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2009年5月15日
文春裁判控訴審判決 記者会見資料2(一審判決報道について)

原告 浅野健一
代理人 若松芳也・堀和幸・小原健司・池田良太・徳田靖之・内藤隆
「原告の文春裁判を支援する会」事務局


1.一審判決後の毎日新聞(西部本社)版報道について

 毎日新聞(西部本社版)は2008年2月27日一審地裁判決翌日の2月28日付朝刊で、一審判決に関する記事を掲載したが、「教授のセクハラ 一部真実と認定」というとんでもない見出しをつけた。同じ毎日新聞でも、大阪では「浅野教授の訴え 認めて賠償命令」という見出しになっている。この裁判は、原告が文春の名誉毀損の不法行為について裁判を起こしたものだ。原告に「セクハラ」されたという女性が原告を訴えた裁判ではない。裁判所は原告による「セクハラ」があったかどうかを審理していない。文春記事が名誉毀損とまでは言えないという認定であり、セクハラを認めたわけではない。
 セクハラ事案は同志社大学キャンパス・ハラスメント委員会で審理されている。委員会は「セクハラを認定」という判断はしていなく、立命館大学も同様だ。この点については、「浅野教授の文春裁判を支援する会」HP(http://www.support-asano.net/)も参照していただきたい。
 一審判決で、原告勝訴しているのに、一部のセクハラ真実と認定というとんでもない見出しを掲げた毎日新聞西部本社に抗議したところ、以下のような回答が、2009年5月1日伊藤元信・毎日新聞西部本社編集局長の名前で来た。

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同志社大学社会学部メディア学科教授
浅野健一様

2009年4月17日文書に対して、以下のように回答いたします。

① 当該判決はアカハラ・セクハラとされた5件のうち2件について真実性を認定していましたので、本件記事はこの点を記述しています。編集製作センター記者は、それがニュースを構成する重要な要素と受け止め、主見出しを「教授のセクハラ 一部真実と認定」とし、脇見出しで「文春に賠償命令」としました。
② 本件記事の見出しは正確なものであり、読者に誤解を与えたとは考えておりません。よって、訂正記事を掲載することは出来かねますので、ご了承ください。
以上

2009年5月1日
毎日新聞西部本社編集局長
伊藤元信㊞
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伊藤編集局長のこの回答について、原告は5月11日に「全く納得できない」という返事をした。
また、原告は、4月9日付けで毎日新聞《「開かれた新聞」委員会》宛に質問書(要望書)を送付し、① 毎日新聞の西部本社でこのような見出しを付けた経緯について説明を求める ② 同見出しが不正確で読者・視聴者に誤解を与えたことを認め、原告に謝罪し、訂正記事を掲載すること――という2点を要求した。原告の要求について、《「開かれた新聞」委員会》事務局(冠木雅夫・紙面研究本部長)が5月1日受理、同委員会の4委員(柳田、玉木、吉永、田島各委員)に審議を依頼することとなった。原告は現在、委員会の審理を見守っている。

2.一審判決後の共同通信の報道について

共同通信は2008年2月27日、この判決に関する記事を配信したが、一審判決において名誉棄損として認定されなかったD・E部分について、具体的にかぎかっこで「ハラスメント」に内容を記述し、原告によるハラスメントがあったと読者・視聴者が受け止めるように報じた。この記事について、原告は2008年3月7日、共同通信社《読者と新聞委員会》責任者の竹内博道ニュースセンター長宛に抗議文を送り、①原告の裁判(提訴段階から)に関する共同通信のすべての配信記事を開示すること ②本件配信記事を掲載した新聞社を原告に知らせること ③2008年2月27日の共同通信の配信記事が不正確で読者・視聴者に誤解を与えたことを認め、原告に謝罪し、訂正記事を配信すること――という3点を要求した。
本件裁判は「ハラスメント」を審理したのではなく、被告の文春の「セクハラ」報道をめぐる訴訟だったにもかかわらず、裁判での原告のハラスメント加害が真実と認められたという報道をした共同通信の責任は重大である。

共同通信(中国新聞HPより)の問題の記事は以下のようだった。

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名誉棄損で文春に賠償命令 浅野教授の記事、一部真実 '08/2/27

