現役学生・卒業生・市民らが浅野教授の講義再開を要望
171人署名の要望書を水谷理事長、村田学長へ提出(3)
法人は「動きはない」と回答
署名提出後しばらくののち、政策学部4年生は9月5日、メールで、署名簿を受理した同志社大学と学校法人同志社の担当者に、署名を受けて何か対応したか、問い合わせました。以下はそのときの質問文です。
[ 学校法人同志社 法人事務部法人事務室 御中
7月17日(木)と8月8日(金)、理事長秘書の関様に、同志社大学社会学部メディア学科の浅野健一教授を秋学期の嘱託講師にするようもとめる署名を提出しました。学生と市民の署名を受けて、内部で動きはありましたか。お教えください。 ]
[ 同志社大学 庶務課 御中
7月17日(木)と8月8日(金)に庶務課の中村様へ、浅野健一教授を秋学期の嘱託講師にするよう求める書名を提出したと思います。学生と市民の署名を受けて、内部では動きはありましたか。浅野教授を嘱託講師にする、しないは別にお教えください。よろしくお願いいたします。 ]
この質問に対し9月8日になって法人事務部・法人事務室の関氏だけから下記の回答がメールでありました。
[ 学校法人 同志社 法人事務部 法人事務室 関です。
先日お問い合わせいただきました件、動きはない旨お知らせいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。 ]
学生代表が要望書を大学に提出した際、ある職員は署名の入った文章を読んでから、「確かにお受け取りします。ただ、これを受け取ったかといって何か変わるわけではありませんよ」言ったそうです。大学のトップが腐っているので、職員も、と思います。
これでは1789年の市民革命前の社会です。この職員は民主主義、大学の自治、学生の権利を無視しています。絶対に言ってはならないことです。職員は同志社の創立者新島襄の遺訓を読むべきです。世界中の大学の主体は学生ですし、とりわけ新島襄がつくった同志社では、「こんなことをしても何か変わるわけではない」と学生に言ってはなりません。スコットランドの人々に民族自決権があるように、授業料を払う学生には、大学の在り方にものを言う自治権がありますし、教育を受ける権利があります。海外では勝手な休講は一時間でも許されません。休講になっている講義を開講してほしいとう171人の声に耳を傾ける姿勢もない大学はもはや大学と言えません。
学生代表が秋学期の開講を前に聞いた質問に対しても、法人同志社(同志社大学社会学部)は「動きはない」とまるで他人事のように言い張るのです。学生の権利の無視です。
理事長は、浅野教授を追放し、授業をすべて未定・休講にした冨田社会学部長、社会学部メディア学科の専任教員たちへ、この署名活動について伝えたかどうかさえ明らかにしていません。メディア学科の専任教員7人は会議を開いたのでしょうか。
浅野教授追放事件以前から、学生のバイク通学を一方的に廃止し、駐輪場のスペースを一方的に縮小する等など、学生の声を軽んずる行為が多々見られます。同志社はNHK大河ドラマ「八重の桜」で「有名」になって有頂天にでもなったのでしょうか。世間の人々は同志社でこんな悪事が働いているとは夢にも思いません。大学の態度はあまりにも学生や市民を愚弄するものではないでしょうか。
同志社大学新町キャンパスを入ると、正面に「諸君ヨ、人一人ハ大切ナリ」という創立者新島襄の言葉が見えます。また、冨田学部長兼研究科長は、13年11月13日夜、「浅野教授をなぜ追放するのか」という院生らの抗議の声に対し、「研究科長・学部長として、院生・学部生ひとりひとりの教育と今後に全責任を持つ」と強調しました。「学生の利益」を第一に考えるとも表明していました。同志社大学の学生のために、浅野教授は必要ないと本当に言えるのでしょうか。
なお、支援会は今後、ネットによる署名活動も検討したいと考えています。時間の都合がつかない人も、署名することを恐れる人もぜひ、署名に協力していただきたいです。支援会はこれからも浅野教授を支えていきます。
(注1)「メディア学科をよくする会」、3年ゼミ代表が2014年2月7日までに水谷理事長、村田学長、冨田社会学部長へ提出した要望書は次のとおり。
◆メディア学科・次年度ゼミ説明会の報告及び、学生の教育環境保全に関するお願い
突然文書を差し上げる無礼をお許しください。同志社大学社会学部メディア学科浅野健一ゼミ生から、先週行われた次年度の説明会に関する報告と、私たちの次年度における教育環境の保全のお願いをさせていただきたく思います。
