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「捏造告げ口」で法廷に警備職員を配置、傍聴人を威圧
――浅野教授の地位確認訴訟第3回口頭弁論

 浅野健一教授が今年2月3日、学校法人同志社(水谷誠理事長)を相手に起こした「従業員地位確認等請求訴訟」の第3回口頭弁論が8月20日(水)午前10時20分から京都地裁(第6民事部)208号法廷で開かれました(担当裁判官は堀内照美判事=第6民事部総括判事、髙松みどり判事、渡邊毅裕判事補の3人)。傍聴した支援会メンバーの報告をもとに支援会事務局から報告します。

  弁論では、被告側が7月31日付準備書面(1)を陳述し、10月10日までに被告側準備書面に対して原告側が反論と立証を行う準備書面を提出することを決めました。裁判長は「次回は弁論準備期日(非公開)としてはどうか」と提案しましたが、原告側は「傍聴者がおられるので従来通り弁論期日に」と要望、次回期日を10月29日(水)午前10時、同じ208号法廷に決定し、5分足らずで閉廷しました。

 今回、傍聴席には「新聞うずみ火」の平井紀子記者、氏本デリアさん・善隆さん(元浅野ゼミ生の両親)、長野博行さん(京都府木津川市)、柴野貞夫さん(ネット民衆言論「柴野貞夫時事問題研究会」)、同志社大学政策学部4年生、和歌山カレー事件・冤罪死刑囚の林真須美さんを支援する「あおぞらの会」の松本慶恒さんの8人が浅野教授の支援に駆けつけました。

  一方、被告側では、仮処分の審尋以来、毎回姿を見せていた冨田安信・同志社大学大学院社会学研究科長・社会学部長と松隈佳之同研究科事務長(係長が代理出席する場合も)の姿がなく、代理人の俵法律事務所(大阪)の小國隆輔、多田真央両弁護士が出席しただけ(学校法人同志社の総務人事担当者は、仮処分申立事件の審尋も含め、まだ一度も姿を見せていません)。

 今回の裁判で気になったのは、胸に裁判所バッジを付けた裁判所の女性職員3~4人がなぜか208号法廷や法廷外の廊下にいて、傍聴人を監視するように見えたことです。これは、ジャーナリストの中嶋啓明さんが「週刊金曜日」7月4日号に書いた「カメラ撮影問題(ビデオ撮影は相手側の捏造)」(注)に関連して、裁判所側が「過剰反応」したのではないかと思われますが、傍聴者に威圧感を感じさせる、一種異様な光景でした。

 またこの日、武村二三夫弁護士が、弁論開始前(別の事件の弁論中)に、法廷内(傍聴席)でパソコンを開いていたところ、堀内裁判長が「スマホやパソコンを切るように」と命じました。武村弁護士は「わけがわからず、とりあえずスリープモードにし、事件の弁論の際、書記官に『パソコンの使用は禁止ですか?』と聞いたところ、堀内裁判官は、『代理人の方が使用されていたのですか、失礼しました』と謝ってきました。前回の写真撮影と関係があるのかどうかわかりませんが、過剰な対応ですね」と話していました。

 弁論終了後、裁判所1階の弁護士控え室で武村、平方かおる、小原各弁護士が、裁判を傍聴した支援者に、今後の裁判の流れや争点を説明しました。この中で、「カメラ撮影問題」について、長野さんたちが弁護団に経過などを質問。武村弁護士は「裁判所としては、裁判所構内で写真撮影をしてほしくないということで、京都地裁は今回のような対応をとったのでは」と説明し、「これで京都地裁のセキュリティーが東京地裁などと同じように上がるのは好ましくない」と述べました。

 これについては、長野さんが「報道機関、記者クラブの記者は『報道の自由』があるということで法廷内の冒頭撮影もできるのに、私たち市民が裁判後の廊下でも写真撮影がダメなのはどうか」と、当然の疑問を呈されました。

 この問題について、ある傍聴者は「裁判所内で写真撮影が禁止されていることさえ、私は知りませんでした。一方で、裁判を起こした人は世間から『裁判を起こすのは生意気だ』というような冷ややかな視線にさらされています。弁護団、支援者が一丸となって、不当な処分を訴えた人を応援し、支えることが大切なのだと思います」と話しました。

