共同通信が浅野教授勝訴記事を配信
京都新聞が12月4日朝刊第三社会面に載せた判決記事(ベタ)は共同通信配信記事でした。京都新聞は共同の主見出し(仮見出しとして加盟社に配信)を変えています。また、最後の一文を削っています。京都新聞経営者は渡辺武達教授と非常に親しく、渡辺氏への忠誠をつくしたのでしょう。
浅野教授の代理人である小原健司弁護士は12月6日、京都新聞編集局長に、記事の一部に誤りがあるとして抗議文を送りました(注1)。抗議文では、①週刊誌への情報提供を認めなかったという記述は誤り②渡辺氏のコメントだけが出ていて、浅野側の取材がない―などを指摘し、訂正を求めました。この時点では、京都新聞記事以外に記事が載っておらず、共同通信の配信記事とは分かりませんでした。7日になって浅野教授の高松高校時代の恩師から、4日の四国新聞で裁判勝訴の記事を読んだという連絡があり、共同配信記事だと判明しました。
12月10日、共同通信本社の社会部長から小原弁護士に電話があり「記事は共同の配信記事だ・リード部分の虚偽の情報を提供したというくだりに引きずられて、言葉足らずの表現になった。浅野教授の記者会見に出ており、取材をしている。渡辺氏は会見をしていないので、電話で取材した。総選挙で忙しいので、文書回答はしばらく猶予をいただきたい」という旨の釈明がありました。
以下は、対渡辺裁判の判決を伝えた12年12月3日夜の2本の共同通信配信記事です。。「社会144S」の記事の後、渡辺武達氏に取材してコメントを取って差し替えたのが「社会157S」。2本とも、共A(全国ニュースの意味)で配信されています。
[ 2012年12月03日 21:41:53 共A4T1155社会157S
浅野健一氏が勝訴
同僚教授に賠償命令
【編注】差し替え(社会144S)、京都注意、金子美保
虚偽の情報を週刊誌に提供したり、インターネット掲示板に不適切な投稿をしたりしたなど、として、同志社大の 浅野健一 (あさの・けんいち)教授が同僚の渡辺武達(わたなべ・たけさと)教授に3850万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は3日、請求の一部を認め、約40万円の支払いを命じた。
堀内明(ほりうち・あきら)裁判長は、浅野教授と第三者との間で作成された和解書を、渡辺教授が裁判所で閲覧して書き写し、複数の教授に配ったことや、掲示板への投稿について「プライバシー権を侵害し、社会的評価を低下させる」と指摘。週刊誌への情報提供に関しては「可能性は否定し難いが推測にとどまる」と認めなかった。
渡辺教授は「不当な判決で断固控訴する」とコメント。浅野教授も控訴する方針。
問題となった週刊誌の記事で名誉を傷つけられたとして、浅野教授が発行元などに損害賠償を求めた訴訟は550万円の支払いを命じた判決が最高裁で確定している。 ]
[ 2012年12月03日 19:58:55 共A4T1001社会144S
浅野健一氏が勝訴
同僚教授に賠償命令
【編注】京都注意、金子美保
虚偽の情報を週刊誌に提供したり、誹謗(ひぼう)中傷の電子メールを教員や学生らに送ったりしたなどとして、同志社大の 浅野健一 (あさの・けんいち)教授が同僚の渡辺武達(わたなべ・たけさと)教授に3850万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は3日、請求の一部を認め、約40万円の支払いを命じた。
堀内明(ほりうち・あきら)裁判長は、浅野教授と第三者との間で作成された和解書を、渡辺教授が裁判所で閲覧して書き写し、複数の教授に配ったことや、不特定多数へのメール送信について「プライバシー権を侵害し、社会的評価を低下させる」と指摘。週刊誌への情報提供に関しては「可能性は否定し難いが推測にとどまる」と認めなかった。
問題となった週刊誌の記事で名誉を傷つけられたとして、浅野教授が発行元などに損害賠償を求めた訴訟は550万円の支払いを命じた判決が最高裁で確定している。 ]
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(注1)
[ 2012(平成24)年12月6日
京都新聞
編集局長 仁田一明 殿
抗議ならびに訂正要請書
〒604-0993
京都府京都市中京区寺町通夷川上ル
久遠院前町686 ヒトミビル3階
寺町夷川法律事務所
電話085-231-1171 FAX075-231-1172
浅野健一代理人
弁護士 小原 健司
冠省
当職は、貴紙本年12月4日付第三社会面に載った別添の記事で取り上げられた、「同志社大学の浅野健一教授」から「同僚の渡辺武達教授」に対する損害賠償請求訴訟の代理人です。
ところで、上記記事には以下の1)2)のような問題があると思料いたします。
1) 判決に対し、①被告渡辺武達教授からのコメント(不当として控訴する云々)が「」付きで本人の言として記載されていて、取材がなされているにもかかわらず、②原告浅野教授側については、本人コメントはもちろん取材もないままに、控訴する方針との結論だけが掲載され、偏頗であること
2) 第2段9~13行目について、「週刊誌の情報提供に関しては」「認めなかった」とされている記載が、明らかに誤記であること。
よってここに抗議するとともに、早急に適切な訂正記事をなされたく求めるものです。
なお上記指摘2)について補足するに、同判決が「可能性は否定しがたいが推測にとどまる」とし断定や推認を避ける判断をしたのは、①「週刊誌への情報提供行為」ではなく、②その前段階のセクハラ等情報そのものの「捏造」行為やそれへの評価だけです。
被告渡辺武達教授において原告浅野教授に関する週刊誌への「情報提供」行為がなされたという事実そのものについては同教授自身も争わず認めていたので本訴では争点とはなっていません。しかるにこの記事はどう考えても国語表現的にはその事実すらも否定されたかのように読めてしまいます。よって読者に対し、渡辺教授がそのような行為すらしていないと裁判所が認定した旨の誤った印象を与えることは明らかです。
このような誤報が、真実の報道に反し、原告浅野健一教授の名誉を損なうことは明らかであり、早急に上記対応をされたく求めます。 早々 ]