怪文書裁判で被告5人が移送申立、4・24期日はキャンセル――被告代理人は法人同志社と同じ小國弁護士ら
浅野健一・同志社大学大学院教授(大学院社会学研究科メディア学専攻博士後期課程)は3月13日、2013年度に教授の雇用の場を奪い、浅野ゼミ20期を解体して同志社から追放した同僚5人を相手取り、1100万円の損害賠償を求める名誉毀損訴訟を東京地裁へ起こしましたが、訴状を受け取った被告側が裁判を京都地裁に移送するよう申し立てました。
原告代理人から浅野教授への連絡によると、本訴訟の第1回期日はいったん4月24日に決まりました。しかし、被告側が4月17日、京都地裁への移送の申立てを行ったため、東京地裁は21日、①4月24日の期日は取り消す②5月11日までに移送申立てに対する意見書を出してほしい――と原告代理人へ通知してきました。この訴訟の事件番号は平成27年(ワ)6931、東京地裁民事第1部に係属されています。
被告の5人はメディア学専攻の小黒純(ニュース論、元龍谷大学教授・共同通信記者)、竹内長武(児童文学、漫画論)、佐伯順子(日本文学、遊女研究)、池田謙一(社会心理学、前東京大学教授)の各教授と、この4人を背後から操ったとみられる渡辺・元教授(メディア倫理、5年間の定年延長を終えて15年3月末退職)です。
移送申立の文書によると、被告5人の代理人は、浅野教授の地位確認訴訟で学校法人同志社の代理人を務める俵法律事務所(大阪)の俵正市・小國隆輔・多田真央の各弁護士です。代理人が地位確認訴訟と同じ弁護士になったということは、学校法人同志社が社会学研究科委員会で配布された怪文書を正当化し、5人を守ることにしたということでしょうか。
浅野教授の代理人(法律事務所ヒロナカの弘中惇一郎、山縣敦彦両弁護士ら)は、期限までに被告側の移送申立書に対して意見書を提出する予定です。
被告代理人は、《被告5人は関西に住んでおり、不法行為地は京都にある同志社大学内で、本件審理において大学職員の人証の必要性が高くなる可能性が高い》と主張しています。しかし、被告のうち、京都に単身赴任して東京に実質上の住居がある教員が複数います。一方、原告の浅野教授は千葉県に住み、代理人の7人のうち6人は東京にいます。
被告代理人は、《原告が京都地裁の裁判にほぼ毎回、多数の支援者と共に出席している》と書いています。しかし、浅野教授は14年夏から秋にかけて病気治療のため、地位確認訴訟の口頭弁論を数回欠席しています。
浅野教授は、小國弁護士ら学校法人同志社の代理人と村田晃嗣学長、冨田安信社会学部長が「14年3月31日まで研究室を明け渡すように。そうしなければ私物をすべて撤去する」と自宅に送りつけた文書で脅されたため、14年5月に研究室をなくし、15年2月には大学近くのアパートからも撤退しました。14年4月からは大学からの賃金収入もなく、関西へ向かうのは簡単なことではありません。
浅野教授は「友人からは『裁判を起こしているのだから、大学にまだ籍はあるのでは』と聞かれます。大学は私を刑事事件の被告人より低く扱っています。労働権、裁判を受ける権利を蹂躙するファッショ的暴挙の繰り返しです。代理人の『多数の支援者と共に』という記述に悪意を感じます。もっとたくさんの支援者が法廷に来て、法人と小國弁護士らの冷酷、非道、不当な行為を見てほしい。私は学校法人同志社により、不当に定年延長を阻止されました。生存権を獲得すべく係争中のため、京都地裁へは今後の生活設計もあり経済的に無理をしても法廷に出向いていますが、その事実と本件の争いが東京地裁で行われるべきこととの必然性の関係は皆無です」と言っています。
東京のある支援者(「人権と報道・連絡会」会員)は、浅野教授に「浅野先生=名誉毀損の被害者が、名誉毀損を行った側によって職場から追放されるという理不尽な事件に対し、適切な裁きが行われることを期待したい。地位確認訴訟へのよい影響も期待したいと思います」というメールを送っています。
東京地裁は被告側の移送申立について、慎重に審理するようです。東京地裁が公正な判断をくだすよう願っています。東京の裁判でも皆さんの支援をお願いします。(支援会事務局)