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『救援』 2009年 5月号

 浅野健一・同志社大学教授が「週刊文春」記事を名誉毀損で訴えた損害賠償訴訟の控訴審判決が、五月十五日午後一時十五分から大阪高裁別館七二号法廷(松本哲泓裁判長)で言い渡される。判決後に原告・被告のどちらかが最高裁に上告すると思われるが、最高裁では実質的審理が行われる可能性は低い。このため、控訴審判決が本裁判の最大のヤマとなり、高裁の判断が非常に注目される。
控訴審で争われた点
 一審・京都地裁判決は大筋で原告・浅野教授の主張を認めるもので、敗訴した被告・文春は控訴したが、原告側としても一部不満な点があるため控訴していた。控訴審では、原告・浅野教授は一審判決を次のように評価しつつ、一部の見直しを求めた。
 第一に、一審判決が、 A子へのセクハラの記載 C子へのセクハラの記載 H氏のアシスタント報酬のピンハネの記載 同志社大学セクハラ委員会の認定・判断事項の記載の四点について、真実性も真実相当性も認めなかった点を妥当とし、控訴審でも維持するよう求めた。また、渡辺武達・同志社大教授による書証改ざんの可能性・痕跡を認定し、原告に対する敵意にまで言及したことを高く評価した。
 第二に、一審判決が、 Dへのアカハラの記載 E子へのセクハラの記載の二点について真実性を認めたことを極めて不当とし、この部分の取り消しを求めた。
 第三に、損害賠償額が低すぎると指摘、謝罪広告を認めなかった点を批判し、判決を見直すよう求めた。
 控訴審の審理では、被告・文春側は立証努力をほとんど放棄した。証人の津田正夫・立命館大教授の証言は、「支離滅裂な偽証」の印象を残した。裁判所の職権で開かれた和解協議では、原告側が裁判所の和解提案を真摯に検討したのに対し、被告側は提案を一切「蹴った」。
続く報道被害
 文春記事による被害は今も続いている。記事が真実という前提で、ネット上で浅野教授を非難する書き込みが削除されておらず、浅野教授の学外での講演などの社会活動が非常に難しくなっている。放送のあり方について考える市民団体の運営委員が浅野教授を「裁判員制度と犯罪報道」をテーマにした例会の講師に招くことを提案したところ、他の運営委員が「津田ゼミの学生にセクハラをした人だ」などと強く反対して実現しなかったという。
 文春記事が掲載されたのは、安倍政権が誕生して二カ月後のことだった。極右反動勢力が学内の「反浅野派」メディア用心棒教授を動員して文春にでっち上げ記事を載せ、浅野教授の講演・執筆活動を妨害したのではなかろうか。この裁判では「メディア御用学者の犯罪」も裁かれることになる。
 判決当日は、午後一時半過ぎから大阪の司法記者クラブで、午後四時十分から京都の司法記者クラブで、浅野教授と代理人による記者会見が行われる。また、午後六時から京都弁護士会館三階大会議室で浅野教授の支援者らによる控訴審判決報告集会が開かれる。多くの支援者の出席をお願いしたい。    
(三津奈悟)
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