社会学部メディア学科では1月14日(火曜)、午後3時半から現1年生を対象に、来年度のゼミ(メディア学基礎演習)の説明会が臨光館302号教室で行われました。冒頭に、学科窓口の河﨑吉紀先生から、この説明会の間は質問等を一切受け付けない、説明会後に担当の先生に直接尋ねるようにと指示がありました。また、どういうわけか、学生らに向けて、野次をとばすことのないように、とも忠告されました。
竹内、渡辺、池田、小黒、河崎の5人の先生方が説明を終えると、説明会の終了を告げ、マイクの電源を切り先生方は退室されました。ここで1年生が教室に留まっているなかで、浅野先生が登壇され、はじめに「話を聞きたくない学生は退室してもらって構いません」と全学生の了承を得た上で、ご自身のゼミ説明を行いました。学生全員は退室することなく教室に残り、話を聞いていました。すると、渡辺教授を除く4人の先生方が教室に戻られ、浅野先生に説明をやめるよう命令しました。また、河崎、池田両先生は現在自らが受け持っているゼミ生に対し、直ちに退室するように指示しましたが、一方の学生側は目の前で繰り広げられている先生方の対立に、戸惑い、呆れかえっていました。中には、涙を流したゼミ生もいます。浅野先生は最後まで多くの学生が残る中で、約7分間の説明を終えられ、ゼミ説明会は終了し、ゼミ生は各自退室しました。
この後、午後4時40分から同じ場で行われるはずであった、現2年生を対象としたゼミ(メディア学演習)説明会を急きょ中止という通知がなされ、学生らはゼミ教室に戻りました。この突然の中止は、河崎先生によると、冨田安信社会学部長の了解を得たうえであったそうです。メディア学科の次年度のゼミ説明会に関する決定について、学部長の了承がなぜ必要なのでしょうか。よく言われていた学科の自治はどこにいったのでしょうか。
一部の先生方は自分のゼミ生に、「4月に説明会をする。心配するな。詳しい説明をして丁寧なゼミ選びにする。」と学生に話されているようです。
こういった事態になるのは、学生からみて非常に「非正常」だと感じました。大学とは、教員同士が都合のいいように物事を進めていって果たしてそれでいいのでしょうか。今回の社会学部メディア学科のゼミ説明会では学生は明らかに不満を抱き、また同時にこれからの学生生活に不安を覚えた者もいます。入学当時、意欲を持ってメディア学を学ぼうと思いこの学科を選択したにも関わらず、今回の件でその気持ちを諦め、他学科・他学部への転部を真剣に検討する者もいます。浅野先生の定年延長の件でも学生を置き去りにして一部の先生方の意向だけで事態が進んでいる感が否めません。学ぶ分野の選択肢、指導教授の人数が1つ減ってしまうということは、学生にとっていかに被害が大きいか、ということについて先生方で今一度再検討していただきたく思います。
特に深刻なのは、浅野ゼミの現3年生で、昨年1月と4月のゼミ説明会で窓口の先生たちの説明に従って、2年間の研究予定で「憲法改定とマスメディア」という共同研究を行っています。それを志半ばで打ち切られるというのは非常に辛いものがあります。また、浅野先生がいなくなれば、このテーマの研究を指導できる先生がメディア学科に果たしていらっしゃるでしょうか。
社会学部長の冨田安信先生は浅野先生の定年延長がないことがはっきりしているので、14年度に浅野先生の授業(院と学部)が全くないと主張されているようですが、定年延長の有無は2月、3月の学校法人同志社理事会の審議で最終的に決定されるのではないでしょうか。それに加え、浅野先生は昨年12月末、大学に4月以降も留まれるよう京都地方裁判所に地位保全の仮処分の申立をされています。冨田先生の主張が仮に正しく、定年延長がなくなって退職された場合でも、浅野先生が私たちの4年ゼミの担当をすることは可能ではないでしょうか。2年前に同志社大学を去られ東京経済大学に移られた柴内康文先生や、前年度に法政大学へ移られた青木貞茂先生は、退職される前に受け持っていた3年ゼミを引き続き嘱託講師として4年生になっても指導されています。それがなぜ浅野先生にだけ適用されないのでしょうか。また、今年4月、大阪経済大学に移られる勝野宏史先生は14年度に嘱託講師として1年間講義を担当されます。
また、柴内先生や青木先生が同志社を去られた後も4年ゼミを指導されていたのは、おそらく前提として2年間のゼミと定められていたからだと思います。そうであるならば、浅野ゼミ生にもその指導を受ける権利があると考えます。
浅野ゼミ(3年)のTAを務めている博士後期課程2年の矢内真理子さん(学振D2特別研究員に内定)や、同3年のナジ・イムティハニさん(インドネシア政府奨学生)、荻野友美さん(博士前期課程2年)らの大学院生をはじめとして、多くの学部生、留学生、すでに入学が決定している4月入学予定者や、学内4高校の生徒たちが、浅野先生のゼミや先生の担当科目(PJ科目、複合領域科目)を履修することを希望しています。
