6月25日は取り消し、最終弁論が9月10日に決定
東京地裁・対渡辺教授裁判の期日
東京地裁民事第7部(堀内明裁判長)で行われている対渡辺武達教授裁判(渡辺教授も反訴)の6月25日(月)の期日が取り消しになりました。
浅野健一教授が2009年9月に提訴したこの損害賠償請求訴訟の証人調べは終了し、最終弁論期日が9月10日(月)の11:00(606号法廷)に決まりました。
6月25日は、渡辺武達教授が個人的な関係を利用して大学ハラスメント委員会へ持ち込んだ時の委員長の鈴木直人・心理学部長ら3人が証人として召喚されていましたが、3人とも出廷できないと地裁へ連絡してきたため期日はなくなりました。
裁判所は5月15日付で、鈴木部長ら3人にそれぞれ呼出状を発送したところ、鈴木部長は「講義があるため出頭できない」と5月30日に裁判所に連絡してきたそうです。司法が事実の解明の為に必要であると判断した鈴木部長には、裁判所の度重なる出廷要請を受け入れ、真実を法廷で証言する社会的義務があると思いますので、大変残念なことです。
浅野教授は6月12日に八田英二大学長、氏名不詳のハラスメント委員会委員長(2012年3月末までは石川健次郎委員長、現在の委員長名は開示されていない)に対し、次のような要望書を送っていました。
《対渡辺教授裁判では、毎回約50人が傍聴しています。私の学生、支援者らの前で、裁判長は、鈴木学部長の証人喚問を決めています。司法の再度の要請に対し、大学人が真摯に対応しないとすれば、問題ではないでしょうか。大学人には社会的責任とアカウンタビリティがあると私は思います。大学長、委員長が、鈴木氏の出廷を促すよう強く求めます》
また「浅野教授を支援する会」の山口正紀事務局長(「人権と報道・連絡会」世話人)は6月14日、次のような要望書を大学長と委員長へ送っています。
《現在、東京地裁民事七部で、浅野健一教授が同僚の渡辺武達教授を相手取った損害賠償請求裁判(以下「渡辺裁判」という)が行われております。この裁判で、浅野教授に関する申し立てが行われたとされる当時のセクシュアル・ハラスメント防止に関する委員会(以下、CH委)委員長であった鈴木直人心理学部長について、裁判所は「本訴訟に必要な証人」と認め、鈴木学部長に証人として出廷するように何度も要請しています。
ところが、鈴木学部長は「授業などで多忙」との理由で、裁判所が提示する複数の期日をいずれも「出廷できない」と回答されてきました。
これについて、5月11日の被告(渡辺教授)の本人尋問の際、原告代理人が「鈴木氏が裁判所に出廷し、証人尋問することは必要」と改めて強く主張すると、裁判所はそれを認め、鈴木学部長に出廷を要請する連絡をしました。
しかしながら、浅野教授の代理人弁護士(弘中惇一郎弁護士ら)から6月8日、支援会に「裁判所が5月15日付けで、鈴木氏ら3人にそれぞれ呼出状を発送したところ、鈴木氏からは『講義があるため出頭できない』旨の返信が5月30日に裁判所に届いた」との連絡がありました。
このことについて、あらためて貴大学の真摯な対応をお願いする次第です。
本件訴訟の原因となった「セクハラ事案」にCH委・委員長として関与した当事者の一人である鈴木氏は、なぜ、裁判所による再三の出廷要請を拒み続けるのでしょうか。この件は、すでに鈴木学部長が個人のレベルで判断するレベルではなくなっています。裁判所は、個人としての鈴木部長に証言を求めたのではなく、当時、CH委委員長であった鈴木部長に証言を求めているのです。
司法が事実の解明の為に必要であると判断した鈴木教授には、出廷し証言する社会的義務があるのではないでしょうか。裁判所は、これまでも複数期日を提示して、鈴木氏の出廷が可能なように環境作りに努力してきました。
こうした状況を踏まえ、鈴木氏をCH委員長に任命してきた貴大学執行部としても、鈴木教授に証人としての出廷を促すなどの努力をされるべきではないでしょうか。鈴木氏は「大学の講義」を出廷できない理由として挙げられておられるようですが、親族の冠婚葬祭など、特例として講義を休講することは認められていると聞いています。さらに冠婚葬祭はあくまで私事ですが、鈴木学部長が「元・CH委の委員長」として出廷することは大学の公務と考えられます。
貴大学に勤務する教員の人権に関する重大な問題が問われている本訴訟について、 元・CH委の委員長たる鈴木学部長には裁判所で真実を述べる義務が、あると考えます。ある意味では、講義より優先すべき事柄ではないでしょうか。
そもそも、この件を含む一連の出来事は、貴委員会が浅野教授について、同僚の渡辺教授が鈴木委員長との個人的な関係を利用して2003年9月、鈴木委員長に持ち込んだことが発端となっています。
本事案は、文春裁判(2010年3月確定)と東京地裁の裁判で「係争中」を理由に審議を中断し、浅野教授を事実上「容疑者」の「被申立人」のまま8年9カ月以上も放置していることが主要因となっております。キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会としてきちんと責任を果たすべきです。
渡辺裁判では3月5日(中谷聡氏ら渡辺教授側3人)と26日(浅野教授)、証人調べが行われ、5月11日には渡辺教授の証人尋問がありました。渡辺教授は証言の中で、教職員の守秘義務に違反し、委員会情報や学生のプライバシーを侵害する発言を繰り返しました。また、同志社大学を激しく非難し、委員会を誹謗中傷する発言を連発しました。大学執行部は、渡辺教授の証言のすべてを知り、必要な措置を取るべきだと思います。
以上のことは、私たちが述べるまでもなく、大学の自治に関連することでもあります。標記の件につき「自治・自立・自律」を建学の精神とする同志社大学として、速やかな対応をとられることを強く要望します。》
同志社大学の執行部が鈴木部長に対して出廷するように働きかけなかったのは極めて遺憾です。
また、大学のハラスメント委員会は、渡辺裁判を理由にしての審理中断を撤回し、直ちに審理を終結し、結論を出すべきです。
松本サリン事件の被害者で、これまで数回、浅野教授の事案で大学長と委員長らへ要望書を出している河野義行さん(鹿児島在住)は、5月11日に渡辺氏の証言を法廷で傍聴しました。河野さんは同志社大学のハラスメント委員会について、「裁判など学外のことを理由にして審理止めるということは、大学が自立していないということになる。大学は、社会がどういう判断をしようと、自分たちで独自に調べ、公正な結論を出すところではないか。よそがどういうかを待っているのでは、委員会は全く機能していないということになる。自主性も何もないことになる。あるいは、結論は当の昔に出ているが、その結論を発表すると困ることがあるから、中断しているとしか思えない。間もなく9年というのは信じられないことだ」と言っています。他の支援者も同じ思いです。
浅野教授を9年近くも、事案の被申立人(容疑者扱い)に留め置くのは人権侵害です。「申立人」にされている2人の申し立ての内容を精査し、審理中にマスコミに情報を漏えいした渡辺グループについて調査し、適切な措置を取るよう重ねて求めます。
同志社大学の大学長たちには、自治、自立、品格の建学精神に立ち戻って、メディア訴訟、損害賠償裁判を理由にして、浅野教授の委員会事案の審理を中断している不当性に気づいてほしいと願います。