫画論)、佐伯順子(日本文学、遊女研究)、池田謙一(社会心理学、前東京大学教授)各教授と、4人を背後で操ったと推認される渡辺武達教授(メディア倫理、5年間の定年延長後15年3月末退職・現名誉教授)です。被告の5人は一人も京都地裁へ出頭しなかったようです。

 浅野教授は東京地裁へ提訴していましたが、被告側が不当にも京都地裁への移送を申し立て、東京地裁は6月11日付で、京都地裁への移送を決定していました。被告のうち東京在住の佐伯教授を除く4人が近畿在住であることが理由でした。

  京都地裁の係属部は民事3部、事件名は「平成27年(ワ)第2120号 損害賠償請求事件」となりました。

 被告側代理人の小國・多田両弁護士は、2013年12月末に浅野教授が京都地裁民事6部に申し立てた既に決定も出ている教授地位保全仮処分事件と、14年2月に提訴した教授地位確認訴訟で学校法人同志社(水谷誠理事長)の代理人を務めています。5人の不法行為を訴えた裁判に、学校法人の代理人が就くということは、利益相反行為に当たると思われ、あってはならない事態だと思います。

 人権と報道・連絡会会員の会社員が同志社大学メディア学科の学部編入試験で不合格にされたことで起こした損害賠償訴訟でも、被告となった学校法人同志社と河崎吉紀准教授の代理人を小國・多田両弁護士が務めています。明らかな利害相反行為です。

 この日の期日では、原告側は3月13日付の訴状を陳述。第1証拠説明書、甲1~9号証を提出。被告代理人は8月31日の答弁書を陳述し、証拠説明書、乙1~9証を提出しました。被告側は本裁判と何の関係もないビジネス研究科の教授の定年延長(2回目)拒否にかかわる裁判の確定判決を書証として提出しています。
次に神山裁判長は主張整理について入り、「被告側としては、答弁書に書かれている内容で一通りの主張をしたということか」と質問、小國弁護士は「そのとおりである」と回答。裁判長は「訴状における原告の主張は、大きく分けて(1)定年延長に関する公正な審査 を受ける権利を侵害されたこと、(2)原告の名誉が著しく毀損されたことの2点であると思われるが、まず、(1)については、答弁書では手続のことしか主張されていない気がするが、これでいいのか」と聞きました。

 小國弁護士は「手続が履践されていないことに加えて、そもそも実質的な権利がないことも主張している」と述べました。

 裁判長は「原告の主張は、『虚偽内容の文書を頒布したことにより』定年延長に関する公正な審理を受ける権利が侵害されたという理解で間違いないか」と尋ね、原告側代理人は 「そのとおりである」と答えました。

 裁判長は「そうだとすると、やはり文書の中身に踏み込んだ反論が必要なのではないか」と発言。「また、(2)の点についても、公然性がないとの主張はわかるが、そうであると しても、名誉毀損かどうかの争いであり、公益性・公共性、真実性、真実相当性を入口のところで検討しなければならない。名誉棄損のやはり中身の話を議論する必要があるのではないか」と諭しました。

 これに対し、小國弁護士は「本件はマスコミによる名誉毀損の事案ではないので、真実性・真実相当性といった枠組みがそのまま妥当する事案ではないと考えている」と返答しました。

 裁判長は「被告側において、今日指摘した点について主張を補充してほしい。被告側の主張が出揃ってから、原告側から再反論してもらうことにする」と述べ、被告側に11月10日までに補充の答弁書を提出するよう命じました。

 次回の第2弁論準備手続期日は11月20日(金)午前10時30分 にテレビ会議と決まり、原告側は東京地裁に出頭することになりました。

 原告浅野教授側は、次回までの宿題はなしということになりました。

 テレビ会議、電話会議は原則非公開で行われます。傍聴を希望する場合は、事前に裁判所へ上申書などを出して許可を得る必要があります。

 被告側は、浅野教授の解雇は、学校法人同志社によって正当な手続きを経て行われたと主張し、浅野教授の起こした本訴訟と無関係なビジネス研究科教授の裁判結果まで書証として提出しています。

 5人は自分たちが大学研究者、メディア学者として、恥ずかしい人権侵害文書を作成し、定年延長の可否を審議する研究科委員会で配布した経緯を明らかにしなければならないのに、答弁書には何も書いていません。渡辺教授と密室会議で浅野教授の解雇を決めた「クーデター」の4人とのかかわりについても沈黙しています。ただ、被告の5人は、渡辺教授も含め一体であることを自ら告白したとみなすことができるでしょう。浅野教授追放が5人の共謀によって強行されたことも明らかになりました。

 13年4月に赴任し、「私はジャーナリズム論は専門外で全く知らない」と専攻会議で公言する池田教授(元東京大学教授)と、2004年から浅野教授に敵意を抱いている渡辺グループ(文春確定判決では2004年発足)の中心人物である渡辺教授が同じ主張をするのでしょうか。今後の裁判で、5人の「団結」が保てるのかじっくり見ていきたいと思います。