 「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、同志社大社会学部の浅野健一教授(59)が発行元の文芸春秋などに一億一千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、京都地裁は二十七日、二百七十五万円を支払うよう命じた。謝罪広告の掲載は認めなかった。
 中村哲裁判長は判決理由で「人格評価に多大な影響を与える記事の場合、慎重で確実な取材と検証が要請される」とし、教授が大学院生の女性にセクハラに当たる発言をしたなどとする記事は「真実と認めるに足りる証拠がない」と述べた。
 一方、別の大学の女子学生に「一緒に海外出張に行こうよ」などと話し、セクハラをしたとする部分は真実だと認定。同志社大の院生に「自分は博士論文を審査する資格のある教授だ」などと伝え、アカデミック・ハラスメントをしたとする部分も真実とした。
 判決によると、週刊文春は二○○五年十一月、「『学内セクハラ』を被害者が告発!」との見出しで記事を掲載した。
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近畿地方の新聞各紙は社会面で、原告の勝訴をはっきり書いていた。記事の主要部分が虚偽で、学内セクハラはなかったということを明快に書き、共同通信記事のような記事はなく、共同通信だけがハラスメント認定と誤導した。また、共同の記事は一般的な読者・視聴者に、原告がセクハラ、アカハラをしたと地裁が認定したという誤解を与えるものであり、極めて不正確、アンフェアであった。
原告の要望書にたいして、2008年3月11日付けで、共同通信社・江渡悦正編集局次長の名前で返信が来た。
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2008年3月11日  
同志社大学社会学部メディア学科教授
浅野健一 様
共同通信社編集局次長    
江渡 悦正        

 共同通信社が本年2月27日に配信した「名誉毀損で文春に賠償命令 浅野教授の記事、一部真実」に関する3月7日付貴殿ファクス(ニュースセンター長 竹内博道宛)に回答いたします。一部加盟社にも同様のファクスを送られたと聞きました。配信元である弊社の見解は以下の通りです。

 上記の記事は、京都地方裁判所第6民事部が2月27日に言い渡した判決の内容を客観的に報道したものであり、貴殿の謝罪要求や訂正記事の配信要求には応じられません。
 また、上記記事について特別に掲載状況を調査し、その結果をお知らせするような考えはございません。
 なお本件損害賠償請求事件【平成18年(ワ)第200号】に関連する記事としては、上記の記事のほかに①判決に関する貴殿のコメント「主張の中核認められた」(本年2月27日配信)②「週刊誌記事で名誉毀損 同志社大教授が文春を提訴」(2006年1月27日配信)―の2本を配信しております。

 ①「主張の中核認められた」
 浅野健一(あさの・けんいち)教授の話 判決は、わたしの主張の中核的部分を認めており全体的に評価できる。謝罪広告など一部認められなかった点には不満があり、控訴する。

 ②「週刊誌記事で名誉毀損 同志社大教授が文春を提訴」
 週刊誌「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられたとして、同志社大社会学部の浅野健一(あさの・けんいち)教授(57)が27日、発行元の文芸春秋などに一億一千万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴訟を京都地裁に起こした。
 訴えによると、2005年の週刊文春11月24日号は「『学内セクハラ』を被害者が告発!」との見出しで、浅野教授が大学院生の女性にセクハラに当たる発言をしたなどとする記事を掲載した。
 浅野教授は「すべて事実無根、虚偽で、悪意に満ちた名誉棄損」としている。文芸春秋は「記事は真実だ」とのコメントを発表した。
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共同通信からのこのような返信にたいして、原告は「納得できない」と抗議した。

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(注) 地元の京都新聞による判決報道は以下のとおり。

[京都地裁が週刊文春に賠償命令 浅野・同大教授のセクハラ記事は「事実無根」
2月27日22時29分配信 京都新聞

 事実無根の記事で名誉を傷つけられたとして、同志社大社会学部の浅野健一教授(メディア学)が、記事を掲載した「週刊文春」の発行元の文藝春秋(東京都)や週刊文春の編集長らに1億1000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が27日、京都地裁であった。中村哲裁判長は記事の一部について「真実ではなく名誉棄損に当たる」と認め、275万円の支払いを命じた。
 判決によると、2005年11月の週刊文春は「『学内セクハラ』を被害者が告発」の見出しで、同志社大の元女子学生らが浅野教授からセクハラ発言をされ、大学当局がその一部を認定した、との記事を掲載した。
 中村裁判長は、女子学生2人へのセクハラについて「真実と認める証拠がなく、十分な裏付け取材をしていない」と指摘した。「大学当局が認定」との記載も「再調査中であり、公式な結論とは言えない」と判断し、見出し部分についても違法性を認定した。
 一方、浅野教授が複数の大学院生に博士論文の主査であることを強調したメールを送ったことは「アカデミックハラスメントに当たり、記事は真実」とした。別の大学の女子学生1人へのセクハラ発言も事実と認めた。
 判決を受け、浅野教授は「主張の中核部分は認められたが、謝罪広告の掲載を命じなかった点などは不満が残り、控訴したい」と話した。文藝春秋社長室は「一部が真実と認定されたことは評価するが、勇を奮って証人に立った被害者の証言が認定されなかった判決は到底承服できない」とコメントした。]
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