霍見芳浩教授と河野義行さんが八田学長らに再び要望書を提出
間もなく8年を迎える捏造事案で
霍見芳浩(つるみ・よしひろ)ニューヨーク市立大学経営大学院教授が2011年7月7日、同志社大学を訪れ、八田英二大学長らに、浅野健一教授が7年10カ月前に“被申立人”とされた事案について、結論を出すよう求めた申入書を提出した。
また、7月14日には、松本サリン事件被害者で元長野県公安委員を務めた河野義行さんも八田学長宛に、浅野教授の潔白を示す結論を出し、名誉を回復する措置をとるよう要望した。
両氏の文書は庶務課長が面談の上受け取り、学長らに届けられた。
浅野教授の同僚である渡辺武達教授グループ(文春の確定判決では2004年設立)が、自分の指導する院生(男女)が浅野教授からハラスメントを受けたという“やらせメール”や捏造・改竄文書を創作して大学の「キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会」(旧セクハラ委員会、以下CH委)に出したのが2003年9月。浅野教授が週刊文春などを訴えた裁判を理由にCH委員会は審理を中断していたが、2009年3月16日に最高裁で浅野教授の全面勝利が確定し、CH委員会は3月末に審理を再開すると表明していた。ところが、委員会は何の調査もせず、結論も出していない。大学当局と委員会に説明責任がある。
霍見芳浩(つるみ・よしひろ)NY市立大学経営大学院教授が、学長とCH委へ申し入れ
霍見教授は2011年7月7日午後、今出川校地新町キャンパスで、八田学長、石川健次郎CH委員会委員長宛の要望書を、学長代理の柳井望(やない・のぞむ)庶務課長に手渡した。
霍見教授は柳井課長との面談で、浅野教授がCH委の“被申立人”として7年半余りも放置されている現状について、「あり得ない人権侵害が今も続いている。文春裁判で浅野教授の潔白が証明されたのに、CH委員会は何の調査もせず、結論を先延ばししている。CH委員会が全く機能していないのではないか。浅野教授の冤罪を晴らし、大学として早く公正な結論を出してほしい」と口頭で要請した。
柳井課長は「八田学長は会議があってお会いできない。大学長に本文書を渡し、先生のメッセージも伝える」と述べた。
柳井課長から、「7日夕、霍見芳浩教授から石川健次郎教授宛の封書は、倫理審査室・志子事務長にお渡ししました」とのメールが浅野教授に届いた。
霍見教授が学長らに要望書を手渡すのは、2009年7月3日、2010年7月8日に続いて3回目。霍見教授は国際経営学者として世界的に著名で、ハーバード大学大学院教授の時、ブッシュ前米大統領を教えたこともある。
霍見教授は2010年7月8日の申し入れで既に「私の大学も含めて、米国の大学でも似た様な事が生じる場合がありますが、学外の司法判定のプロセスとは別に学内のCH委が迅速に独自の調査で申立人と被申立人の間のクロシロの判定を下します。まして、今回の同志社大のように、申立人がCH委に無断で「浅野教授が学内CH委の被申立人になっている」という本来守秘さるべき事実を脚色して学外にリークし、この「事実」を浅野教授のクロの証しとして世間に喧伝した場合は、学外の司法の判定とは無関係に、大学は申立人が大学教師としての公正と品格を欠くとして、最低でも譴責処分にします」と、民主的な大学では通常とされるプロセスを指摘しており、同志社大学に強く改善を求めたが、約1年たった現在でも、CH委は“だんまり”を決め込んで浅野教授の人権を強く侵害し続けている。今回も、霍見教授は「御大学はなぜか当初より、理由もなく問題の同僚教授と週刊文春の肩を持って来ているとの印象を与えており、大学の内外のイメージを著しく傷つけている」と強く警告した。
霍見教授は同日、同志社大学大学院メディア学研究会主催の公開講演会と浅野ゼミのゲスト講義に参加するため、同志社大学に来校していた。霍見教授の要望書全文は以下のとおり。
[ 平成23年7月7日
同志社大学学長
八田英二先生
謹啓
今回も、ゲスト講師として同志社大学に参りました。しかし、既に御大学、引いては日本の大学と日本の世界での名誉回復の為に解決済みと思っていた事が放置されていると知り驚き且つ呆れております。
これまでも、不躾を省みず、八田学長にお願い致しましたが、問題の同僚教授と週刊文春による浅野健一教授に対する不当なセクハラとアカハラ冤罪について御大学は公正な規定を7年余りも放置なさっておられます。しかも、浅野教授が自身の潔白を証明する為に、問題の同僚教授と週刊文春を相手に地裁、高裁、そして最高裁で明白な勝訴を得た後も、御大学は浅野教授の潔白を追認していません。不可解としか形容するほかありません。御大学はなぜか当初より、理由もなく問題の同僚教授と週刊文春の肩を持って来ているとの印象を与えており、大学の内外のイメージを著しく傷つけております。
一日も早く、浅野教授の冤罪をお晴らしいただき、同志社大学の公正さを内外にお示しいただけませんでしょうか。キャンパス・ハラスメント防止にはこれに優るものはありません。
敬白
ニューヨーク市立大学教授
霍見 芳浩
cc.キャンパスハラスメント防止に関する
委員会、石川健次郎委員長殿 ]
河野義行さんが学長に要望書を提出
複合領域科目「マスメディアの現場」のゲストスピーカーとして同志社大学を訪れた河野義行さんが7月14日午後、新町キャンパスで、八田英二大学長宛の要望書を柳井庶務課長に手渡した。
