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『救援』 2008年10月号

 浅野健一同志社大学教授が「週刊文春」記事を名誉毀損で訴えた損害賠償訴訟の控訴審第二回口頭弁論が九月九日、大阪高裁別館七二号法廷で開かれた。
 今回から交代した松本哲泓裁判長は都合で欠席し、白石研二・右陪席が代理。原告側が九月一日に提出した準備書面、新たに申請した証拠などを確認した。次回・第三回口頭弁論は十月三十日(木)午後四時から同七二号法廷で開かれる。
 原告側はこの日、被告側が期限を大幅にオーバーして出した控訴理由書に反論する準備書面、新たに四人の証人尋問を求めることを記した証拠申出書、原告陳述書、山田悦子さんの上申書(中谷聡氏と浅野教授の「紛争」に関して)、大住良太さんの陳述書(一審判決後も続くネット上の報道被害)などについて説明した。
 原告側が証人申請したのは、@山田悦子さんA津田正夫・立命館大学教授B鈴木直人・同志社大学セクハラ委員会元委員長C生田勝義・立命館大学セクハラ委員会元委員長の四人。いずれも一審判決の一部誤った認定を正すための証人だ。
 一方、被告・文春側は何も証拠を提出しなかった。被告側は第一回弁論に、記事が「セクハラ被害にあった」と書いた「C子さん」の大学院同期・S氏の陳述書(住所・職業の記述なし)を出しているが、S氏の証人申請もしていない。
 S氏は文春捏造記事の黒幕・渡辺武達教授の門下生。陳述書では「セクハラを訴えた」という「C子さんからのメール」について述べているが、その「メール」コピーも添付されず、単なる「作文」の域を出ない。
一審で敗訴し、控訴した被告側が、控訴審に提出した唯一の陳述書の証人尋問さえ求めないというのは極めて異例だ。事実上、立証活動を放棄したに等しい。
 次回弁論では、原告側が申請した証人四人、同志社大学と立命館大学のセクハラ委員会に対する調査嘱託、原告尋問について、裁判所が採否の判断を示す。松本裁判長が原告側の証拠・証人申請にどのような判断を示すか、控訴審の展開を大きく左右する弁論期日になる。皆さんの傍聴をお願いします。

(三津奈悟)
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