浅野健一教授、再び同志社大学で学生らの前に立つ 自主ゼミ「ジャーナリズム講座」を2回開催 熱心な学生たち
浅野健一・同志社大学大学院教授(大学院社会学研究科メディア学専攻博士後期課程、京都地裁で教授地位確認係争中)が6月17日午後5時より、同志社大学今出川キャンパス(京都市上京区)で同志社大学や他大学の学生らに対し、2時間半、自主ゼミ「浅野教授ジャーナリズム講座」を開きました。また、第2回講座は、7月9日午後6時半より約2時間、同キャンパスで行われました。(事情があり、ネットでは、開催場所の詳細を公表できません。講座の開催場所を知りたい方は当講座の幹事にまでご連絡ください。)
浅野教授の完全復帰を求める同志社大学学生と元学生によって企画された自主講座は「浅野教授ジャーナリズム講座」と命名され、第1回講座のタイトルは「今の日本のジャーナリズムは… 若い人たちに言いたいこと」でした。
1回目の参加者は、当講座の企画者2名を含めて9名。同志社大学学生を中心に、龍谷大学、大谷大学や京都大学大学院の学生も講座に参加しました。同志社大学のある参加学生(4回生)は「自分は記者志望だから、浅野先生の授業が聞きたかった」と語りました。また、当講座を企画した同志社大学元学生は「浅野先生はやはりオーラがある。並の教授たちと比べ、授業がまったくすごい」と話していました。浅野教授は2014年3月末に同志社大学から「定年退職」という名の元で追放され、裁判中ですが、今回のように学生らが自ら浅野教授の講座を企画し、それに参加する学生がいるという事自体、浅野教授を必要とする学生がいることの証拠でしょう。
浅野教授は講座で、「今の日本は政治、経済的に危機的状況だからこそ、人民の知る権利にこたえるジャーナリズムの存在意義が大きくなっている」と話しました。「1992年に自衛隊のPKO・海外派兵を可能にする法律ができ、カンボジア派兵が始まったり、1999年に有事法ができたりと状況は深刻化していった。しかし、なによりも民主党政権後の第二次安倍晋三自公内閣ができてからはますます危なくなった。安倍内閣の19人うち16人は神社本庁系の『日本会議』のメンバーで、極右靖国反動ファッショ内閣だ。このような時代にこそ、ジャーナリストの役割が重要だ」。
浅野教授は、海外においてジャーナリストが一つの「職業」=プロフェッショナルとして社会的に認知されていることを強調しました。「ジャーナリスト・ユニオン」と呼ばれるジャーナリストの労働組合と職能団体のジャーナリスト協会があること、ジャーナリスト労働組合と協会が国家介入を受けずに独自にジャーナリスト資格試験を行っていること、法律でジャーナリストとして社会保険を受けられることが定められていることなどについて言及し、ジャーナリスト=社員記者が前提の日本とはジャーナリストの社会的立場が大きく異なることを主張しました。
浅野教授はまた、ジャーナリストの最も重要な役目は「権力の監視」であると強調、「日本では、刑法に違反したとされる『悪いやつを懲らしめる』こと、犯罪者に制裁を加えることがメディアの役割だと言う人がいるが、それは違う。司法権力、捜査当局とジャーナリズムは仕事が違う。99パーセントは権力の監視=watch dogでなければならない。権力、当局者に対してskeptical=懐疑的でなければならない」と訴えました。このほか、ジャーナリストの使命として「自分が伝えなければ」という思いで人民が知るべき情報を伝えること、単に社会問題を報道するだけではなくそれの解決の道筋を示すこと、そして少数派=マイノリティーの「声なき声」の代弁者となること、などを挙げました。
講座終了後、浅野ゼミ(1994年~2004年)がよく使っていた堀川今出川のスパニッシュイタリアンの店で、講座参加者による懇親会が開かれました。
第2回講座は受講生の要望で、「憲法改悪とメディア」をテーマに7月9日に開かれました。6月25日の改憲派自民党議員の勉強会での作家百田直樹氏(同大中退)の「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」という発言と自民党議員の妄言の数々が大きくメディアで取り上げられた直後の自主ゼミ開催でした。浅野教授は「自民勉強会でのメディア攻撃は『言論の自由』の行使などではなく、日本国憲法第21条に違反する権力による言論統制、検閲である」とし、「政権党の幹部がメディアの在り方について『主張』すること自体が、自由な言論を抑圧することにつながる」と鋭く批判しました。また、忘れてはならないこととしてこの事件の背景には民衆の側に「メディア不信」があるとも指摘。「犯罪報道などで、権力を監視するべきメディアが、権力の一部となって、社会的弱者、少数者を抑圧している現実がある。メディアが市民と連帯して権力を監視する仕組みが必要だ」と提起しました。
また、「憲法改悪」(壊憲)については、「憲法改悪阻止は、現在の最重要課題」とし、「朝鮮民主主義人民共和国への先制攻撃も辞さずという危険な世論ができつつある中で、今後どうすべきかを真剣に考える時」と参加学生に訴えました。そして、「護憲=非武装中立、徹底した非戦平和主義こそもっとも現実的な選択である」と憲法を擁護する立場を改めて表明。勝負所は来夏の参院選。私たちは「非戦・平和主義」を叫び続けることが求められると強調しました。
第3回講座「9.11とメディア」および「8.15-朝鮮解放70周年と日本敗戦70周年・平壌はいま・・・」は9月9日(水)午後6時の予定です。場所などは、参加希望者に決まり次第、お知らせします。終了後、有志で懇親会の予定です。メディアへの就職を希望される方やNGOなどで国際的に活躍したい学生、社会問題に関心がある方をはじめ、学生・社会人問わずふるってご参加ください。
なお、第1回『浅野教授ジャーナリズム講座』の内容については録音したデータがありますので、希望される方は講座の企画者に連絡をいただければデータを差し上げます。当講座について質問のある方は以下の幹事までご連絡ください。
自主ゼミについて質問のある方は以下の連絡先へお願いします。
吉川幸祐(よしかわ・こうすけ、元同志社大学学生)