浅野教授、京都弁護士会へ人権救済の申し立て
浅野健一教授は11月5日、渡辺裁判の代理人でもある若松芳也、小原健司両弁護士を代理人として、京都弁護士会に人権救済の申立を行いました。被申立人は八田英二・同志社大学長と石川健次郎・同志社大学キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会(以下、CH委)委員長です。
申立の趣旨は、2003年9月から現在まで浅野教授が被申立人として係属しているCH委の案件について、CH委がすみやかに審理し、結論を出すこと(そもそもCH委への申立自体が虚偽なので調査打ち切りが妥当)を、京都弁護士会として八田学長と石川委員長に警告・勧告するよう要請したものです。浅野教授は申立の中で、CH委の審理過程において石川委員長が「被害者」に発した文書等の関係資料多数が報道機関等に流出・公表されたことに関し、事実経過及び原因を調査し、適切な措置を採るべきよう勧告するよう弁護士会へ求めています。
渡辺裁判第7回期日終わる、次回は11年1月18日(火) 午後1時半から
浅野教授が2009年9月2日、週刊文春による人権侵害記事の“キーパーソン”である渡辺武達教授を相手取り、3850万円の損害賠償を求めて東京地裁民事第7部(堀内明裁判長、遠藤真澄判事=右陪席、岩田真吾判事補=左陪席)に起した裁判の第7回期日(弁論準備手続き)が11月9日(火)午後3時から、東京地裁民事7部準備室(13階)で開かれました。
今回は電話会議ではなく、被告代理人の池上哲郎弁護士と拾井美香弁護士が東京地裁に初めて姿を見せました。前回の電話会議で期日を決める話し合いの中で、小原健司弁護士が「11月9日に日弁連の国選弁護シンポジウムの実行委員会があるのでその日が好都合」と述べ、池上弁護士も同委員会委員で「当日は上京している」と述べたので、この日は裁判所に来ることが可能という話になり、電話会議ではなく、通常の会議形式で開かれることになりました。この日は、日弁連の上記委員会委員ではなかった拾井弁護士も、出席しました。
原告側は、弘中惇一郎弁護士が緊急の別件所用で欠席、山縣敦彦弁護士と小原弁護士と浅野教授が出席しました。原告側が会議室に入ると、被告代理人の池上・拾井両弁護士はすでに入室しており、テーブルの前に古いパソコンを置いて準備していました。
午後3時、裁判官2人が入室。右陪席の遠藤判事が「裁判長は(親族に)不幸があって、本日は欠席する。右陪席の私、遠藤(判事)と左陪席の岩田(判事補)とが今日は担当する」と告げました。
続いて双方から11月1日付で出した準備書面を確認。被告側は乙22~55証までの証拠を提出し、乙3号と45号は現物を持参して示しました。その上で、池上弁護士らは、被告が出した書証の多くに、閲覧制限申立(11月5日付)を行いました。「印紙は」と裁判官が聞き、被告側代理人は印紙を書記官へ渡しました。原告側が「閲覧制限申立の日付は11月5日となっているが、閲覧制限の効果はいつから生じたと考えればよいのか」と裁判所と被告側に質問、裁判所は「本日(9日)からと考えてもらってよい。事実上、これまでに閲覧請求をしてきたものはいないので問題はない」と答えました。遠藤裁判官は、閲覧制限の請求については裁判所が後日判断すると表明しました。
浅野教授は「まだ書証を見ていない。閲覧制限の申請が出たのもさっき知った。なぜ準備書面と一緒に書証も出さないのか。裁判所から期日1週間前に書証を出すように何度も注意されているはずだ」と発言しました。
池上弁護士は「書証の提出が遅れたことについては、お詫びする」と二度表明。続いて拾井弁護士が「書証がなにしろ大量なので遅くなった」と釈明しました。
その後、両弁護士は「(被告・渡辺教授の)パソコンを持ってきた。乙3号証の検証報告書書証に添付した写真(パソコン画面にメールを示したもの)について、これらのメールが入っているパソコンを本日持参しているので、原告の希望があれば中身を確認することは可能。弁護士が被告のパソコンで確認したということを示したい」と発言し、裁判官が原告側に「どうですか」と打診。浅野教授が「渡辺さんのパソコンか」と被告側代理人に聞くと、「そうです」と拾井弁護士が答えました。
浅野教授は「このパソコンでどういうメールソフトを使っているのかも分からない。いきなり何を見ろというのか。提出された大量の書証も全く読んでいないので対応できない」と指摘。原告代理人の山縣弁護士も、「当方は(被告側が提出した)乙号証一式を昨日(8日)に受け取ったばかりで、まだ十分読んでいない。一度書証を精査しなければならない。今、ここでパソコンを見る必要性はない。必要だとなったらその時に検討する」と回答すると、被告側の両弁護士は「その時にはまた持ってくる」と述べました。
もし被告のパソコンをすべて調べるなら、被告がパソコン上で行った疑いが濃厚な改竄、捏造した経緯も分かるかもしれません。ちなみに、文春裁判では被告・文春側が渡辺教授のパソコンを持ち出してくることは全くありませんでした。問題は、渡辺教授が“被害者”だと主張する人たちが、実際に作成し、送信したメールかどうかという点です。渡辺教授のパソコンを見せただけでは、文春裁判で裁判所(1・2審とも)から改竄の痕跡や捏造の可能性を繰り返し指摘されたことに対して、何の反証にもなりません。もし反証したいなら、朝日新聞が大阪地検の検事のFDを解析してもらったセキュリティ会社(ラック)などでパソコンの関係文書をすべてチェックしてもらうべきでしょう。
これまで、被告・渡辺教授は文春裁判で提出した学内文書などに閲覧制限の申請をしたことは一度もありませんでした。渡辺教授は、「浅野教授は公人であり、浅野教授にかかわる事案に関する論議は公共の利益のためだ」と繰り返し「裁判は公開が原則で、訴訟関係書類は公開されている」と力説してきました。
今回、突然、大量に提出した書証の多くについて閲覧制限を申し立てたのは、全く理解に苦しむことです。被告が複数の同僚教員らへ宛てた電子メール、“被害者”とれるC子さんらのメールアドレスや第三者の氏名があるということを理由にして、「制限」対象としています。
そもそもCH委に今も係属している事案について、渡辺教授グループが守秘義務に違反して報道機関、研究者、市民運動家らに情報提供したことが違法・不当なのです。同僚教員らのメールアドレスなどが個人情報だというのですが、それは当該部分を黒塗りすれば済むことです。閲覧制限の理由として、「閲覧されると被告や第三者の社会生活に支障が出る」という主張には呆れてしまいます。浅野教授のプライバシーを侵害する行為こそ厳しく「制限」されるべきでしょう。
「次回は電話会議を希望するか」と裁判官が被告側に聞き、「電話会議でお願いしたい。パソコンが必要ということなら、その時は(ここ東京地裁へ)参する」と池上弁護士が回答しました。
次回の書面は12月24日までに提出。次回の第8回期日は2011年1月18日(火)午後1時半からとなりました。電話会議ですが、是非傍聴ください。支援者の皆様方のご支援をよろしくお願い申し上げます。(了)