渡辺武達教授が、「週刊新潮」〇五年七月一四日号記事「同志社大『創価学会シンパ』教授の教材は『AVビデオ』」で名誉を毀損されたとして、新潮社と新潮編集長、Y記者の計三者を相手取り、損害賠償請求を起こした裁判の控訴審判決が三月二七日、大阪高裁(大和陽一郎裁判長)で言い渡された。大和裁判長は、新潮らに三三〇万円の支払を命じた一審の京都地裁判決を破棄し、渡辺教授の請求をすべて却下した。
渡辺教授は新潮に情報を売り込んだのは同僚の浅野健一教授と妄想して、その復讐として文春に同教授の「学内セクハラ」情報を垂れ込んでおり、新潮AV裁判は文春裁判と関係がある。
判決は「記事の重要な部分は真実というべきで、公益目的もある」と認定、〇七年三月の一審判決を取り消した。
判決は、渡辺教授が05年4月27日、今出川校地明徳館21番教室で上映した日本ビデオ倫理協会の広報ビデオに、騎乗位を含む体位の異なる九つの性交シーンが連続して約20秒間含まれていたことを認定。別の講義で、「女性器から赤ん坊が出てくる外国女性の出産シーンを上映したこと」も認めた。
「ワイド 君たちに明日はない」と題した特集のトップで、「とんでもない講義をしている教授」「異様な授業」などとした表現も「事実に基づく論評と認められ、名誉棄損に当たらない」と判断した。
渡辺教授は「事実認定を誤り、講義の社会的効果を考えない短絡的な判決だ。到底承服できず、即刻上告したい」とコメントした。
渡辺教授は判決言い渡しの瞬間、がっくりして、茫然自失の状態だった。閉廷後、弁護士と今後の対応について深刻に話し合っていた。
原告全面敗訴について、主要新聞(産経新聞大阪だけは渡辺教授を仮名扱い)は判決を報じたが、テレビは全く伝えていない。一審の原告勝訴の際は、毎日放送などが大々的にオンエアしていた。
渡辺教授は一審勝訴の際、記者会見を行い、「同志社にこの(AV上映)問題を新潮社につないだ教員がいる。先ほどもその教員が来ていた」などと浅野教授を不当に非難していた。今回、渡辺教授は高裁判決後の記者会見を開かなかった。
渡辺教授は高裁「和解」協議について沈黙してきたが、判決当日の午前九時半、渡辺ゼミ掲示板に、「関係者の皆様へ」とし「判決前のお知らせ」をアップした。この文章は三月二六日付で和解の経過を初めて明らかにした。
その上で、「追記」として、《『週刊新潮』記事はほぼ間違いなく、同志社大学の某男性教授がニセ学生などを使い、週刊誌にデマ情報を垂れ込んだものであり、その件はまた別に処理することになります》と書いた。「某男性教授」とか「ニセ学生」などと書くのは、非正常というしかない。渡辺教授は判決について何も書き込んでいない。
一、二審判決は共に、新潮に情報提供したのは「(新潮の)大門宏樹デスクの知人である同志社大学OB(A氏)」と認定した。浅野教授は大門氏と面識はなく、慶大卒だ。虚偽の情報を流し続ける渡辺教授は今後、教授職を続けることができるのであろうか。
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