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『救援』2010年6月号
浅野教授の文春裁判勝訴が三月一六日に最高裁で確定したのを受け、浅野支援会主催の「勝訴を祝う会」が五月一三日夜、同志社大学寒梅館七階のレストランで開かれた。会には、浅野教授代理人の若松芳也・小原健司両弁護士を始め、山田悦子さん(甲山事件)、布川事件で再審開始が決まった桜井昌司さんと杉山卓男さんら、冤罪・報道被害者をはじめ、浅野教授の裁判を支援してきた研究者、ジャーナリスト、学部・院のゼミ学生、OBGなど四五人が出席した。
会の冒頭、若松弁護士は、「浅野さんは大変だった。勝訴を心からお祝いをしたい。本当におめでとうございます」と涙を流しながらあいさつ。支援会呼びかけ人でもある山田悦子さんは、「浅野さんから相談を受けたとき、司法の場で、法の精神が生かされるところで闘う必要があるとアドバイスした。今起きている事件を紹介し、現代の問題として提示する。それが浅野先生のチャームポイント」と話した。呉成元さん(仏教大学講師)は「何年か前に『浅野教授を励ます会』に参加したが、河野義行さんらを始め、全国から支援者が集まった。この人は間違いない人だと思った」と語った。
同志社大講師の次田哲治さんは、「同志社OBとして、新島精神=良心が残っているのは浅野ゼミだけだと思う」とコメント、浅野ゼミOBGの一人は「文春裁判でメディアの怖さを再認識した。現役ゼミ生もある意味でいい勉強をしたのではないか。後輩に引き継いでいってほしい」と話した。
会に参加できなかった人たちからも、次のようなメッセージが届いた。「四年余りにわたった浅野健一氏のメディアとの闘いはこの勝訴によって一気に報われたことでしょう」(三田佳子さん)、「文春の件、驚きました。私も週刊誌の連中に勝ちましたよ」(野村沙知代さん)、「幅広いそして強烈な支持者があなたを取り囲んでいたのは、まさに壮観でした」(奥平康弘・東大名誉教授)、「当然の結果ですが、よかったと思います。支援会通信を編集した人など多くの支援者がいたことが勝利につながったと思います」(野田正彰・関西学院大学教授)、「困難を乗り越えて、貴重な勝利を克ち取られたことは、日本の報道、基本的人権を基礎とする民主主義に対する大きな貢献だと思います」(賀川真さん)。浅野ゼミOBGや現役生からも、花や勝訴確定を祝うメッセージが数多く届けられた。
浅野教授は「さわやかでなごやかで温かいすばらしい会になった。この会が学内の法科大学院のある寒梅館で開かれたことにも意味がある。苦闘した四年余のことが次々と思い出され、感慨深い。権力は、浅野ゼミを潰したかったのではないか。文春記事が出たのは、自公政権の朝鮮叩きがピークに達し、自衛隊イラク派兵の時期でもあった。そんな時期に、左から右からまで野合して、浅野をやっつけようと画策した。それを浅野ゼミのことを大事に思っていた人が跳ね返してくれた。大学内での委員会の審理はいまも続いているので、引き続き支援してほしい」と謝辞を述べた。
東京地裁民事七部で行われている渡辺裁判の第四回期日は六月八日午後二時から、電話会議システムで行われる。浅野教授側は六月一日、「被告による情報提供と文春記事の公表との間に〝相当因果関係〟が認められる」などと主張した準備書面(第四次)を提出した。
また、浅野教授の代理人は五月二五日、石川健次郎・同大キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会委員長へ、「渡辺教授らが文春裁判で委員会関係の文書(石川委員長からの・申立人・宛手紙を含む)を多数出していることについて、どのように考えているか」「浅野教授は、現在に至るも、“申立人”らの申立の正確な内容を知らされていないが、現時点においても、同内容を開示する意思はないか」「委員会が本件についての争点又は問題点として認識しているのは何か。今一度、確実な争点を整理するために当職らと貴職との会合を持ちたいがいかがか」などを聞いた文書を送った。 (三津奈悟)