 原告の浅野教授は「被告側代理人は、学校法人同志社の地位確認裁判の代理人と同じ小國隆輔、多田真央両弁護士であることに、強い違和感がある。被告5人の相互の関係が今後問われるので、法人の代理人がまとめて弁護するのは困難ではないか。相手側の答弁書について、裁判長が事実上、答弁になっていないと叱責に近い口調で追及し、再提出を命じ、小國弁護士はしどろもどろだった。『本件はマスメディア訴訟ではないので名誉棄損訴訟の三要件は該当しない』などという驚くべき無知発言には笑ってしまった。京都地裁民事3部は、この裁判を、民事6部の労働裁判とは全く別個に、こちらの訴状に従って進めると宣言してくれたようなもので、よかったと思う。被告側は京都地裁に移送してもらい、事実上、労働裁判との併合を狙ったのだろうが、その目論見は序盤戦で失敗した」と話しています。

 この日の電話会議には、同志社大学卒業生で東京在住の支援者が一人、法律事務所ヒロナカに駆けつけてくれました。支援者は浅野教授と弁護団から電話会議(原則非公開)の模様を聞いて次のように感想を支援会に寄せてきました。

〔 5人組(渡辺、小黒、竹内、佐伯、池田各氏)に対する名誉棄損裁判の第一回電話会議では、裁判長は、本件は原告が名誉棄損で起こした裁判であるにもかかわらず、被告側は地位確認の労働裁判での焼き回しのような反論しか行っておらず、怪文書を流したことやその内容には一切触れておらず、名誉棄損の事実を争う裁判の反論としては不適切だという趣旨で小國弁護士らに指摘しました。小國弁護士はそれに対して名誉棄損訴訟は基本的に相手がマスコミ関係の時のことで・・・などと弁護士とは思えないトンチンカンな釈明(?)を行っていました。電話会議の後、浅野先生の代理人の弘中弁護士も、「定年延長の有無とその理由を研究科委員会で冨田は20分に渡って原告に説明したという反論が被告側からなされているが、肝心の『説明』の内容は全く記述されていない。反論にもなっていない。それにしても裁判長がここまで突っ込んだ指摘(批判的な意味のこもった)をするのも珍しい。面白くなってきた」と笑みをこぼされました。

 5人組裁判が好調な船出となりました。侵略戦争法案が参院で強硬採決されるかもしれず、重大な局面にある現在、大学のしかも権力を監視し批判すべきメディア学科の教授でこの暴挙に反対しているのが浅野先生だけだということ、その様な真の研究者、真のジャーナリストを、様々な奸計を弄して解雇に追い込んだ人民の敵、資本の手先たる渡辺・小黒、冨田各教授と彼らに盲従する竹内教授・河崎准教授らを絶対に野放しにはしておけません。奴らに正義の鉄槌が振り下ろされん事を願うばかりです。

 浅野先生は「暴力団との関係が無いことを証明しようとする裁判に暴力団の弁護士が弁護するようなもの」と言われていましたが、正にその通りと感じます。労働裁判の被告の代理人と不法行為を働いた5人組の代理人が同じということを以って、堂々と自らの犯罪行為を京都地裁でさらけ出しているようなものです。学生が血と反吐を吐きながら納めた金で私腹をこやし、ロクな研究も講義もできず、業績があり正しいことを主張する者を下劣な手段で陥れる最低の「教授」たちが二度と教壇に立てないようにする為に、本裁判と他の関連裁判で支援者一同団結して闘っていきたいです。

 この裁判で悪徳・小國弁護士(この代理人の弁護士資格も剥奪させたい)らに金を払っているのはどこの誰か、その金はどこから出ているのか明らかにする目的で大学に開示請求をしてくれそうな後輩の現役学生をなんとか探したいですが、誰か心当たりある方、或いは自分がやるという現役生ぜひ協力をお願いします。国会前で軍産企業丸儲けの為の侵略戦争法案に抗議することと同じくらいの意義があります。 〕

  また、原告側から電話会議の模様を聞いた支援者の会社員は「『本件はマスメディア訴訟ではないので名誉棄損訴訟の三要件は当たらない』と被告側弁護人が述べたという件、この弁護士に弁護されているのがメディア学の先生方というのを実に皮肉に感じました。これは渡辺教授かほかの原告の入れ知恵なのでしょうか。それとも弁護人に任せきりなのでしょうか。いずれにしても、相当に酷い話ですが・・・。とにかく裁判官が原告の訴えをきちんと受け止めているようで、まずはほっとしています」というメールを送ってくれました。

 次回の弁護団会議は11月18日(水)の午後1時30分から法律事務所ヒロナカで行われます。

(了)