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『救援』 2009年 7月号

 浅野健一・同志社大学教授が「週刊文春」〇五年十一月二十四日号記事を名誉毀損で訴えた損害賠償訴訟で、大阪高裁は五月十五日、文春側に五百五十万円の支払いを命じ、文春記事は「違法」だという判決を言い渡した。文春側は五月二十日、高裁判決を不服として最高裁に上告した。また、原告側も五月二十七日、謝罪広告の掲載命令を求めて上告した。最高裁では虚偽の「セクハラ」記述に関する事実認定が変更される可能性はほとんどなく、浅野教授の全面勝利は確定的だ。
 二審勝訴の朗報を受けて、多くのメッセージが浅野支援会に寄せられた。
 《浅野裁判の勝利は、喜ばしいと同時に、裁判員裁判の開始を目前に控え、社会精神として必要不可欠なジャーナリズム精神を私たち自身が社会に育てていかなければならないことを、改めて提起するものであると感じています》(甲山事件冤罪被害者の山田悦子さん)《正義が勝利するのは当然ですが、現実は難しいですから今回の判決「五〇〇万円を超えた金額」は歴史的なものだと思います。》(仙波敏郎・元愛媛県警巡査部長)《文春と渡辺教授に対する全面勝利を心からお祝いします。もしこのようなことがアメリカの大学で起きた場合、渡辺教授はクビでしょう》(霍見芳浩・ニューヨーク市立大学経営大学院教授、原文は英語)《「週刊誌のいい加減な記事に釘をさす」広がりをも考えれば、この勝利は〈浅野先生の件〉を超えたものになりました》(矢谷暢一郎・米NY州立大アルフレッド校教授、元・同大学友会委員長)。
 浅野教授は判決後、同教授を被申立人とする「ハラスメント」事案を審理している同大キャンパス・ハラスメント防止に関する委員会(石川健次郎委員長、旧称セクハラ委員会)に対し、「六年近くも私を・セクハラ疑惑・教授にしているのは人権侵害」として、結論をすぐに出すよう求めた。同時に、「渡辺グループ」が学内文書を大量に文春に提供したのは秘密保持違反であるとして調査を要求した。
 これに対し、石川委員長は六月十二日、双方の上告を理由に「引き続き裁判の推移を見守りたい」と表明した。また、同大倫理審査室の岡本博公室長も五月二十八日、「最高裁の判断後に再調査について検討する」と回答した。
 高裁判決は、「(渡辺教授が)文春らの取材に協力することは、同大の信用を傷つける行為となるが、同大のセクハラ委員会が再調査を始めたという状況にありながら、文春への情報提供をしたのは、本件大学への不信感と原告への強い敵対意識を窺がわせる」と述べた。判決は、原告を除くメディア学科専任教員の姓名も3回判決文に出し、学科教員たちが原告に「強い敵対意識」を持つ渡辺氏と連名で、原告、セクハラ委員会、学長に要請文を出した問題にもふれた。
 同大は最近、学生の大麻所持事件などで、「大学の名誉を傷つけた」ことを理由に退学などの厳しい処分を下している。まだ渡辺教授グループに処分はない。
(三津奈悟)
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