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『救援」第454号 2007年2月10日発行 |
浅野教授文春裁判
学内セクハラ委で事実上潔白の認定
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浅野健一・同志社大学社会学部メディア学科教授の文春裁判に重要な影響を与える「セクシュアル・ハラスメント防止に関する委員会」(以下、セクハラ委)が事実上「シロ」の認定を昨年行っていたことが複数の大学幹部の話でこのほど分かった。
同大関係者によると、大学のトップの一人は一月中旬、「浅野先生のセクハラ委の件で、結論は学長への報告なしで終わっているはずだ。学長へは(浅野先生が)クロと認定したというような報告は全く来ていないし、これからも来ないはずだ」と浅野教授へ直接言明したという。浅野教授と同じ学部の最長老教授も「セクハラはなかったという判断だ。もうこの件は終わっている。裁判になっているので、委員会の結論を外に出さないようだ」と教授に述べたという。
問題になった週刊文春記事は、セクハラ委が浅野教授のセクハラを認定したかのように記事や文書コピーで報じていた。セクハラ委によると、三井愛子・同志社大学嘱託講師(記事中の「A子さん」)と中谷聡・元同講師(記事中の「Dさん」)は大学院博士課程後期の院生だった〇四年一月、浅野教授にセクハラ、アカハラを受けたとして、申し立てていた。両人は浅野教授の同僚である渡辺武達教授と共謀して〇三年十月から、「浅野教授が複数の院生にセクハラで訴えられ、セクハラ委で審理されている」との情報を全国の報道機関、雑誌媒体に売り込んで、文春が〇五年十一月に報じた。
セクハラ委の判断
文春の石垣篤史らによる浅野教授への当たり取材≠ヘセクハラ委の初の事情聴取が行われる予定日(〇五年十一月九日)の前日夕だった。セクハラ委が浅野教授の聴取を終えて、「問題なし」と認定すると報道ができなくなるため、直接取材を強行し提訴されることを覚悟して記事にしたとみられている。
セクハラ委は〇五年末に浅野教授から二回聴取し、調査記録も委員会へ報告されている。三井・中谷両氏がセクハラ委に申し立ててから三年以上がたったのに、セクハラ委は被申立人に調査結果を報告していない。
渡辺教授は昨年十二月二十五日付で八田学長に対し、浅野教授についてのクロ≠フ結論を早急に出すよう強く要請する書簡を出している。申立人にも結果は伝わっていないのであろう。
浅野氏の代理人の堀和幸弁護士らは、セクハラ委の石川健次郎委員長(商学部教授)に、〇六年八月以降、セクハラ委が結論を出したかどうか、学長へ報告したかどうかなどについて四回にわたり質問・要望書を提出しているが、「現在、浅野健一氏と株式会社文藝春秋との間で訴訟が係属中であり、その訴訟の中心的な争点も、本件申立の事実の有無に関わるものであると考えられます」(同十二月六日)などと述べて、本裁判を理由に「静観」を決め込んでいる。代理人は二月五日、八田英二学長に善処を求める書簡を送った。
司法手続きではないので、不起訴とか却下という決定がないようだ。しかし、本件では、申立人と専任教員が共謀して、セクハラ委と申立人らとのやりとりの文書コピーを文春に渡し、被申立人の実名まで出し報じたという特別な事情がある。浅野教授は文春を被告にした損害賠償請求を行っているのであり、申立人やセクハラ委と係争しているわけではない。同大幹部の見解が正しいのであれば、セクハラ委は「シロ」と決まったことを公表すべきである。
渡辺教授が裏工作