定年延長の件に関して、これまで100数十人の学生や、OB・OG、同志社大学関係者、浅野先生の支援者、識者などからの嘆願書や署名が学長、学部長に届いていると思います。
浅野ゼミの全員がこの件に関して全力で取り組み、手続きの不当性、大学側からの説明の不足を訴えています。この件に関して、浅野ゼミ生は2年生から4年生までの全員、1年生は22人のうち20人が同じ気持ちであります。どうか私たちが来年度以降も浅野先生のもとで学ぶことができるようご配慮ください。よろしくお願いいたします。
◆ゼミ生の要望書
※以下に、2013年度浅野健一ゼミの2・3・4年ゼミ(5年生4人含む)の履修学生が全員一致で村田学長へ提出した要望書を貼り付けます。
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同志社大学学長 村田晃嗣先生
浅野ゼミ生の教育環境保全のお願い
突然のお手紙を差し上げる失礼をお許しください。
このたびの浅野先生の定年延長案が否決されたと聞きました。他にも多くの先生がメディア学科を離れる予定であることも知りました。これは、来年度からの学生の選択肢が減ってしまうことになります。これは私たち学生の学業計画にも大きな影響を与えます。
また、メディア学の先生はそれぞれ研究分野が異なっており、ジャーナリズム論を様々な視点から指導することができるのは浅野先生だけです。ジャーナリズム論をしっかり学んでいきたいと思う私にとってジャーナリズムを指導できる教授がいなくなることは学業計画にも大きな影響を与えます。
このように私が考えたのは、浅野先生のもとでの学びを絶やしたくないという思いを自覚したためです。ゼミ生が少なく、また、厳しいと称される浅野ゼミでの活動は、メディア学科や別の学部の友人から聞くゼミとは異なり、時には投げ出したくなる時もありました。しかしこの経験は大学生として大変意味のあるものだと捉えており、これは是非とも精力的に活動していた後輩たちにも受け継いで欲しいと考えています。
村田学長にはご迷惑をおかけしますが、どうかこれからも浅野先生のもとで学ぶことができるよう考えていただきたいと思います。これから同志社大学で学ぶ学生のためにも、学業の選択肢を狭めず、様々な視点でメディアについて考え成長できる機会を奪わないでください。宜しくお願いします。 2013/11/22 浅野ゼミ4回生(12名)
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同志社大学学長 村田 晃嗣 先生
浅野健一ゼミ生の教育環境保全のお願い
突然の手紙を差し上げる失礼をお許しください。私は社会学部メディア学科3年生の坂本圭佑と申します。今春から浅野健一ゼミに所属し、ゼミ長を務めさせていただいております。
11月13日の社会学研究科委員会で、私たちの指導教授である浅野健一先生の定年延長の提案が否決されたと伺いました。この度は、浅野先生が来年度以降、同志社大学におられなくなることで被る学生の教育環境を保全していただきたく思い、3年生の浅野ゼミを代表してお手紙を差し上げた次第です。
さて、メディア学科では3年生と4年生は同じ先生の指導下でゼミを行うこととなっています。私たち浅野ゼミ20期生は、2年間の計画で「憲法改定とマスメディア―小泉政権以降を中心に―」と題して、共同研究を行っております。しかし、来年度以降、浅野先生がおられなくなるのであれば、私たちの共同研究は志半ばで打ち切られてしまうこととなります。
浅野先生の定年延長の案件が、なぜ今年のゼミ説明会の前に議論に出ていないのかも疑問に残ります。メディア学科の窓口の先生(河崎吉紀准教授)はゼミ説明会の時点で、「ゼミは3・4年の2年間を同じ先生のもとで行う」と述べていました。私たちは、それを理解したうえで浅野健一ゼミを志望し、2年間の共同研究を計画したのです。それなのに、4年生で他の先生のゼミに移れというのは約束が違います。浅野先生の定年延長が認められないで不利益を被るのは私たち学生です。
村田先生には多大なご迷惑をおかけいたしますが、どうか私たちが浅野先生のもとで学ぶ機会を奪わないでいただきたいです。私は同志社大学の建学の精神が今もここに根付いていると信じております。では、失礼いたします。
2013年11月21日 メディア学科3年浅野ゼミ生(13名、米留学中ゼミ員含む)
