渡辺武達教授グループの“被害告発”メール捏造を論証
浅野教授側、東京地裁渡辺裁判第6回期日で
浅野健一同志社大学教授が昨年9月2日、週刊文春による人権侵害記事の“キーパーソン”である渡辺武達教授を相手取り、3850万円の損害賠償を求め東京地裁民事第7部(堀内明裁判長)に起した裁判で、第6回の弁論準備手続きが9月17日(金)午前11時から、同部準備室で行われました。今回も、第5回期日に引き続き、電話会議システムによる準備手続でした。
裁判官は、堀内明裁判長と岩田真吾判事補が出席しました。原告側からは、原告本人である浅野教授と代理人の弘中惇一郎、小原健司、山縣敦彦各弁護士が出席する一方、被告側は、渡辺教授の代理人である池上哲朗弁護士が、電話で参加しました。また、浅野教授の支援者3名が傍聴しました。
まず、原告側が9月10日付けで裁判所に提出していた「準備書面(5)」(18頁)を陳述し、証拠(甲26~甲38)および証拠説明書を提出しました。今回の準備書面では、堀内裁判長の前回期日における要請にこたえ、被告(渡辺教授)による証拠の捏造・改竄に関する具体的な事例を出して、補充して主張しました。渡辺教授が、敵対意識を抱いていた浅野教授に対して、虚偽の“ハラスメント”事実をでっちあげて浅野教授を攻撃したことや、渡辺教授が元院生・三井愛子氏(現同志社大学嘱託講師)らと「渡辺グループ」を形成した上で、「渡辺グループ」の人間を利用して、浅野教授を攻撃したことなどを具体的かつ詳細な書証をもとに展開したのです。
特に、文春記事でインパクトが強かった「C子」「E子」「H氏」の部分について、文春裁判の確定判決が渡辺グループの仕業と認定している4点に絞り証拠の捏造・改竄を取り上げ、“被害者”が送信したとされる電子メールのプリントアウトを含め、すべてが渡辺教授および渡辺グループのでっちあげ攻撃であることを具体的根拠を挙げ立証しています。以下、関係部分を抜粋します。
《三井氏から「相談を受けた」野原仁氏(元院生、岐阜大学准教授)が作成した新聞学専攻教員各位宛ての「要望書」及び同人の陳述書だけであり、その他の証拠は一切顕れていない。野原氏作成の要望書は、被告による詳細な指示に基づき作成されたものであることを此処に指摘しておかねばならない。被告は、野原氏に対し、「新聞学専攻各位」宛てに、原告の“ハラスメント”を問題として取り上げることを要望するよう、被告自ら作成したモデル文案まで提示し、電子メールで詳細に指示していた》
《(C子から被告、C子の友人、三井氏らに送信されたメールはすべて)メールソフトで受信した電子メールをそのままプリントアウトしたものではなく、Wordなどの文書作成ソフトを使ってゼロから作成されたものである疑いが強い。
転送メールの冒頭にC子から被告に宛てた何らかの文章があって然るべきであるところ、メールにはそれが全く見られず、唐突に転送された文章から始まっている。また、転送であることを示すヘッダー(差出人・名宛人のメールアドレス、メールの送信日時、件名などが記載されるもの)や引用を示す「>」といった記号も全く見られない。
メールの本文では、「○○へ」などの形で、上記男友達の名前と思われる箇所が伏せられている。さらには、「◎◎」となっている箇所や、はたまた名前が黒塗りにされている箇所も見られる。また、「略―――――」などとして、文章が省略されている箇所も存在する》
《当該メールについて、文春裁判における三井氏の証言によれば、被告ゼミの沖縄合宿の際、三井氏は、被告から「メールそのものではなく、ワードファイルに移されたものを」見せられたとのことである。このときの状況について三井氏は、「先生がパソコンを持ってこられまして、三井氏さん、非常にここに重要な文書があるから、部屋に一度持って帰って読んでくださいと。そのかわり読んだことは外に言わないでくださいというふうに注意をされまして、パソコンの画面ごとワードファイルを開かれたもので見せていただいた」と証言している。
しかし、被告が言うように当該メールが非常に重要な文書であるならば、ワードファイルに移したものなどではなく、被告の元に届いたメールそのものを見せなければ意味がない。
さらに言えば、C子のプライバシーに配慮するのであれば、そもそも宿泊先のホテル内においてパソコンごと三井に貸し出してしまうこと、つまりパソコンを同人の部屋に一旦一人で持ち帰らせてしまうこと自体、きわめて不自然な行動である。そのような方法をとるのではなく、くれぐれも他人に見せないよう注意した上で、メールをプリントアウトしたものを示すなり、電子メールにより転送するなり、あるいは被告がどこか別の場所に同伴して移動しその場でだけパソコン画面を示したりなどした方がよっぽど自然な行動であると言える》
《これらのメールにおいても、被告が日常的に使用している特異な文体・表現が見られるなど、被告が文案を起案したものであることが強く疑われる》
《三井氏は、E子から「浅野教授のセクハラについて」と題する文書の電子データが入ったフロッピーディスクを受け取ったと証言している。
当該文書を実際にE子が作成したのであれば、署名ないし記名をすることによりE子本人が作成したものであることを示すのが当然であると思われるところ、当該文書には、E子の署名はおろか記名すら見当たらず、きわめて不自然である。
決定的な証拠になると思われるメールが法廷において全く顕出されていない》
次に、被告・渡辺教授側は「被告第5準備書面」を陳述しました。
原告・被告の書面提出・陳述を受けて、裁判所は、「渡辺教授が送信した電子メールは原告にとって名誉毀損があったと主張するのか、プライバシー侵害があったと主張するのか、それともその両方なのか、明らかにしてほしい」と原告側に求めました。また、原告の主張について、法的位置付けを明確にしてほしいとしたうえで、被告が行った不法行為について、より詳細な説明を求めました。次回は、原告側は、裁判所の指摘した部分を中心により詳細な陳述を行う予定です。
次回第7回期日は、11月9日(火)午後3時から、東京地裁民事7部準備室(13階)において行われます。弁論準備期日ですが、被告代理人の池上弁護士も都合がついたため東京地裁に出頭する予定で、電話会議ではありません。
支援者の皆様におかれましては、お時間がございましたら、是非傍聴をよろしくお願いいたします。