また、渡辺教授の妄動も明らかになった。文春記事の仕掛け人である渡辺教授が、〇六月十二日二十九日付で、「人権と報道・連絡会」の山際永三・事務局長へ「一度会いたい」旨の添付資料付の文書を送っていたのである。渡辺教授は自分が「被害」に遭ったと主張する週刊新潮記事(大教室でアダルト・ビデオの性行為シーンを見せたと告発)の問題を同会で取り上げるように度々求めていた。山際氏は「会う必要性を認めない」として、渡辺教授の要請を拒否した。
人権と報道・連絡会が公表した文書によると、渡辺教授は「浅野教授により週刊新潮にデマを流された」などと断定し、ジャーナリストの山口正紀氏(浅野支援会事務局長)を「(浅野氏と)同列の卑しい人物」と中傷。また、「浅野健一氏が『週刊新潮』記者(文書には実名明記)に渡辺武達デマ情報を売り込んだ証拠」なる文書も添付されていた。
渡辺教授が山際氏に送った文書類の中には、前述の八田学長宛の浅野教授を誹謗中傷する文書などもあった。八田学長宛の書簡は、社会学部長(現・次期)、学科教員、関係者にも送ったと書いてあった。重大な名誉毀損行為だ。
渡辺教授は今も、週刊新潮にネタを売り込んだ≠フは浅野教授だと断言している。新潮側は渡辺教授の新潮裁判で出した書面で、渡辺教授が〇五年四月二十七日に大教室で男女のからみあいのシーンを見せたとの情報を新潮に提供したのは、「関西在住のジャーナリストで、同志社大学OB」であると主張している。渡辺教授側は新潮の主張に対して、一切の異議を唱えていない。渡辺教授本人の原告尋問でも、情報源については全く議論になっておらず、争いのない事実となっている。
にもかかわらず「慶応大学OBであり関東在住」の浅野教授を垂れ込み≠フ犯人と断定する渡辺教授の思い込みは、もはや理解できる範囲を超えている。
また文書には、「浅野教授は暴露雑誌、『紙の爆弾』(鹿砦社刊)の二〇〇六年五/六月合併号、十一月号および十二月号などを使い(中略)渡辺武達に対する誹謗中傷を繰り返しています」と書いてあるが、同社の松岡利康社長・中川志大編集長によると、「渡辺教授からは、抗議はおろかなんの連絡もない」という。
津田教授の暴走
渡辺教授からの文書には文春記事に登場する「F教授」こと津田正夫立命館大学教授が、浅野教授側が裁判の第四回期日(〇六年九月十三日)で出した原告準備書面に反論する文書(喜田村洋一・文春代理人宛)も全文が添付されていた。文書の中で、津田教授は、浅野教授を何度も「破廉恥」と痛罵し、浅野教授の代理人を「浅野教授の口車に乗って言いがかりをつけてくる」などと批判している。しかし、浅野教授が立命館学生にセクハラをした事実などそもそもない。津田教授は渡辺教授に代わって、浅野教授に関する情報を〇五年七月、なんと週刊新潮の代表アドレスに送信し、記事にするよう度々要請している。どちらが「破廉恥」なのか、津田教授は冷静に省みるべきだろう。
第七回期日は二月八日(木)、第八回期日は四月九日(月)から京都地裁で行われる。両期日とも午後四時からで、傍聴可能。裁判は五月以降、証人尋問になる。
問い合わせは、浅野支援会(メール:office@support-asano.net/FAX:075-231-5752「堀和幸法律事務所」)へ。
また、支援会HP(http://www.support-asano.net/)には、甲山事件の冤罪被害者・山田悦子さんから支援会に寄せられた浅野教授への激励のメッセージを掲載している。是非ご参照されたい。
(三津菜悟)
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お知らせ:
本HPの「関連資料・報道」にある救援453号の記事末尾に、《渡辺教授が「AV上映問題」で週刊新潮を訴えている損害賠償請求訴訟の判決が二月十六日午後一時一五分から、京都地裁で言い渡されることが決まった》とありますが、渡辺教授の週刊新潮裁判の判決日時は、「2月16日午後1時15分」から「3月16日午後1時10分」へと変更になりました。 |