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同志社大学学長 村田晃嗣先生
浅野健一教授の定年延長除外に対する嘆願書
いつもお世話になっております。私たちはこの春からメディア学科の浅野健一ゼミ(「メディア学基礎演習Ⅰ・Ⅱ」)で勉強しています。基礎ゼミでは「ヘイトスピーチと表現の自由」をテーマに共同研究をしています。先日社会学部の教授たちの会議で浅野教授の定年延長が認めないことが決められたと聞きました。そのことについて我々学生の願いを聞いて欲しいと思い、こうしてお手紙をお送りしました。
ご存知の通り我々メディア学科の2回生は来年には3回生として本格的に2年間の本ゼミの中で勉学に励まなくてはなりません。しかし本来9人いるメディア学科の教授の中で渡辺教授、佐伯教授のゼミが開かれず、勝野准教授は同志社を出られるとお聞きました。広告を教える教授が新しく来られるとも聞いていますが、ここで浅野教授も選べないとなると我々は5人の教授からゼミを選ばなくてはなりません。選べるゼミがここまで少ないとそれだけ我々の学べる範囲も狭まってしまいます。またジャーナリストになりたくて名高いメディア学科に入った学生も多くいるのに、ジャーナリズムを専門にしている教授がここまで減ってしまうと入学当初の目的とは大きく異なる大学生活を送らざるを得ません。
また2回生の他のゼミの学生の中にも来年は浅野ゼミを考えている学生が大勢います。春までこのような話は上がっていなかったので「新聞学原論Ⅰ・Ⅱ」など浅野教授の授業を聞いて来年は浅野ゼミにしようと考えていたのです。そこに急に浅野教授が来年4月からいないと決まってしまうのは、学生としては学ぶチャンスを奪われたかのような印象です。
今回の定年延長除外は学生にとって非常に不利益な話です。浅野教授が大学を出たとして、どのように彼の代わりに我々に指導をするのかなどをはっきり確定したうえで決定したとはどうしても思えないのです。このようなことで心配することなく学生が勉学に励めるように、ぜひともお力をお借りしたいと思っております。稚拙な文章でまことに恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
2013/11/22 同志社大学社会学部メディア学科 浅野健一ゼミ2回生(6名)
(注2)浅野健一ゼミ(2~4年)履修学生一同とメディア学科をよくする会(須賀達也会長)は13年12月、村田学長と冨田社会学部長へ「来年度の授業環境の変化に関するお願いの署名」を提出しました。その際、同封した文書と要望書は以下のようです。
《浅野健一教授の定年延長問題について、浅野健一教授が受け持つ新聞学原論Ⅱの講義において来年度以降の浅野健一教授による講義が継続して行われること、メディア学科の授業環境保全のため、浅野健一教授の定年延長を認めていただきたいという思いに賛同していただける受講生に署名をお願いしました。その結果、受講生46名が署名をしてくださいました。ここにその署名をまとめましたので、ご覧ください。》
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同志社大学社会学部メディア学科
同志社大学学長・村田晃嗣先生
来年度の授業環境の変化に関するお願いの署名
来年度の社会学部における講義に関して、重大な問題が発生しています。「新聞学原論Ⅰ」「新聞学原論Ⅱ」など、社会学部メディア学科の浅野健一先生が関わるいくつかの授業が休講になる可能性が出てきています。はっきりした理由も示されずに、今年65歳の浅野健一先生の2014年度以降の雇用が学内で問題となっていると聞いています。
浅野先生が2014年4月以降本学にいなくなり、先生の担当する予定の授業がすべて休講になった場合、大学からジャーナリズム論を本格的に教える授業が減ることになります。私たちの授業を選択する幅が狭まることになります。
私たち新聞学原論の受講生は社会学部だけでなく京田辺校地にある学部生も含め多くの学部学科の学生が受講しているほか、メディア学専攻の院生、大学コンソーシアム京都単位互換制度を利用した他大学の学生、生涯学習(京カレッジ)の一般市民も授業を取っています。マスメディアに関心を持って、メディア関係の仕事をしたいと考えている学生も多くいます。
これからも浅野先生の授業を受けたいと望んでいます。また、今後の後輩たちのためにも浅野先生の授業を守っていただきたいと考えています。
私たちの学習環境を少しでも改善して守っていくためにも、来年度も浅野先生を同志社の先生として大学に残してください。何卒よろしくお願いいたします。
新聞学原論Ⅱ受講生有志一同