河野さんは柳井課長に「今年も貴大学で講義をさせていただいた。2年前にも要請したが、浅野教授の事案が今も委員会にかかったまま、中ぶらりんになっていると知って驚いた。でっちあげの“申立”からまもなく8年になろうとしている。文春裁判で浅野教授は全面勝訴し、潔白が証明されたのに、結論を出さないということは、捏造をした側に立っていると疑われても仕方がないのではないか。伝統ある貴大学の名誉を汚すことではないか。こういうことを言うのは極めて失礼なことは分かっているが、CH委員会の存在価値が問われている」と訴えた。
柳井課長は「先生の言われたことを八田学長へきちんと伝える」と約束した。以下は要望書の全文である。
[
要 望 書
同志社大学学長 八田英二殿
昨日、同志社大学今出川校舎にて、「マスメディアの現場」のゲストスピーカーとして、二年ぶりに貴校にお邪魔いたしました。
2009年7月1日付文書(要望書)を八田学長殿に提出し、「同志社大学キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会」に、長期間、“被申立人”のまま放置されている社会学部メディア学科・浅野健一教授に対して、申し立て審議を促し、審議結論を速やかに決定するよう、委員会をご指導することをお願いいたしました。
そんな中、2年間を経過した現在も、審議結論が出されないまま放置されていることを知らされました。委員会が本当に機能しているならば、ありえない状況だと思います。浅野健一教授のセクハラ・アカハラ疑惑は週刊文春らの裁判において、明白な判決が出されているにも関わらず、委員会が審議結論を出さずにいることは、他意があるのではないのかとすら考えてしまいます。また、8年近くも結論が出せない相当な理由があるのならば、その旨を浅野教授に説明する責任があると私は思います。
学長の権限を行使して、「同志社大学キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会」が、正常に機能するようご指導いただきたく、再度要望書を提出させていただきました。
参考として、前回提出した要望書を末尾に添付いたします。
2011年7月14日
河野義行(サイン)
要 望 書
同志社大学長 八田英二様
私は松本サリン事件の被害者で、事件直後から警察とメディアによって犯人扱いされた経験がある河野義行と申します。世間が私を敵視していたころの1994年9月14日、貴大学の浅野健一社会学部教授が私の自宅を訪問し、事情聴取され、翌日の市民集会にて、捜査当局と報道機関の問題点を指摘されました。また、私が初めて講演したのが同志社大学の浅野ゼミ主催のシンポジウム(1995年11月17日)です。
それ以来、私は浅野教授と共に、メディアと司法の改革を求めて講演活動などを一緒に行ってきました。
私の尊敬する浅野教授が2004年1月(実質的には2003年9月)から、「キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会」(以下、CH委とする、04年当時は「セクシュアル・ハラスメント防止に関する委員会」)での被申立人のままになっていることを聞き、非常に憂慮しています。
私はサリン事件発生から約1年間、社会から事件の被疑者として扱われました。自分にとってこの1年間はとてつもなく長く、屈辱的なものでした。ましてや、浅野教授のように5、6年もの間、審議を中断され、被疑者として放置されることは、社会通念上許されることではありません。浅野教授の支援者として、下記のように要望いたします。
記
1. 浅野教授は実質6年近くも“セクハラ疑惑”の「被申立人」として放置されており、社会通念から見ても、これは重大な人権侵害であります。CH委に対して、申立人らの秘密保持規定違反などによる申し立ての審議結論を速やかに決定するように指導してください。
私は、CH委が申立人らの申立ての却下=調査の打ち切りが相当と考えます。
2. CH委に対して、大学の内規に基づいて、「法の適正手続き」(due process of law)に厳格に従って結論を出すように指導してください。
3. CH委は、浅野教授の文春裁判(文春相手の民事訴訟)の進捗如何に関係なく、大学独自の判断に基づいて速やかに審議し結論を出すよう指導してください。何故ならば、CH委は申立人の申立て内容について独自に調査し、規則と証拠にもとづいて審議すべきことであり、文春を被告としている浅野教授の名誉毀損メディア訴訟とは本来別の事案と考えます。CH委のような独立性を持った大学機関の結論が、民事裁判の結果に左右されることは大学の自治を侵す問題であると考えるからです。特に、同志社大学は教育目標として「自治自立の精神」を挙げており、CH委の独立性・独自性を保てなくなることは、同志社大学の教育目標にも反するからです。
4. 申立内容を週刊文春記者に情報提供をしていた申立人らの行為は大学教職員による守秘義務違反・プライバシー漏洩に当たるのではないのでしょうか。浅野教授の文春裁判控訴審判決は《(渡辺教授が)文春らの取材に協力することは、本件大学の信用を傷つける行為となるが、本件大学のセクハラ委員会が再調査を始めたという状況にありながら、文春への情報提供をしたのは、本件大学への不信感と原告への強い敵対意識を窺がわせる》と認定しています。本件における申立人ら(渡辺教授を含む)の行為について、厳正に調査し適切な対応をとるように、CH委に助言指導を行ってください。
以上
2009年7月1日
河野義行 ㊞ ]