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現役学生・卒業生・市民らが浅野教授の講義再開を要望
171人署名の要望書を水谷理事長、村田学長へ提出

署名活動の背景

 浅野健一・同志社大学大学院社会学研究科メディア学専攻博士後期課程教授は2014年3月末に定年延長を拒否されて研究室を追われ、大学院と学部の担当課科目(講義・ゼミ)がすべて「未定」「休講」になっていますが、同大の現役学生・卒業生・一般市民が7月5日から集めた水谷誠・学校法人同志社理事長と村田晃嗣同志社大学学長に「浅野教授の授業の再開を求める要望書」を2回に分けて提出しました。全部で171人分の署名が集まりました。この署名活動と大学側の対応に関し、浅野教授支援会から報告します。

 この署名活動は、2014年7月5日、同志社大学今出川校地明徳館21番教室で開催された小出裕章さんを招いてのシンポジウム《東電福島原発「事件」後を生きる ~原発再稼働・輸出攻撃にどう向き合うか~》の第二部で行われた「浅野教授定年不延長問題」をテーマにした討論を契機に始まったものです。浅野教授がメディア学科の専任教員6人の事実上の“クーデター”と学内の“暗黒裁判” (14年2月21日の法人理事会)によって追放された後、浅野教授の授業を履修できると思って進級、入学(編入・転入)した院生・学部生が「浅野教授が仮に定年退職したという大学の主張を認めたとしても、嘱託講師での任用で開講できるはずだ」と考え、シンポ前に署名活動を開始しました。

 浅野教授は2月3日に教授職の地位確認を求める訴訟を京都地裁民事6部に起こしています。また、学生有志が言う通り、仮に大学が主張するように浅野教授が「定年退職」したとしても、浅野教授を「嘱託講師」(非常勤講師)で任用すれば、学部の1~3年ゼミを除いて院・学部で多くの授業を開講できるのです。「退職」した教員の講師任用は極めて簡単です。大学が配布した「履修の手引き」によりますと、4月から休講になっている学部の科目は「新聞学原論Ⅰ」(春)「新聞学原論Ⅱ」(秋)です。院前期課程では「ジャーナリズム論」(春)「新聞学」(秋)、「演習ⅡA(ジャーナリズム研究)」(春)、「演習ⅡB(新聞学研究)」(秋)。院後期課程では「メディア学特殊研究ⅠA」(通年)です。

「休講」にされた学部科目「新聞学原論Ⅰ」「新聞学原論Ⅱ」

「担当者未定」にされた大学院前期課程「ジャーナリズム論」「新聞学」

「担当者未定」にされた大学院前期課程
「演習ⅡA(ジャーナリズム研究)」「演習ⅡB(新聞学研究)」

 シンポジウムの会場で、パネリストの呼びかけにより、水谷理事長と村田学長宛てに「浅野教授の定年延長を求める署名」を「小出裕章さんのシンポジウムに参加した市民有志一同」として参加者にお願いし、その日、市民・学生約60人分の署名が集まりました。

 さらに、このシンポに参加していた文学部社会学科新聞学専攻(現社会学部メディア学科)1965年卒業の木佐木翠子さんが翌日の7月6日に新島会館で開かれた新聞学「住谷会」(故住谷伸一新聞学専攻教授を偲ぶ会)の会合などで32人の署名を集めてくださいました。

 これらの署名は7月17日と8月8日の2回に分けて、政策学部4年生と神学部3年生の二人によって、理事長と学長へ提出されました。署名は7月17日の1回目には学生8名、市民92名、2回目の8月8日には学生40名、市民31名の署名がありました。その総数は171名になりました。

13年度の支援活動の延長で署名集め

 なお、浅野教授が大学院メディア学専攻の教員4人による密室の「臨時専攻会議」において定年延長を拒否された2013年10月末、すぐに浅野ゼミ学生たちを中心にした署名活動は始まりました。学部の浅野ゼミの(2~4年次生)の全員の31人、1年生ゼミ(21人)のうち19人が署名しています(注1)。また、大学院では、メディア学専攻博士後期課程院生のナジ・イムティハニさん(後期3年、当時=以下同)・矢内真理子さん(後期2年)、前期課程の荻野友美さん(前期2年)、特別学生3人(留学生)も浅野教授の定年延長を求める要望書を冨田安信研究科長(産業関係学科教授)、村田学長らへ提出しています。浅野ゼミの卒業生の多くも要望書を出しています。

 さらに、浅野教授のメイン講義である「新聞学原論Ⅱ」の履修学生60人も署名しています。履修生の半数が署名してくれました(注2)。保護者、同志社大学教員有志も要望書・嘆願書を提出しています。

 浅野教授追放事件を契機に生まれた「浅野先生を守る会」(矢内真理子会長)と「メディア学科をよくする会」(須賀達也会長)も多くの学生の署名を集め、メディア学科教員、社会学部教授会メンバーに浅野教授の定年延長を認めるよう要請しました。

 このほか、浅野ゼミに来てくれたジャーナリスト・研究者や冤罪被害者らなど様々な立場の人々が署名をするほか嘆願書も書いてくれました。
同志社大学社会学部では、3、4年ゼミは卒業論文と共に同じゼミでの継続履修が義務付けられていますが、13年度の浅野ゼミ3年生(浅野ゼミ20期)は全員3年生時と同一ゼミでの継続履修が行えず、他の4つのゼミに強制的に振り分けられました。また、2013年度3年生であったゼミ生は共同研究「憲法改定とマスメディア」を行っていましたが、解散せざるを得なかったのです。ロシアからの日本政府・国費留学生は14年4月に日本に到着し、来春大学院入学予定ですが、研究テーマは「外国人犯罪が日本の新聞でどう報道されるか」で、文科省を通じて、浅野教授の指導を希望しているのですが、現在も指導教授は「未定」となっています。

 2014年度に大学に入って、浅野教授のゼミや講義の受講を希望していた社会学部、社会学研究科、他学部の学生の多数がなぜ原告の講義やゼミが行われないのか社会学部事務室に苦情を申し立てています。新入生のほか、転編入の学生も「なぜ浅野先生の授業がないのか」と不満を漏らしています。「浅野ゼミに入ろうと思って来たのに浅野先生がいないので困った」と言っている他大学からの3年次編入生もいます。浅野教授は13年度、大学院メディア学専攻の専攻教務主任でしたので、入試説明会(2回)で専攻の説明をし、入試(北京入試を含め3回)でも口頭試問の司会をしていますので、4月に入学した院生たちは「浅野先生がなぜいないのか」「ジャーナリズム分野の講義・演習が少ない」と話しています。「メディア学科の教育環境の劣化をもたらしている」という声が社会学部の学生の共通認識でしょう。