対渡辺裁判控訴審が結審、東京高裁6月13日に判決
対渡辺武達教授裁判の第二回期日(口頭弁論)が2013年4月16日午後4時半から、東京高裁判所民事七部(市村陽典裁判長、濱口浩右陪席裁判官、菅家忠行左陪席裁判官)511号法廷で開かれた。第一審本訴原告側は浅野教授、代理人の弘中惇一郎、小原健司、山縣敦彦の各弁護士、第一審本訴被告側の代理人の池上哲朗、野崎隆史両弁護士が出廷したが、同裁判中ずっと出廷して前列中央に座り続けていた渡辺氏の姿が法廷にはなかった。
双方が書面を提出した後、市村裁判長は、浅野教授弁護団が前回期日で、同志社大学の鈴木直人、佐伯順子ら三教授を証人申請していたのに対しては、「本審で証人調べは行わない」とした。その上で「これで結審とし、6月13日(木)午後1時15分、511号法廷で言い渡す」と述べた。
なお、渡辺教授側弁護団は「乙76~乙80」の書証 を提出した。渡辺氏、三井愛子氏(渡辺教授が指導教授の元院生で同志社大学社会学部嘱託講師)、中谷聡氏、山口功二名誉教授、3月に修士課程を修了したT氏(書面では住所、氏名を明記)の5人の陳述書である。裁判長は前回期日3月5日の口頭弁論で、「書証は必ず期日の1週間前に出すように」と強く要請していたが、期日前日の15日にこれらの書面は提出された。
T氏は、浅野教授が陳述書で「修士論文口頭試問で渡辺氏から『君の修論を読んでいないが…』と告げられた上で、セクハラに当たる荒唐無稽な質問を受けた」などと明らかにした人物で、竹内長武教授が指導した学生。浅野教授はT氏を仮名にしていた。T氏は「このほど浅野教授の陳述書を読んで驚いた」との書き出しの後、電話の会話で「誘導」されたなどと事実に反する記述をしている。中谷氏以外の3人は、渡辺氏が下書きした文章に署名しただけではないか、と疑われた(現に本件訴訟ではそのような前例が元社会学部長ら別の人の陳述書に関して既に見られた)。
弘中弁護士は「乙76~79の陳述書について、署名部分を争うわけではないが、これまでの経緯からしてその 作成方法に疑義があるので、成立を不知としたい」と言明した。また弘中弁護士が「乙76 ~80は(提出期限より遙かに遅れて)昨日受領したばかりなので、まだ内容を精査できていない。証拠弁論的な書面を出すかもしれない」と発言すると、裁判長は「それは構わない。出すのであれば1か月以内に出してほしい」と語った。
控訴審の重要な争点はいくつかあるが、浅野教授側は特に、高裁が第一行為(渡辺氏が文春に記事を書かせた)に関して正しい認定をするよう求めている。
6月13日に東京高裁511号法廷で行われる判決言い渡しが注目される。