 また、別の傍聴者からは「『どうして、浅野先生だけが定年延長が認められないの。そんなのおかしいよ』と言ってくれる友人が多い。浅野先生は、権力からは弾圧されても市民には愛されているんだなあと感じました。今回のことを、私も周りの方に伝えていきたい」「カメラ撮影の件は、問題をはっきりさせてほしい。私たちが、何か妨害・違法行為を行う反社会的な市民だという印象を裁判官に与えているとしたら、大変心外に思う。法的なことはよくわかりませんが、私は浅野教授が『大学教授であるのに不適格な理由』を、被告から教えていただきたい」などの意見が出されました。
詳しくは中嶋さんの記事を読んでほしいのですが、「浅野支援者が裁判所内でビデオ撮影した」というウソを裁判所総務課長へ告げ口した小國弁護士、冨田社会学研究科長らは、自ら虚偽申告を撤回し、原告と支援者に謝罪すべきだと思います。

 2013年11月13日の大学院社会学研究科委員会の「定年延長拒否決定」が、たった4人の「臨時専攻会議」(小黒純議長=博士後期課程の任用なし)の不当な決定の単なる追認でしかなく、まともな審議など行われなかった、そのことが、今後の審理で証明されるでしょう。次回の弁論にも多くの支援者が傍聴にこられるようお願いします。

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(注)①中嶋啓明さんが書いた「週刊金曜日」人権とメディア欄の記事は次のとおり。

心証得ようとウソの“告げ口”?浅野氏地位確認請求

  本欄執筆者でもある浅野健一氏が、学校法人同志社を相手に教授としての地位確認などを京都地裁に求めている裁判で、法廷外で起きた裁判内容とは無関係な出来事をめぐって被告側が裁判所に対し、“告げ口”とも取れる告発を行っていたことがわかり、原告側は、告発の内容自体、虚偽だと強く反発している。

 被告側の“告げ口”は、6月27日、原告代理人の武村(たけむら)二三夫(ふみお)弁護士に地裁総務課長からあった電話連絡で明らかになった。それによると、この中で総務課長は、前回弁論のあった18日の法廷後、原告の支援者が被告側関係者をカメラで撮影したとの被告代理人の指摘を受け、書記官が原告側に注意した事実があったことに触れた上で、並行して行なわれていた地位保全の仮処分を求めた裁判にまで遡(さかのぼ)って言及、その審尋期日の際にも同様に、カメラによるビデオ撮影があったと被告側から追加して申し入れがあったと明らかにした。そして総務課長は、「裁判所は確認できていない」と断りながらも、庁舎管理上、大きな問題だとして今後、無断で撮影しないよう注意を促したという。

 これを受けて原告側で調査したところ、18日の出来事については支援者の一人が動画ではなく写真の撮影を試みたものの、写真は同日書記官からの要請を受けた弁護団の指示などで、すでに廃棄していたことが分かった。この支援者は、廊下で被告側を代表して傍聴した冨田安(とみたやす)信(のぶ)・大学院社会学研究科長から、胸を強く突くなどの暴行を受けたため、その行為を撮影したと主張しているという。
だが、もう一方の仮処分裁判での審尋期日に動画撮影したとの指摘については、まったくの事実無根であることが明らかになった。

 原告側は、動画かどうかは、再生しなければわからないにもかかわらず、被告代理人は「カメラによるビデオ撮影」をどのようにして確認したのかと疑義を表明。そもそも仮処分事件の審尋は非公開で支援者らは傍聴できず、被告側関係者と顔を合わせる機会がなかったとして、すでに同地裁では1か月前に終結、確定している仮処分の審尋にまで遡って取り上げ、原告弁護団への問い合わせもないまま、事実無根の内容を追加して「申し入れ」た被告側の態度について、裁判所の心証を自らに有利なように誘導しようとする姑息(こそく)な行為だと厳しく批判している。

 また原告側は、事実関係が未確認であることを自認しながら、被告代理人の言い分を鵜呑(うの)みにし、そのまま原告代理人に伝えてきた裁判所の姿勢に対しても、原告側の傍聴人を委縮(いしゅく)させるものとして問題視している。

 被告側代理人は私の電話取材に「裁判中なので、詳しいことは言えない」と話し、大学からは植村巧広報課長名で「ご照会の件について、回答は差し控えます」とのファックスが届いた。地裁総務課からは7月1日正午までに回答がなかった。

 浅野氏は「本件は民事の争いであり、万一、法廷外で被告側が問題だと感じるような事実があったのなら、代理人を通じて直接相手方に連絡すれば済むことだ。事実確認もしないまま、わざわざ総務課長が出張ってきて、一方の当事者に注意してくる裁判所の姿勢にも驚く」と強調。武村弁護士は「訴訟関係者、傍聴人らにはプライバシーがあり、みだりに撮影されない権利を有していることは言うまでもない。裁判所構内での相手方の承諾(しょうだく)のない撮影行為を、すべて一律に容認するものではない。ただ、審尋の際に指摘されるような事実がなかったことは明確にしておきたい」と話している。

(注)②中嶋さんが同志社大学側へファクスで送信した取材依頼の文書は次のとおり。

富田安信社会学研究科長殿 植村巧広報課長殿

突然のFAXをお許しください。

共同通信で記者をしております中嶋啓明と申します。本日は共同通信記者としてではなく、ジャーナリストとして確認致したい点があり、FAXさせていただきました。
「週刊金曜日」の人権とメディア欄にて、記事を執筆しており、本日おうかがいする内容については、そちらに反映させる予定です。

おうかがいしたいのは、貴学を相手に、浅野健一氏が地位確認等を求めて京都地裁に起こしておられる裁判についてです。

以下、カ条書きにお尋ねしたいことを記します。

1、18日に行われた裁判の口頭弁論後、法廷外の廊下で、原告側支援者とトラブルになりましたでしょうか。その際、その支援者の胸を突く行為をされたと、支援者は主張していますが、これは事実でしょうか。その行為を、原告側関係者が写真撮影したということですが、ご記憶はありますでしょうか。
1、上記写真撮影に対し、被告側から裁判所に申し入れをされましたでしょうか。申し入れられたとすると、どなたが、いつ、どのような内容を申し入れられたのでしょうか。

1、関連して以前本裁判と併行して行われていた地位保全の仮処分請求事件で、審尋の際、同様に原告関係者が被告側の貴学関係者をビデオにより撮影したという事実がありますでしょうか。事実を把握されておられるなら、いつ、誰が、誰に対して、どこで、どのような形で撮影したのでしょうか。それをどのようにして確認されたのでしょうか。

1、上記に関して裁判所に対し、被告側として申し入れられたのでしょうか。申し入れられたとすると、どなたが、いつ、どのような形で、どのような内容を、申し入れられたのでしょうか。

以上の点について本日夕(午後5時ごろ)までにご回答いただけますでしょうか。勝手な申出をお許しください。乱筆乱文、ご容赦いただければ幸いです。
中嶋啓明拝

(注)③中嶋さんは京都地裁へも取材しています。以下はその報告です。

6月30日、裁判所の見解を聞くため、京都地裁総務課に電話した。藤本昌彦総務課長は不在で、応対したのは、饒波岳人(のなみ・たけひと)課長補佐。藤本課長が原告代理人の武村二三夫弁護士に電話連絡をしたという事実の確認を求めた上で、電話連絡の内容の詳細など、質問事項を口頭で伝え、回答を待った。『金曜日』の締め切りには間に合わなかったが、翌7月1日夕、藤本課長から直接、中嶋に電話があり、口頭で回答があった。回答は大要、次のようなものだった。

 《6月18日の口頭弁論後、被告側からの申し出を受け、書記官が原告代理人に注意したという事実があった。その上で、以前の仮処分の審尋の際にも同様に、ビデオ撮影の事実があったという情報に接したので、仮にそのようなことがあっては困ると考え、今後そのようなことはないようにとの趣旨で武村弁護士に電話で連絡した。その際、武村弁護士からは、原告代理人としては撮影を現認しておらず、被告と原告の支援者が向き合って話しているのを見たなどの話があった。来庁者のプライバシーを保護し、安心して裁判所を利用してもらうために、撮影は原則として禁止しているので、そのような一般的な話として裁判所の考えを伝えた。実際に撮影があったかどうかについて、事実認定等をし注意したというものではなく、武村弁護士への電話連絡について問題があったとは考えていない。》